コメント(私見):
上田市を中心とした「上小医療圏」(人口:約22万人、分娩件数:約1800件)では、国立病院機構長野病院の産婦人科が地域の産科2次施設としての役割を担ってきましたが、2007年11月に派遣元の昭和大学より常勤医4人全員を引き揚げる方針が病院側に示され、新規の分娩予約の受け付けを休止しました。
現在、同医療圏内で分娩に対応している医療機関は、上田市産院、上田原レディース&マタニティークリニック、角田産婦人科内科医院の3つの産科1次施設のみです。ハイリスク妊娠や異常分娩は、信州大付属病院(松本市)、県立こども病院(安曇野市)、佐久総合病院(佐久市)、長野赤十字病院(長野市)、篠ノ井総合病院(長野市)などに紹介されます。分娩経過中に母児が急変したような場合は、救急車で医療圏外の高次施設に母体搬送されています。
産科2次施設が存在しない地域では、産科1次施設での分娩の取り扱いの継続が困難となりますので、上田市は、上小医療圏に産科2次医療が提供されるように最大限の努力をする必要があります。
今この地域で最も必要とされているものは何なのか?をもう一度よく検討し、医療圏全体で一体となって、地域の周産期医療提供体制を再構築するための第一歩を踏み出していく必要があると思われます。
****** 医療タイムス、長野、2009年3月3日
産院の移転改築推進へ準備室 上田市
上田市は、移転改築方針を打ち出している上田市産院について、2009年度、政策企画局内に「建設準備室」を設け、移転改築事業を推進する。2日の市議会一般質問で、母袋創一市長が表明した。
市産院は築後40年以上が経過し、老朽化が著しい。市はすでに、移転改築に関する庁内の連絡調整会を立ち上げ、具体的な計画の策定などに取り組んでいる。
母袋市長は、市産院移転改築に特化した組織の必要性に言及し、「安心して子どもを産み育てる環境整備をすることが、私に課せられた責務。赤ちゃんとお母さんに優しい、安心してお産のできる病院確立に取り組む」と話した。
また、移転改築に向け「最重要課題」と位置付ける医師の確保については、複数の医師と交渉を進めていると明かす一方、「医師の確保やその道筋をつけることは、極めて困難」との認識を示した。市産院は現在、常勤医1人、非常勤医2人の体制だが、このうち非常勤医1人は大学医局に戻る意向を示しているという。
参考記事:
佐久市立浅間総合病院:産科医6人に増強 分娩予約も月60件超--4月から