ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

地方における医師不足対策

2009年03月18日 | 地域医療

コメント(私見):

地方における医師不足の問題を改善していくためには、『地域の中で若い医師が育ち、やがて巣立っていく。そして大学病院などで更なる研鑽を積んで大きく成長し、やがて指導医としてまた古巣に戻って来て後進の指導をしてくれる。』というような好循環を安定的に創り出すことを目指して、この問題に長期戦で取り組んでいくしかないと思います。

他の県で活躍中の医師が自県に移住して来てくれることを期待し、各県がそれぞれ知恵を絞っています。しかし、これは各県が類似策で張り合うことになってしまうので、入って来る人もいれば出て行く人もいて独り勝ちは難しく、やはり大きな限界があると思われます。

人生いろいろで、例えば、山が大好きで、家族をひき連れて、湘南から信州に移り住みたいと思うような人もいるかもしれませんし、逆に、海にあこがれて、信州から湘南に移り住みたいと思うような人もいるかもしれません。私自身は後者の部類で、生まれも育ちも山国ばかりだったので、一度は海の近くのリゾート地で暮してみたいというあこがれもあります。

長野県の場合、県のドクターバンク事業などで他県から37人ものベテラン医師の招聘に成功し、その中に産婦人科医が7人も含まれていたとのことですから、他の県と比べると医師確保対策は比較的うまくいっている方と言えるかもしれません。

最近も地元紙で、県立須坂病院に産婦人科医2名招聘とか、佐久市立浅間総合病院に産婦人科医3名招聘とか、自治体独自の医師確保対策により産婦人科医の他県からの招聘に成功したいくつかの事例が報道されてました。東北信(長野、上田、佐久など)は、長野新幹線で東京都内からの交通の便が非常に良いので、都内から移り住んで来る人も比較的多いのかもしれません。その点では、南信(諏訪、伊那、飯田など)は東北信と比べて非常に不利な地理的環境にあります。

****** 医療タイムス、長野、2009年3月12日

医師確保 就業先は東北信に集中

 県医師確保対策室は、県のドクターバンク事業と研究資金貸与事業で、11日現在、県内での就業につながっている医師37人について、就業先地域と診療科別の内訳を公表した。37人中28人の就業先が東北信に集まっており、本郷委員と向山公人委員(創志会)は、成果を地域間格差のない医師配置につなげるよう求めた。

 ドクターバンクによる医師確保数は、北信が最も多い12人。次いで東信10人、中信4人、南信1人の合計27人。研究資金の貸与では、東信4人(ドクターバンクと重複する2人を除く)、南信3人(同1人を除く)、北信2人(同1人を除く)、中信1人の合計10人で就業につながっている。診療科別では内科が9人、産婦人科7人、小児科と麻酔科がともに6人、外科5人、皮膚科・眼科・放射線科・形成外科がそれぞれ1人ずつ。

(以下略)

(医療タイムス、長野、2009年3月12日)

****** 中日新聞、長野、2009年3月16日

長野県、山岳誌に医師募集広告 「休みに登山できます」

【要約】 長野県は15日発売の山岳雑誌「山と渓谷」4月号に、県内で就業してくれる医師の募集広告を掲載した。発行元も、「こんな広告は初めて」と驚く奇策で、山好きな医師が集まるのを期待する。広告は、長野県の山並みの写真を背景に、「あなたを必要としています」と医師に呼び掛けるデザイン。掲載費は十数万円という。「仕事をしながら、休みの日に3000メートル級の山に日帰りで登れます」とアピールしている。

(中日新聞、長野、2009年3月16日)