extrauterine (ectopic) pregnancy
【定義】 子宮外妊娠とは、「受精卵が子宮腔以外の場所に着床し、生育した状態」と定義される。
【分類】 妊卵が着床する部位によって次のように大別する。
①卵管妊娠 tubal pregnancy
1)膨大部妊娠 ampullary pregnanncy
2)峡部妊娠 isthmic pregnancy
3)間質部妊娠 interstitial pregnanncy
4)卵管采妊娠 infundibular pregnancy
②腹膜妊娠 peritoneal pregnancy
(腹腔妊娠 abdominal pregnancy)
③卵巣妊娠 ovarian pregnancy
④頸管妊娠 cervical pregnancy
【頻度】 自然妊娠の1~2%に発生する。子宮外妊娠の98.3%を卵管妊娠が占める。卵管妊娠はさらに4つに分けられ、卵管膨大部妊娠が最も多い。
部位別頻度 (産婦人科研修の必修知識2007)
①卵管妊娠:98.3%
1)卵管膨大部妊娠:79.6%
2)卵管峡部妊娠:12.3%
3)卵管間質部妊娠:1.9%
4)卵管采妊娠:6.2%
②腹膜妊娠:1.40%
③卵巣妊娠:0.15%
④頸管妊娠:0.15%
【疫学】
近年、不妊治療における生殖補助医療技術(ART)が普及し、体外受精・胚移植による妊娠例が増加している。体外受精・胚移植での子宮外妊娠の発生率は2~4%と高率である。
子宮外妊娠の反復は10~20%にみられる。
【原因】
①卵管の異常:
卵管内癒着、卵管周囲癒着(クラミジア感染後、子宮内膜症)
卵巣・卵管の手術の既往
②受精卵の輸送の異常:
卵の外遊走、
体外受精・胚移植
③子宮の異常:
子宮内避妊具(IUD)の挿入、
人工妊娠中絶の既往
【症状】(卵管妊娠)
①破裂前の自覚症状
1)無月経後の不正性器出血(少量)
2)下腹部痛
②破裂後の症状
1)腹腔内出血による急性貧血、出血性ショック
2)下腹部激痛
【診断】
①血中(尿中)hCG値と経腟超音波断層法で診断
1)hCG値が1000(~2000)IU/L以上なのに子宮内に胎嚢が認められない場合には子宮外妊娠が強く疑われる。
2)腹腔内出血があれば経腟超音波検査でダグラス窩にエコーフリースペースがみられる。
3)子宮外に胎嚢像や胎児心拍を認めることがある。
②腹腔鏡検査(確定診断):上記で診断できない場合に実施。
【治療】
①待機療法:hCG低値の場合は、hCG値の推移をみながら経過観察。
②メソトレキセート(MTX)の全身(筋注)投与
③経腟超音波ガイド下の局注
(MTX、プロスタグランディンF2α など)
④手術療法:
a. 根治手術
(卵管切除術)
b. 保存的手術
(卵管線状切開、卵管内容圧出、卵管端々吻合術)
1)腹腔鏡下手術が主流
2)緊急開腹手術
(大量の腹腔内出血が疑われる場合)