ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

なんとなく元気がない

2011年08月01日 | 周産期医学

Not doing well

意義: 新生児の異常徴候の一つ。明らかな異常が現れる前の活動性の低下や、末梢循環不全などの早期所見の可能性が高い。新生児のケアをする母親や看護師の指摘が契機になる場合が多い。新生児の異常を早期に現す代表的なサインである。

Not doing well (なんとなく元気がない)と思われる状態: 
いつもと比べて活気がない、動きが少ない、啼泣が弱い、傾眠傾向、筋緊張が低い、皮膚色不良(チアノーゼ、蒼白、黄疸)、四肢末端の冷感、哺乳力低下、腹部膨満、易刺激性、体温異常(発熱、低体温)、呼吸不整、無呼吸、頻脈、除脈。

考えられる疾患: 重篤な感染症(髄膜炎、敗血症)、頭蓋内出血、心不全、先天性代謝異常、低血糖など、幅広い病態が考えられる。

検査・対応: 
・ 妊娠分娩の経過を再度確認し、新生児のバイタルサインを確認する。さらに、児を保育器に収容して注意深く観察し、バイタルサインをリアルタイムでモニタリングすることも必要である。
・ 検査としては、CRP、血算、血糖、電解質、ビリルビン、血液・咽頭ぬぐい液培養、血液ガス分析、検尿、胸部X線検査、心臓や脳の超音波検査など行い、異常の原因を検索する。

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問題

Not doing well (なんとなく元気がない)に該当するのはどれか。

a 姿勢は大腿を外転させ、おしりや膝、足首、肘、そして肩を心地よく動かして、左右対称で横たわっている。
b ずっと泣いている。
c 顔に何かが触れるとそれを口で追い、吸い始める。
d 皮膚の色は、黄疸もチアノーゼもなく、蒼白でも多血の色でもない状態。

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正解:b