愛の船が降りてくる
金の鈴を鳴らす金の都を載せた
愛の船が降りてくる
人々は銅の池で
錫の魚を釣っていたが
金の都を見たとたんに
錫の魚を全部捨てて
愛の船の周りに集まってくる
苦いものを食べていたことに
やっと気づいたかと言いながら
愛の船から
なつかしい人が降りてくる
そして彼は言う
さあ都に入りなさい
すべて分けてあげよう
ひとつずつ
金のしるしをとるがよい
人々は愛の船に乗り
金の都に入って
光に洗われながら
金の鈴をひとつずつ
りんごをもぐようにとった
鈴はこころよく笑い
心にとけてくる
人間は
自分が美しかったことを
この時初めて知った
これでもう
災いのない世界がやってくると
なつかしい人が言うと
人々は鈴を鳴らしながら
それを世界中に知らせるために
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