スコルピウス・２９

神は
人類を分ける
よいものと
わるいものに
分ける

虚偽の沼におぼれ
闇に病む魂を
虚無の籠に放り込み
愛なき地平へと捨てる

真実の光を浴び
健やかに伸びた
愛の魂だけを
この世に残す

むごいと思うな
むごいのは人間の方なのだ
この世を
汚い嘘と
むごたらしい血で染めてきた
人間の方なのだ

この世に
愛の夜明けを迎えるために
神は
めったにない権力をふるう
この神の決意に
逆らえるものはいない

大改革が始まる
人々は
魂を見抜かれ
底の底まで調べられ
合否のタグを貼られて
ふたつの未来の籠に
分けられる