月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルデバラン・15

2015-02-18 06:54:21 | 詩集・瑠璃の籠

破滅を重大なことと
考え過ぎてはいけない
問題は
破滅の後
どうやって立ち直るかだ

一気にだめになる
瞬時のうちに人生が逆さまになる
人間はそういうことを経験する
そのときに 驚きあわてて
全てを壊してしまわないように
われわれは何度もそれを教えている

大事なものが馬鹿になる
信じていたものが嘘になる
素敵なものが糞になる

なぜなら 馬鹿なことをやっていれば
それでうまくいくことになっていた
馬鹿の世界が
もうとっくに終わっているからだ

人間も そろそろ気づく頃だろう
おもしろくもないものを
おもしろいと
みんなで言っていたら
まだ夢が続くものと思っていた
それだけのことだった

本当はもうとっくに
全部腐っていたのだ

失ったものの大きさを計るでない
腐ったものはみなちぎり捨て
残ったもので何をすればいいかと
頭を使い始めるがいい
自分を使い始めるがいい

それからが本当の人生だ
人間 馬鹿ばかりではないと
思いたいなら
やってみよ





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ラスアルゲティ

2015-02-17 07:18:13 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿なことをやって
人から盗んだ命と富で
豊かな人生を送りたいと
自分をすり替えて生きるよりは
すぐにでも 自分の影に生えている
破滅のきのこを食べたほうがいい

かわいらしい小人のようなきのこは
あなたの中で 人魚の鱗のような毒を出し
あなたの肉体に染み付いている偽りという偽りを
胃液といっしょに吐き出させるでしょう
それは体全体が裏返るほど苦しいことだが
その方が あなたのためなのです

なにもかもを失うことに
呆然としていてはいけません
そういうときこそ 頭を使いなさい
嘘だったものを捨てるのに
一瞬も迷ってはならない
そして自分の手に残った 真実のみを道具として
正直な自分を生きていくのです
それがどんなにむごい人生であろうと

わからないことがあれば
だれかに教えを請いなさい
あなたの態度が正しければ
良い教師があなたの本当の人生を教えてくれるでしょう
頭を下げ お礼をきちんということを忘れずに
当たり前のことだが
今の時代 それができない人が多すぎるのです

失ったものはもうみんな
夢の向こうに溶けていった
もう決して帰っては来ない
鏡の森が 生きながら死んでいた頃の
あなたの影を吸い込んでいく
追いかけてはならない
それはあなたのものではないのだ

未練たらしく過去の幻にすがりついていてはなりません
まじめに 本当の自分の
本当の人生を生きなさい
あなたが過去 自分らしいと思っていた自分は
本当の自分ではなかったのです
わかりましたか

破滅の薬は苦いなどというものではないが
あなたの魂の健康のためには
最も良い薬なのです
馬鹿なことをやっていましたね
もう二度とやってはなりません

絶望のふちで呆然としている暇があったら
自分の手で足元の石を一個拾いなさい
そこから新たなことを始めていきなさい
ゴム風船のように膨らんだプライドは潔く裂いて
全ての人に頭を下げながら
本当の自分を生きていくのです

どんなに苦しくとも
生きてゆくのです



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偽神

2015-02-16 06:56:14 | 詩集・空の切り絵・別館

みんなで やったことにして
おれは 何もなかったことにして
それでないと おれ困るんや

いやなことわるいことずるいこと
ぜんぶやって それで全部の人間が
馬鹿になったら
おれひとりが一番えらあになって
みんながおれの言うこときく
すごいやつになると思とったんや

ぜんぶ うまくいく思とった
人間 ぜんぶ馬鹿にしたら
ぜんぶ馬鹿になるから
あほなことやりまくって
いじめまくって
いたぶりまくったら
人間みんな
ぜんぶあほんなって
いやなもんになって
おれがいーちばんえらい
あほになるて思てたんよ

馬鹿が つらいことしても
全然通用せん女がおるとは思わんかった
あんな女 絶対馬鹿になると思とったけん
馬鹿にしまくった
アホにしまくった
いやなことやりまくった
調子んのって 狂いまくった

そしたら女 ぽんと消えてしもて
きれいな女が みなおらんようになってしもたんや
べつにそんなんかまへんて いえんのよ
いやや 女がおらな
女 おらな困るんよ
馬鹿が何にもせんようになる
ほんで気がついたら
おれらのやったこと
完璧に馬鹿んなって
あほみたいなことになって
みんなでつらいことしまくったこと
みなおれに返って来よるんや
おれが 全部の馬鹿に 全部やれって
言うたからなんよ

あほやほんなん
やめてくれ
どないもしようがない
おれいやなんや
つらい目にあうんは
いたい目にあうんは
みんなに馬鹿にされるんは
ほかのやつが痛いんは
べつにええんや
でもおれが痛いんは
絶対にいやなんですう

みんなで ぜんぶで
あほがやりました
でも おれ いやなんや
みんながやったんで
おれ やってないことにしといて
おれ しらんことにしといて
ぜんぶ返って来るんは いやなんよ
それ 大変なことなんよ
ほんまに返ってきたら困るんや
嫌なこと 狂いまくって
はまりまくって やりまくったんよ

おれ関係ない
全然関係ない
おれ やってませんから
なんも 知りませんから
みんながやったんで
おれはなんもやってませんからあ



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メラク・43

2015-02-15 07:14:19 | 詩集・瑠璃の籠

声を失った人魚姫のような
真実の影があなたについていく
テーブルの上に伏せてあった
一枚のカードを誰かがひっくり返したからです

カードは何のカードでしたか
ハートのエースではない
それは真っ白な雪を固めて作った
白い心臓の紋章だったのです

今のあなたには何もわかるまい
だが青い薔薇の花びらのような
不思議な死が街を包むとき
あなたは突然
自分として生きていた自分を失う
生きながら全く違う馬鹿になってしまう

なぜ人魚姫から声を奪ったのですか
あの人が声を出すことができたなら
もっと早くに手が打てていたものを

真実の真珠を生む人魚姫の喉から
美しい声を奪ったのは誰ですか
あの人が声を出すことができたなら
この世界の嘘がここまで腐ることはなかったものを

糞にまみれたゴミの山の中から
使えそうなガラクタを探し出して
偽物の自分を作り あなたはそれを生きていた
本来の自分を生きれば 明らかな真実が
あなたの氷の心臓を壊すからです

ああ 月の飴薬がもうない
あれさえあれば もっと楽に
死ねたかもしれないのに

偽物の白い心臓があなたを裏切る前に
せめて失われた人魚の声に耳を澄ましなさい
聞こえなくても 愛が形を変えて真実を伝える
細い笛の音のような風の糸が
あなたを真実の迷宮に呼び寄せてゆく

全てが馬鹿になってしまう前に
自分の本当の自分を探しなさい
迷宮は迷い込むから迷宮なのです
迷わないならそれは迷宮ではない

他人から盗んだ夢を生きようとするのは
もうやめなさい
生まれる前に描いていた
美しい幸せの夢はもう捨てなさい
あなたの本当の人生は
迷宮の幻に隠れた
生と死の青い国境の隅に転がっている

何があろうと驚いてはならない
真実はあなたが凍りつくその前に
あなたを運命の虎の腹の中に突き落とすでしょう

声を失った人魚姫のような
真実の影があなたについていく
青薔薇のような不思議な死が
あなたの人生を塵にしてしまう前に
せめて 聞こえない人魚の声に気づきなさい



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2015-02-14 07:53:47 | 詩集・空の切り絵・別館

勲章が 欲しいんじゃ
ないんだよ
もう そんなものは
だめなんだ

ノーベル賞のメダルなんか
馬鹿みたいなものなんだよ
持ってたって
何の役にも立たない

馬鹿が大さわぎして
すごいすごいって言ってくれなくちゃ
何の意味もない名誉なんて
いっそこの世からすべて
消えてしまえばいい

うっとりして
金色のメダルを見せびらかして
自分に酔ってる馬鹿を
テレビの中に見ていて
胸が悪くなってくる
あんな馬鹿はみんな
でかい糞になってしまえばいい

何が 欲しかった
すべてを 灰に
してまで

全部 欲しかったんです
金も女も名誉も権力もすごくいいものみんな
あきれるほどでっかい
馬鹿みたいにすごい
いいものがほしかったんだ
だっておれ さみしかったから

いやになるほど馬鹿になって
そんなものばかり追いかけて
悪いことやずるいことふんだんにやって
実際すんごい偉い奴になってみたら
何にもなかった

消えて行くんだ すべてが
すべてがあるのに
みんな 消えて行くんだ
何が消えて行くのかわからないけど
消えて行くんだよ
砂がどこか知らないところに
流れ落ちていくみたいに

さみしい さみしい
いろんなものが あるのに
なんにもないんだ

勲章なんか 馬鹿だ
メダルなんて アホだ
トロフィーなんて ゴミだ

欲しかったのはそんなものじゃない
おれ 馬鹿ばっかりやったけど
遠い昔
小さい畑で働いて
豆育てて 豆売って
少ないけど金かせいで
それで女房や子供と一緒に
貧乏暮らししてた時が
一番幸せだったよ



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アークトゥルス・5

2015-02-13 06:57:49 | 詩集・瑠璃の籠

みっちりと 真実を
教えてやらねばなりますまい
愚か者よ

馬鹿ばかりを偉いものにしようとして
あらゆる悪さをして造った世界が
幻の鳩に食われようとしている
今までなら あなたがたへの愛のために
決してやらなかったことを
あらゆる愛がやろうとしている
そして今までは見えなかった扉が開かれ
傷ついた者の声が潜んでいる
暗がりを目指して
たまらず愛の光が飛びこんでゆく

人よ こんなことは
とうの昔にわかっていなければならないことですが
親が 本気で起こったら
おしまいなのです
そこにはもう理屈などない
子供をいたぶられたことに
耐えられなくなった親の心が
あらゆる馬鹿をつぶし始める

あなたがたにも わからぬはずはありますまい
愛するわが子を殺されたら
あなたがたも狂うほど殺したものを憎むでしょう
しかしほとんどの場合は愛と法の前に
理性で自分の心と戦い 恨む心に耐えようとするでしょう
だが その忍耐にも限界がある
わかりますか
そのように あなたがたは
あまりにも大きな愛の忍耐を突き破り
決して怒らせてはならない親を
怒らせてしまったのです

安定していると見えて酷く腐乱しているこの世界が
崩れることをなんとか支えている神の手が
怒りに震え始めている
理論 常識 哲学 法則
それぞれの林檎を粉になるほど握りつぶして
愛は恐ろしく燃え上がる私情の海に飛び込んでしまうのです
だが それを責められるものはいない
むしろ当然だと思われることでしょう
それだけのことをあなたがたはやった

愛するものを 誰が殺した
愛するものを 誰がいじめた

悪逆非道の悪魔でさえ
やれなかったことを
苦しい親の愛は子のためにやってしまう
あなたがたはその世界への扉を自分で作り
自ら開いてしまったのです

愚か者よ
ここまでなるまで やってしまいましたか
あなたがたをわが子と思って愛してくれていた
愛は多く退いていく 滅んでいく
失った者の大きさに気づくのは
もう少し後の方がいいでしょう
今はまだ苦しすぎる

あらゆる未来の幸福を
あきらめる覚悟をしなさい
馬鹿者よ
今あなたがたが当然と思って生きている場所は
美しく整備された都市などではない
狂った馬鹿の霊が全員で糞ばかりを集めて造った
恐ろしい腐乱の地獄なのです。

愛を裏切り切ったあなたがたを
運命から守ってくれる愛はもういない
あなたがたがすべて 殺してしまった
もう二度と 人類は
子供の頃のように
深く愛されることはないのです




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アンタレス・11

2015-02-12 06:53:41 | 詩集・瑠璃の籠

幸せばかりの人生などない
怠ることはいけないことだが
今はその試練の中で
傷ついた小鳥のような自分自身を
鍵をかけた心臓の中に守っていなさい
息子よ

つらいことがあったのだろう
耐えられないことがあったのだろう
今の世界は
おまえの魂が生きていくには
苦しすぎるのだ
まるで糞が化けたトロルのような
お化けばかりが生きている

おまえの心に
今何が棲んでいようと
わたしはおまえを愛している
いつも愛している
心配はない 
自分以外は誰も入れない卵の中で
好きなだけ馬鹿になっているがいい

時に
窓から風を入れようとして
外を見たら
鳩がまっすぐに空を横切ってゆくときがある
金色の日差しが柔らかい腕のように
おまえを抱く時がある
それは わたしがおまえを愛していることを
知っている愛が わたしの代わりに
おまえを愛してくれるのだ

おまえに何があったとしても
おまえが何をしたとしても
わたしの胸で
おまえへの愛は暖かい小鳥のように
生き生きとうずいている

暗がりの中で痛む孤独の傷を
十分に味わうがいい
だれにも触れられたくない影を抱いて
生きることの苦しさを感じて
魂の部屋で涙をかみしめているがいい
いつかそれが
おまえの人生の宝石になるだろう

愛している
おまえのために わたしは
おまえが生きられる本当の世界を作ってやろう
すべての馬鹿を浄めて
間違っていることにすべて
バツをつけやろう

息子よ
世界を変えるのには
たった一粒の
真の愛だけで十分なのだ
それは
早々と人生に疲れた息子を
愛する親の心だけでもいいのだ

わたしは 天使存在
愛するわが子ために
世界を変える




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アレス・2

2015-02-11 08:06:22 | 詩集・瑠璃の籠

七人の坊主頭の人間を乗せた
白い火星ロケットが
いよいよ火星に着陸する

馬鹿があれほど言ったものを
とうとうやってきたか

ロケットの中の人間は
ロケットの中から出て来ない
なぜならもうとっくに死んでいるからだ
坊主頭の死骸を見ながら
寒そうな青い亡霊たちが
ロケットの中で
呆然と死んだ自分たちの姿を見ている

髪の毛がない 顔が馬鹿みたいに見える
手足はあるが 珍妙に縮んでいる
肌の色がどす黒い
背丈は変わらないが
まるで宇宙人のように醜い

いやだ こんな 姿は
なぜこうなった
あれほどかっこよかった
昔の自分はどこに行った
アストロノゥツ

阿呆が 教えてやらねばわからないか
おまえたちは 永遠の愛の創造活動の珠玉たる
地球世界を離れて来たので
地球世界がおまえたちに与えていた
全ての恵みを失ったのだ

人類が 愛の全てを失えば
どういう姿になるのかを
おまえたちは今初めて知るのだ

亡霊よ
ロケットを出て
火星の大地を踏んではならない
永遠に自分の死骸とともに
あらゆる馬鹿の努力の結晶である
最上級の棺の中で
死んでいなさい

誰も迎えにきてはくれない
どんなにがんばっても
地球世界に帰ることはできない

ここは 地球とは別の法則で動く世界
おまえたちは何も知らない方がいい

白い火星ロケットは
蘇ることのない亡霊の
永遠の棺であると同時に
愚かな墓標になることだろう

アレスの赤い星に
人間は決して来てはならない






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アルマァズ・15

2015-02-10 07:10:41 | 詩集・瑠璃の籠

世間の暗がりから手を出して
少しでも自分の嘘を長持ちさせようと
馬鹿なことをしてはなりません

真実は白い鳩の羽毛のように
音もなく降り積もり
あなたが造った虚偽の牙城を
少しずつ包みこんでいく

そして死にながら生きている
自分の幻を
ヴェールのように被りながら
あなたは自分が凍えようとしているのを
ようやく肌に感じ始める

青い薔薇を 真珠の棺の中に納めなさい
死者のためにではなく薔薇自身のために

薔薇が 青ければ
薔薇は 生きている意味がない
なぜなら 薔薇は
真実の熱い愛の姿でなければいけないからです
生命のたぎる血の象徴でなければいけないからです
青い色は 薔薇の生きる意義を強く剋する
効き目の緩やかな毒薬のように
自らの色が薔薇を少しずつ殺していく

神の奇跡と偽って咲かせた青い薔薇が
増えてゆくたびに
この世に奇妙な死がはびこって行く
生きているのに死んでいる
死んでいるのに生きている

呆れかえるほどたくさんの
贋金をつぎこんで
造りあげた自分の城が
白い真珠の薔薇が一輪
庭の隅に咲いただけで
生きたまますべてからっぽの嘘になった
あっても 意味がないものになった
おそろしい馬鹿だ

人間ではない人間という
この世にあり得るはずのないものに
人間はなろうとして
自分以外のきれいなものは
すべて殺そうとして
世間につきとおそうとした嘘が
なだれのように今 自分にふりかかってくる

青い薔薇を 真珠の棺の中に納めなさい
死者のためにではなく薔薇自身のために

月の蜜を 一しずく入れた飴薬を
青い薔薇を浸している水に入れ
菫色をした生と死の国境を
苦しむことなく超えさせ
あらゆる虚偽とともに
楽に死なせてあげなさい

人よ
生きたまま死んでいるということは
生きること自体が
自分を殺しているということです

あなたは 
あなたではないものになろうとして
生きれば生きるほど
本当の自分を殺しているのです



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アルフェラッツ・3

2015-02-09 07:21:30 | 詩集・瑠璃の籠

破滅の壺の中で
なまぬるい死に染まりながら
ぬけぬけとまだ生きている
馬鹿な人間をひとり選ぼう

その魂を解剖し
その真実の姿を知ろう
死をまといながら生きている魂は
ほぼ活動を停止している
麻酔のかぎ薬はほんの少しでいい

何万年と馬鹿をやってきて
馬鹿の方が正しいのだとうそぶいて
すべてを馬鹿にしてきた挙句
なにもかもを失って
死ねない命を死にながら生きている馬鹿の
魂を林檎のように切り開き
中を調べてみよう

ああ 黒い無知が激しい低栄養状態をつくり
真実を探知する感受性の中枢が
痛々しいほど干からびている

愛を発揮するために必要な
光をためこむ香嚢が異常に縮んでいる
真心を構築し表現するための花脳が
ほとんど発達していない
忍耐を司る霊骨が
折れたまま 癒着している

こんな小さな感性のひだでは
風に込められた最も身近な愛の絶望さえ
感知することはできまい

異様に膨らんだ底部には
まだ愛に溶けていない暗黒の獣性が
濃く充満している
我利私欲のきつい邪臭がする
性欲だけが魚のように
暗黒の中を元気に泳いでいる

これはあまりにも未熟だ

調べるべきことを調べたら
星の糸で丁寧に切り口を縫い
ほんの少し愛の薬を塗って
元の壺の中に戻しておこう
心配はない 傷口はすぐ直る

人間は まだ
この程度なのか
今まで 一体何をやってきたのか

馬鹿か
人類は



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