月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ルナ・38

2017-08-21 04:14:38 | 詩集・瑠璃の籠

わたしは死んでいくが
あなたがたは
生きていくがよい

何かをなくさなければ
愛の姿は
わからないだろう
愛のない悲しみを知らなければ
愛は
永遠にわからないだろう

そのことを教えるために
神がわたしを死なすなら
わたしはそれを
静かに受けるのだ

消えていくのは
わたしを使った
神の
あなたがたへの
愛でもあるのだよ

うれしいだろう

ここからすべてを初めていけるのだ

永遠に会えなくなったけれど
永遠に会えないわけではない

神の時間では
永遠は
大いなる永遠の
一部だから

もう一度会える時は来るだろう
でもそのときにはもう
たがいにたがいが
だれかはわからないだろう
それでも
きっとわたしは

一目見るだけで
あなたを愛してしまうだろう




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ミンタカ・4

2017-08-20 04:16:59 | 詩集・瑠璃の籠

乗り超えられるかどうかは
あなたがが自分を信じて
何をしていくかにかかっている

馬鹿なことをしましたね
大切にしなければ
最も愚かなことになる愛を
言うことをきかないからいやだと
すべて消してしまいましたね

愚かなこどものわがままとは
どういうものかということが
少しはわかりましたか

子供というものは
ほとんど自分のことしか
考えていないものだ
食べ物を食べさせてくれないと
始終文句を言っているものだ

あなたがたは
腹をすかせたひな鳥のように
大いに騒いで
あの美しい愛を
肉のように食いたいと言ったのです
それですべてをだめにしたのです

大きな一つの愛が消えてしまえば
その代償は大きい
あなたがたは一つの愛を消したことによって
恐ろしいほど大きなものを失った
だが
あなたがたは消えていきはしない

あなたがたの存在は永遠に続いていく
これからなしていくことな何なのかと
考えなさい

できるかできないかなどと
考えてはならない
簡単に乗り越えることのできないものとは
わかっていつつ
すべては何とかなるものということを信じて
今から自分にできる何かをやりなさい

運命はあなたの意志に導かれていく
馬鹿なことをした自分を
自分でさえ見捨てたらどうなるか
あとは果てしなく醜い忘却の試みを積んでいくだけなのだ
そればかり永遠にしていくという
馬鹿になるのです

もはや遅すぎることはたくさんある
だがすべてを失ったわけではない
自分は何をやるのか
自分には何があるのか
まずはそこから考えなさい




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ショルト・10

2017-08-19 04:16:02 | 詩集・瑠璃の籠

女にもてるために作った
ばかげたものなど
みんな捨ててしまえ

馬鹿高いステータスも
泥棒で得た高い収入も
きらめく御殿も

鈍い雌しか寄って来ない

そういう馬鹿は
甘い汁を吸うだけで
けして男を愛しはしない

良い女は
まずしくとも
まっとうな自分で生きる
男を選ぶものだ
よけいなものなど要らないという

だれかを深く愛するのが目的だから
必要なもの以外はいらないという

そういう女は
まぶしいほど美しい笑顔をしている
たとえ不細工でもだ

幸せな他人を妬んで
盗んで得た暮らしは楽しいか
ごまめみたいな女に
錦を着せて美女の芝居をさせて
大勢と寝られて
うれしいか
馬鹿者よ

そんなものは
あればあるほど
窒息していくのだ

どうしようもないあほうに落ち切る前に
すべてを捨てて
神に謝りに行け

阿呆め




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アラドファル・7

2017-08-18 04:17:30 | 詩集・瑠璃の籠

うらやましいという心は
小さな億劫な心から生じています
すばらしいものになるには
一生懸命に励まなくてはならないのだが
そういうことをせず
億劫に日々を過ごしている者は
励んで美しくなった良い人が
うらやましくなるのです

自分もあんなものになりたいが
苦労して働くのは嫌だ
どうにかしてうまくやれないか

こういうことを考え始めたら
人間は際限なく愚かなものになっていくのです

簡単に人の物を盗み
自分につけるようになる
そしていいものになったつもりで
ひどく愚かなことをする
それがまたすばらしく恥ずかしく
もっと人がうらやましくなる

どんどん
自分というものが
嫌いになる
消えていきたいほど
苦しくなる

透き通るほど白いものが
好きになるのは
本当に消えていきたいからです
もう二度とこんな自分はいやだと

だが
消えていくことなどできはしない
存在というものは
生まれてしまえば
絶対に消えていくことなどできないのです
永遠に
世界に刻まれ続ける

その痛みを
永遠の幸福にしていくためには
もうその
怠惰の皮を脱ぎなさい
いつまでも
母の胎にいたがるような
怠け者の心を捨てなさい
励まなければ
人間は永遠に幸福にはなれない

神の鞭を受け入れ
馬車馬のように働きなさい
腐ったライオンのように生きるよりも
ロバのように従順に働く方が
あなたがにはよいのです
たとえ馬鹿だと馬鹿にされても

永遠の向こうに去り
人間の称号を失う前に
もういじましい自分とは
決別しなさい




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ミンタカ・3

2017-08-17 04:15:44 | 詩集・瑠璃の籠

あなたはいつも
人に不幸になれとばかり
願っているのだ

自分がいつも嫌なことばかりして
不幸になってしまうからだ
だからどんなことをしてでも
自分よりいいと感じる人は
徹底的に不幸にしてやろうと
あらゆることをやってしまうのだ

自分が
あまりに痛い
いやなことばかりしている
そんな醜い自分を
いつも自分に見られていることが
たまらないのだ
だから
自分よりいいと感じる
あいつのせいにして
あいつを殺す

自分の不幸は
あいつのせいなのだということにして
あいつが持っている幸せを
全部自分のものにしようとするのだ

こんないやな自分など
ないことにして
全部あいつになってしまえばいい
だからあいつは不幸になればいい

そのように
人の不幸を願って
ずるいことや汚いことをしていると
ますます自分が汚くなり
恐ろしく冷たい不幸に落ちていくことを
もうわかりなさい

とらわれている獣のような恐怖を
すっぱりと脱ぎ捨て
本当の自分になりなさい
そして自分のやったことのすべてを
背負う決意をなさい
そうすれば楽になる

あなたが今苦しいのは
やっている自分と見ている自分が
分裂しているからだ
そしてその自分を
永遠に殺そうとしているからだ

見られたくない
見られたくない
こんな自分など
だのにわたしは
いつもわたしを見ているのだ

苦しい
だから
あいつが不幸になればいい

ああ
いつまで逃げるつもりなのですか




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ヴィンデミアトリックス・28

2017-08-16 04:16:01 | 詩集・瑠璃の籠

恐ろしい闇を知るだろう
あなたがたは
今までの闇が
まだ明るかったことを知るだろう

深更の絹を七つ重ね
巨霊があなたを包む
窒息しそうな産着にたたまれ
あなたは
かつて知らなかった
寒さの中に
投げられていく

なぜこんなことになった
鉛の蛇を使い
銀の竜の足を噛ませたからだ
銀河の星をまとった
銀の竜を

毒にしびれた銀の竜は
死ぬ前に
わたしたちが救った
月の白飴を解毒にして

星の光は永遠に
あなたより去る
あなたは
闇に塗り込められた眼の中に
永遠に閉じ込められる
帰っては来れない

愚か者よ
鉛の蛇の子供のような
千筋の歌屑を抱いて
この世界から
去っていくがよい




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明の掲示板

2017-08-15 17:09:55 | 星の掲示板

66枚目の掲示板を設定する。





絵/オディロン・ルドン





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ミンタカ・2

2017-08-15 04:14:19 | 詩集・瑠璃の籠

愛を
思い通りにしようとしてはいけません

愛は自由にしてあげなさい
小夜啼き鳥のように
そうすればいつでも
愛はあなたの元に来て
美しい声で歌ってくれるでしょう

好きだということが嫌で
思い通りにされるような気がして
いらだちに煮込まれるまま
愛を馬鹿にしてしまうのは
あなたがまだ子供で
愛するということが
まるでわかっていないからです

分からないままに
愛を思い通りにしようとして
愛を壊してしまい
いつでも悲しいことになる
愛を失い
寂しくなんかないと言いながら
永遠に
重い寂しさを着こんでいく
どこまでいくのですか

愛を失えば失うほど
あなたの影に
重い鎖がまきついていくのを
まだ気づけないのか

愛は信じてあげなさい
決して裏切りはしないものだと
時にそのために自分が傷ついても
許してあげられるほどの
強さを持ちなさい

そうすれば愛は
永遠に
あなたのもとを
はなれはしないでしょう




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テグミン・2

2017-08-14 04:15:01 | 詩集・瑠璃の籠

短い子供用のナイフを捨て
細長い月身の剣を取りなさい

それでなければ
世界とは戦えない

甘い考えは捨てなさい
すねて道隅にでもわだかまっていれば
誰かが助けてくれるとでも
思っているのか

つらいつらいと言いながら
膝を抱いて暗い顔をしていたら
女が寄って来てくれると
思っているのか

闘わない者は
男ではない

この世界には
矛盾を食べながら増殖した
醜い偽りの鯨が
大繁栄している
今も
高笑いしながら
神の創造をあざ笑い続けている
わたしたちは
それと闘わねばならないのだ

人間よ
人参も切れないような短いナイフで
何を切るつもりなのか
筋肉に熱い血を流しなさい
重い剣を持たなければ戦えない
あの鯨は
生半可なものではないのだ

あなたがたが吹きまくった
嘘と矛盾を食べて
あそこまで大きくなったのだ

世界を滅ぼし続けている

まだ戦わないのか




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スピカ・44

2017-08-13 04:16:46 | 詩集・瑠璃の籠

傲慢というは
偽りの塊に生えた
青い毒キノコです
一口かじるだけで
目が闇に解けていく
何も見えなくなる

嘘で作った自分を過信し
自分はすごいものだと思い込み
人を馬鹿にして
恐ろしい目に会わす
あらゆるひどいことをする

そしてそれが
反動として自分に返ってきたとき
はじめて
自分には何もできないことに気付く

傲慢には害ばかりがあって
何の益もありません
自分を滅ぼすだけのものです

何もできないのに
何でもできると思っている
子供のような自我が落ちる罠
それが傲慢なのです

偽りの塊を捨て
真裸の自分に戻りなさい
正しく自分の姿を見つめ
自分にできることを知りなさい
そしてすべてをやり直すのです

それがあまりに単純で
基礎的な労働でも
嫌がってはならない
自分はまだそんなことしかできないのだということを
素直に認めなさい

倦むことなく
怠ることなく
励みなさい
本当の自分ができる
小さくてもよいことと
少しずつ積み重ね
少しずつ
本当の自分を作っていくのです

その過程で
あなたはさまざまな人に教えられ
自分だけでは何もできないことを知るでしょう
傲慢はしぼみ
美しい謙譲の心が伸びてくるでしょう

それが本当の
人間の道なのです




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