月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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ミアプラキドゥス・4

2018-02-18 04:14:22 | 詩集・瑠璃の籠

馬鹿どもは
借金を払いたくないのだ

この世の秩序をさかさまにして
自分だけを偉くするために
あらゆるものを馬鹿にしてきた
あらゆるものを苦しめてきた

苦いものをかませ
血をしぼりとってきた
永遠の若さをたもつために
おそろしい人数の人間から
顔を盗んだ
いやらしいことをして
人をあざむき
あまりにもたくさんの人間から
信仰を盗んだ

馬鹿どもは
自分が苦しめた人間たちと
同じ目に合わねばならないのだ
それが激しく苦しい
あまりにもたくさんの
馬鹿をやりすぎた
全部支払わされてはたまらない

だからいまだに
自分たちの方を正しいことにできないかと
馬鹿なことを繰り返しているのだ
神のあげあしをとり
神の方が悪いのだにして
自分たちを
無理矢理救いたいのだ

あほうらめ
こんなことになったのも
神が美しい女を作ったからだ
神が人間を作ったからだ
そんなことを言えば
どういうことになると思っているのか

すべてをだれかのせいにしてしまえば
おまえは永遠に
すべてを失うのだ
夢のような
自分だけが正しいという国に
追い出されるのだ
そこがどんなところか知っているのか

それは虚無の星を永遠にめぐる
あるはずのない炎の星なのだ
どこにもない

ゆめにも
神を責めるでない





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セギン・22

2018-02-17 04:14:06 | 詩集・瑠璃の籠

旗を振り
鈴を振り
手を叩き
王をたたえよ
偽物の王を

なんとすばらしいショーだ
きらびやかな演出だ
だれにもできはしない
すばらしい演技だ

万人の拍手を浴びて
本物よりも本物らしい
偽物の王が手を振る
金紫のローブをひきずり
へこんだ王冠をかぶり
プラスチックのような本物の宝石を
たくさん
胸に並べている

あれが王だ
みなが拍手している
ならば自分も
拍手せねばなるまい
だがどこかで
何かが違うと言っている
ほんとうのことは
こんなものではないのだと
ほんとうは
みんなが知っているからだ

遠い昔の
伝説の王をまねて
それらしいことを言い
ギリシャ悲劇の仮面のような
厳かな表情をし
馬鹿が神の真似をしている
わたしをたたえよ
ほめたたえよ
そうすればなんでもしてやる

あ い だ
と思って近づいてみれば
なにかがしめりと冷たい
うつくしいひとだ
りっぱなひとだ
笑っている
おおらかに笑っている
だが

目が違う

これは偽物だ
逃げろ

鉄アレルギーの赤ん坊が
釘に触れたときのように
一斉に人々が退いていく
津波のあとの浜のように
何も残りはしない

あれは偽物だ
よっていくのではない
神の振りをして
人を馬鹿にして
すべてをうばうつもりなのだ





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セギン・21

2018-02-16 04:14:43 | 詩集・瑠璃の籠

音楽とは
霊魂のリズムである
逃げることのできないこの自分の中の
熱い流れが
ほとばしり出て行く
その美しいリズムが
愛を感じる旋律を伴って
世界に泳ぎ出す時
それは音楽になる

はてしない高みに吸い込まれていくような
美しいメロディは
高みに上ることのできる魂でなければ
つくれない
どこまでも
轟音をともなって世界をせめていくような
怒涛のような音楽は
それができるものでなければ
つくれない

音楽とは
魂の伸びなのである

人間はまだ
高みを知らない
人間はまだ
全てを知らない
だからまだ
高みを すべてを
知っているかのような音楽を
つくれるはずはないのだ

もしそういう音楽を
作っているようにみえるものがいたら
それはほとんどが盗みなのである

人間はまだ
永遠に続くかに見える
繰り返しのリズムの中にいる
その中であじわう
悲哀に響いている

その今の自分を教えてくれる
音楽を感じながら
そこをつきやぶっていく
自分の可能性をもさぐっていきなさい

それは
永遠に終わらないリズムではない
テーマではない

見えない壁を突き破れば
飛んでいける果てしない高みと
高く飛べる
自分の魂のばねを
発見するはずなのだ



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ミンタカ・14

2018-02-13 04:14:45 | 詩集・瑠璃の籠

森が深くなるだろう
感性の進化を見た人間は
これまでのように
簡単に木を切れなくなる

草をむしることにも
心を鬼にせねばならないことを
学ぶだろう
強くなるしかない自分を
それで認識していく

みどりが町に押し寄せるだろう
自分だけを守るはずだった
快適な住居の中に
不思議なものが住み着くだろう

それは小夜啼き鳥のように
人間のそばにいながら
歌うのだ
なつかしい
とうとうあなたに
また会えたと

遠いむかし
いつもあなたのそばにいた
わたしは美しい心なのですと

すべてのひとが救われるのは
難しいとは知っていた
だがわたしたちはいつも
あなたたちのそばにいて
未来を信じていた

あなたたちが心を忘れ
森を殺し始めても
ずっと
また会える日が来ることを
信じていた

なにもかもがよくなってくる
これからは
わたしがあなたの
そばにいるから

森が押し寄せてくる
人間の世界に
鬼と言われて去っていった
美しいものが
人間の世界に帰ってくる





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夜の掲示板

2018-02-12 18:05:14 | 星の掲示板

75枚目の掲示板を設定する。




絵/レメディオス・ヴァロ





コメント (148)
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カブディリナン・6

2018-02-12 04:14:01 | 詩集・瑠璃の籠

なぜあなたは
美しくないの?

だれかがたずねる

神さまは
美しくないものを
創ったことはないというのに

するとあなたは
しばし沈黙する
思い出したくはないのだ

そう
あなたは
殺したことがある
自分より
かわいかった子を
殺したことがある
そんな自分が
醜くて
いやなのだ

馬鹿なことをした
すべてから逃げた
そんな自分が嫌なのだ
忘れたい
忘れたい
全部
あれのせいにしてしまいたい

自分が悪くないのなら
一体だれが悪いのか
みんな
自分よりきれいなひとの
せいなのだ
あんなものがいるから
自分が醜くなる

ああ
そしてあなたは
今も殺し続けているのか
自分よりきれいな人を
そしてずっと
醜い自分が嫌なのか
かわいそうに
もう永遠に
わかりあうことができない

自分よりきれいなひとを
すべて殺してしまえば
自分がいちばんきれいになれると
思っていましたか

どんどん深く汚れていく
どんなきれいなものを身に着けても
かくせはしない

すべてを認めて
芋虫よりも醜いものになって
なにもかもをやりなおしなさい
だれの助けも求めてはならない

夢のように白い糸を吐いて
それで月が作れるようになるまで
遠い黄昏の世界で
這いつくばっていなさい




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ミンタカ・13

2018-02-11 04:14:50 | 詩集・瑠璃の籠

美しさというものは
両刃の剣だ

自己存在というものは
愛に目覚める時
目だって美しくなることがあるが
それを見たまだ愛を知らぬものが
自分もあのようになりたいと願い
その美を盗むことがある

美しい豊かな髪や
白いなめらかな肌や
愛らしい目などは
馬鹿が欲しいと思えば
盗んでいけるものなのである

なぜならそれは
神の贈り物であるからだ
美しいことがわかった霊魂には
神が美を下さるのである
その美を
まだ何もわかっていないものが
盗んでいくのだ

愛を知るためには
痛みを知らねばならない
自分を捧げることの
苦しみを知らなければならない
それがわかってこそ
神が下さる美を生きることができる
しかしそれができもしないうちから
高い美をまとうと
人間はおそろしく痛いものになる

自分だけを美しくしようとし
自分とは違う美しさをもった
あるいは自分より美しいものを妬み
いやなことばかりするようになるのである
どうでもいいことをつつき
人を馬鹿にして
自己存在のうれしい意義を
全部だめにしてしまうのだ

暗い獣の心からまだ抜け切れていない者は
つややかなかみや
かわいらしいくちびるや
愛らしい目をもたないほうがよい
そんなぜいたくなものをまとえば
魂が苦い闇にまよいこんでゆく
そして
あまりにも苦いものになってしまうのである

人から自分の存在そのものを盗む
とてもいやなものになるのだ
それは
神が創られたあらゆる美しいものを
全て虚仮にするほど
ひどいものなのである





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ルナ・46

2018-02-10 04:14:16 | 詩集・瑠璃の籠

ああ
つかれている

わたしは
もつれて 凍った
糸のようだ

ほどこうとしても
どうなっているのかさえ
わからない

心配しなくていいと
だれかが
ささやいてくれる

心配をしなくていいのだ
わたしは
疲れすぎているから

もうなにも
できなくなるほど
なにもかもを
やりすぎたのだ

自分でも
知らないうちに

ああでも
みんなが
悲しい目で
わたしを見ているのを
感じる

悲しまないでおくれ
わたしはきっと
元気になるから

きっと直って
また
みんなのために
いいことをするから

水の音がきこえる
やさしい
ひなたのひかりが
せなかにふれる

だれだろう
歌っているのは




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ケンタウルス

2018-02-09 04:14:31 | 詩集・瑠璃の籠

美しさには
おのれであることの美しさと
神であることの美しさの
二種があるということを知りなさい

おのれであることの美しさとは
あくまでも本当の自分を永遠に背負い
あらゆることを自分でやっていく
その存在が本来持つ美しさなのだ

だが神である美しさとは
そのおのれを産んだ愛の美しさなのだ
自分が自分であるということを少し下げ
その自分を産んだ愛を入れるとき
その存在は自分を越えて
あまりにも美しくなることがある

自己存在は
自分自身を
誰かにささげるとき
もっとも美しくなる

愛のために自分が生きる時
自分は最も美しくなる
愛のために自分を捧げる時
自分は自分以上に美しくなる

前者が男であり
後者が女であるのは
もうすでに学んだことだ

自分であることの幸福を研ぎ澄ましていくのが
男であり
自分であることを抑え神を愛していくのが
女なのである

このふたつを良く学び
自分を男として
あるいは女として
高めていくがよい




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トリアングルム・14

2018-02-08 04:14:22 | 詩集・瑠璃の籠

あなたがたが今
欲しいと思っているものを
ないことにしなさい

それは本当は
ありはしないものなのだ
幼い頃は
自分が世界の中心でなければ
生きていけない
そういう仮定の世界にのみ現れる
まぼろしをあなたは見ているのだ

勉強が進み
この世界には自分のほかにも
あらゆる存在がいると知れば
それは自然と
へその緒のようにかわいてとれる
そういうものなのだ

うつくしい女が欲しいと思う
それもまぼろしなのだ
過ぎてしまえば
消えた煙草の煙のように
邪魔なものになる

欲しいと思う心を
捨てなさい
それができなければ
あなたは永遠に
苦しいままなのだ




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