先週映画“INTO THE WILD”を見た後、速攻でAMAZONで注文し翌日には手元に届いた映画の原作となった本 “荒野へ”ジョン クラカワー著
久しぶりにとりつかれたようになって夢中で読み切った本。
映画を見て気になった人は絶対この本も手にとってみることをお薦めします。
アレグザンダー スーパートランプこと本名
クリストファー ジョンソン マッカンドレスのことがよくわかるから。
アメリカの裕福な家庭に育ったマッカンドレスは大学を卒業後、バックパッカーの旅に出る。最終目的は、アラスカの荒野の中で、その土地が与えてくれるものを食べて暮らすこと。それまではアメリカ各地を転々とヒッチハイクで旅をする。ただし、両親と最愛の妹には一切の行き先も告げず、心配する彼らの前から漠然と姿を消してしまうのです。
彼は暢気に、まるで水を得た魚のように旅をする。そうして二年近く過ぎ、いよいよ最終目的地のアラスカの荒野の中へ。そこで彼は、打ち捨てられたバスを見つけます。森の中に突然捨てられていたバス。彼はそのバスを不思議なバスと名づけ、そこを拠点に森の中での生活をスタートさせます。
ところが、荒野に入ってから3ヶ月ちょっと経った8月、彼はバスの中で餓死し、それをおよそ死後2週間経過した頃、たまたまそこを通りかかったヘラジカ狩りの猟師に発見される。
それはニュースになり、なぜ裕福な家庭に生まれ何不自由なく暮らしていけたはずの青年が、そんな荒野の中で餓死していたのか、何故青年は全てを投げ打ちその生活に入ったのか、全米中が騒然となります。
この本は、青年のしたことを他人事とも思えない、自分と似通った部分があり、気になった著者(著者自身、有名な登山家でジャーナリストらしい)が家族、友人、旅を通して知り合った人などから丁寧な取材をし、書き上げたノンフィクション小説です。
映画自体本当によかったのですが、何といっても、最後に本人の写真を目にしたら、私ももっと知りたい、なんで彼は、どうゆう人物だったんだ、気になって仕方なかった。今回本を読んで理解した部分もあり、批判したいところもあり、すごくいろいろなことを考えました。
彼は自分のことがとにかく大好きだったんだろうと思います。自分と自分の人生、冒険。そこにもし他人が、誰か愛する人が出来ていたら、彼の人生はまた違うものになったと思うし、ああいう結果には少なくともならなかっただろうと。そして、両親との不和、これもやっぱり、誰か心から愛する人が彼にいたなら、またこれも大きく変っていたと思う。むしろ子供なんかがいたら、嫌いだった両親でも、彼らの気持ちの一端は理解出来た筈かな、人生、白か黒かでいかないこともあることを理解できたかなと。
親って、血が繋がってるからこそ厄介。でもどうしても気が合わない親子だってたくさんいると思う。それはでも、結局どうしたって仕方ないことで、おまけに下手に血が繋がってるものだから、お互い解かってくれるようにと他人にするのと同じくらいの努力を怠っているとこもあると思う。でもいくら親子でも気を使い、わかりあえるよう努力することが大事なんだと思う。
私がこの話に食いついたのにはもうひとつ理由があって。
先月の誕生日に中学高校が一緒だった友達から手紙が来て、差出人の住所は病院の精神科で、今年の夏からそこに入院してるとの長い長い手紙が入ってて。
その子は、聡明で誰よりもピュアな子で、大学を受験して(一校しか受けなかった)落ちて以来、浪人することなく、毎日本ばかり(それも難しい本。)読んで、その間、私や他の友人は大学でチャラチャラしたり、社会人になってあくせくしたり、彼女はたくさんのアルバイトをしたりはしてたみたいだけど、たま~に会う度に何だかおかしなことばかり言うので、離れていく友達もいたり。
私ももう七年近く会ってないかもしれない。最後に会った時は、彼女の発言に頭にきてひどいこと言ってケンカ別れして帰ってきた。それから5年後くらいに手紙がきて、私も彼女の誕生日にはカードを送ったりして、結局今年の誕生日に送ったカードの後にきた返事がその手紙で。もう手がつけられないくらいおかしなことになってた。
なんて返事を出したらいいかもわからず、また自分自身怖いなあと思う部分もあって、もう関わらないようにしようか、なんて思ったりもしたけど、今回この本を読んで、ああ、彼女に似てるなあって。彼女は、いつも他の皆みたいに自販機でジュースを買うことなく、お小遣いをためて、毎年歳末基金にたまった10万円くらいを募金するようないい子だったのに。
この本を読んで、私はやっぱり返事を書こうと思った。この本と映画のことも書いて、私がこの本に感じた彼女の答えにもなるかもしれない何かを、彼女も少しでも感じ取ってくれたら嬉しいんだけど。
話がだいぶ反れたけど、彼女がすっかり良くなることを心から祈ってるよ。