4CATS

この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

今年私が読んだおすすめ本

2024-07-02 21:28:27 | 私の読書日記
2024年もあっという間に半分終わりですね、と京都出身の人に話していたら、6月30日に食べるお菓子があるんだという。東京では伊勢丹に売ってるから毎年すごい勢いで買いに行くという。水無月というお菓子。東京の人は食べない?と聞かれたが、初耳だった。でも、素敵な風習だなあと思った。

今年読んだ本をちょっと挙げていく。

「ハンチバック」市川沙央

薄い本だけど、、こんなにパンチのある本はおそらく初めて。
ちょっと読むつもりが、そのまま一気読みした。冒頭から、なんだ、これは!!!って感じ。どこまでが本当で、どこまでが創作なの?と思う。これは、文學界新人賞に芥川賞、獲るはずだ。これまでにこんな本なかったし、この人でなくては書けなかっただろう。多様性が叫ばれる現代にこそ、読んでほしい。本当は、分断されてそっち側の世界を見えないようにしている現代人に。

「年収90万円でハッピーライフ」大江扁理

目から鱗。生きにくさを抱えた全ての中学生にも、大人にも読んでほしい。この人の生き方、考え方、全てが仙人だ。これはある種のバイブルとなるだろう。

「梨本宮伊都子妃の日記 皇族妃の見た明治・大正・昭和」小田部雄次

メモ魔だった梨本宮伊都子妃が残した日記を著者がその当時の歴史と見比べながら解説してくれている本。
彼女の生家である鍋島家は今の首相官邸のある場所にあり、嫁家である梨本宮家は今の渋谷駅前(宮下公園あたり)の土地にあり、家の門の周りを歩くと20分かかるというエピソードだけで、どれだけの富が一点集中していたかが、よくわかる。彼女の結婚式のティアラの製作費は、その当時の首相の年収よりうんと高いのだ。
そんな高貴なお人も、戦後は平民となり、数多の財産、土地を手放すことになるのだが、そんな時に、真実の人と成りが判別できるのだなあと思った。果たして、高い教育を受けたこの人は、平民よりも平民であった。著者も若干ディスってるところもあって、面白いので、ぜひ読んでみて。

今年の残り半分は、またどんな本に出会えるのかな♪


殺人犯はそこにいる  隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

2024-06-26 20:45:07 | 私の読書日記
4歳の子供のいる弟から送られてきたYOUTUBE。滅多なことでLINEなんてしてこないのに、いきなり何なんだ??訝りながら見ると、まあそれは怪しい(と私はつい思ってしまう・・)YOUTUBERの10分ほどのお話なんだけど、あ!!この事件知ってる、そう、パチンコ店で行方不明になって今も見つかっていない横山ゆかりちゃんの事件。それから冤罪で17年も刑務所に収監されていた菅谷さんの話。送られてきたYOUTUBEではその事について書いたとある本を紹介していて、それがジャーナリスト清水潔さんの書いた「殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件 」だった。

私はこの本を読んで、ニュースの見方が変わった。テレビでやる事だからと丸のまま飲み込むのはとても危険なことなんだと知った。清水さんは、本当に凄いジャーナリストだ。そして、今の日本に、彼ほどのジャーナリストは残念ながらあまりいなそうだ。
ニュース特番についての見方も変わった。どんな気持ちで番組を作っているかも知ってハッとした。反対に科捜研の女は見たくなくなった。(一度でも見たこともないんだけど)DNA鑑定の可否についてもこれを読んで初めて知る事になった。今まではもう、それは”絶対真実”だと思っていたから、それが足元から崩れ落ちた。それがいかに難しいかもわかったし、検察によって簡単にトリミングされ結果を捻じ曲げられて隠蔽されるのかもよく理解した。何度でも再現できなくては意味がない、という言葉でもう10年近く前になるか、小保方さんのことを思い出した。

この本に書かれている内容には、電車の中で、読むたびに何度も何度も鳥肌が立った。ここまでしても、まだ真犯人を野放しにしている警察、権威を保つためにひた隠しにしていること、謝っても謝り切れるものではないとしても、まだシラを切り続ける絶対的権力が残念でならない。

とりあえず、小さい子供のいる人は、群馬県と栃木県の県境の太田市と足利市のパチンコ店に近づくのはやめてください。その辺で子供を一人きりにしてはいけない。
四人の子供を殺して無慈悲にも捨てた真犯人はまだ生きていて、野放しにされているのだから。

それにしても、栃木県警の捜査は一体何だったのか、菅谷さんは無理矢理自白させられた時、自転車の後ろに乗せて土手を登ったと。実際は、4歳だったその子は、ちゃんとした子乗せ自転車のチャイルドシートでないと自転車の後ろには乗れないと母親の証言がある。確かにそうだ。4歳で普通の自転車の後ろに乗れる子なんて、滅多にいるもんじゃない。そして、電動自転車でもない限り、小上がりになった土手を後ろに乗せて駆け上がるのは絶対に難しい。素人でも容易に想像がつく。おまけに、ルパン似の男と、赤いスカートの女の子が土手を歩いて登っていくところを見たという貴重な証言(二人から)は、なんと菅谷さんを犯人に仕立て上げたくて、抹消してしまっていたのだ。赤いスカートを穿いて土手を歩く女の子なんてよくいるからって・・事件のあった夕方にだよ、本当にふざけるな。

それにしても、この本は本当に凄い本だ。
犯人が逮捕されるその日まで、私もこの事件について訴え続けていこうと思う。
最後に、やはり冤罪だと思われるのに、無理矢理に死刑執行された飯塚事件の久間 三千年さんのご冥福を心よりお祈りしたい。



スウェーデン発ミステリーエリカとパトリックの日常にもどっぷりな話。

2024-06-07 23:46:03 | 私の読書日記
何年か前、図書館でふとタイトルが気になって、借りて読み始めてから大ハマり。それがスウェーデン発のミステリー、小説家のエリカと刑事パトリックが大活躍するシリーズものだ。昨日、6作目の「人魚姫」を読み終えたところ。

舞台は、スウェーデンのフィエルバッカという田舎町。夏のバカンスシーズンには都会の人がやって来て人で溢れるけど、それが過ぎると凍てつく寒さに過疎化が進む町、それがフィエルバッカ。6作目にして、さすがにパトリック管轄のこの小さな田舎町で殺人事件起きすぎやろ。。これじゃまるでコナンじゃん、というツッコミは入れたくなるものの・・たまには舞台を首都ストックホルムに移してもいいのでは?と思いつつ、そこは作者の故郷、フィエルバッカ愛が随所に溢れています。

ところで北欧って、理想の国みたいなイメージあるよね、税金は高くても、揺り籠から墓場までと言われている通り。そして、女性は日本よりもっと働いてて、男性同様出世している、みたいなイメージ。
だから専業主婦なんていないイメージだったんだけど、(この話2008年くらいに出版しているから今から15年近く前になってくるけど、)このシリーズの中では結構普通に専業主婦がゴロゴロ出てきて、現に主人公エリカの妹アンナも専業主婦。
そして、コロナ禍に北欧でDV被害が多発している、というニュースを聞いた時も、え??と半分耳を疑ったものだったけど、これまたアンナが壮絶なDV被害に日常的に晒されている(そこで事件が起きるのだが)。また妻に極端に冷たい男性も多く出てくる。見下してるというか。これも何だかイメージになくて意外だった。
それから、フィンランドはコーヒー消費量世界一というけれど、この話の中でも、何かといっちゃ、主人公たちみんなコーヒーを飲んでるし、人にも薦める、たまたま訪れた家でも落ち着くために勝手にコーヒー漁って淹れちゃうほどのコーヒーラバーの姿がこれまた普通に描かれている。コーヒーなくてはならぬものなんですなあ・・

まあ、とにかく毎回衝撃的な殺人事件の他に、シリーズものならではの主人公たちの普通の日常やロマンスも随所に描かれていて、それがまた大きな楽しみの一つ。現に主人公エリカは1作目では独身で彼氏なしだが、やがて結婚して、子供ができて、またできてなど、このシリーズのファンとしては他に譲れない面白さがある。
単純に楽しみとしての読書ってこういう事だ、とこれを読んでいると思う。
あと4作しかないので、大事に読もう。



「ザリガニの鳴くところ」はぜひ本で読んで

2023-10-22 09:44:12 | 私の読書日記
先月終わりにやった健康診断で引っかかった。
健診後数日して電話がかかってきて、マンモグラフィーで再検査が必要だという。
紹介状を出すから、検査するようにと。多分それが一番動揺した瞬間で、その後紹介状の予約をとり、今度は再検査の予約もし、一昨日超音波をし、無事事なきを得た。心の底からほっとする。もうそういう年齢なのだなあと思う。
先生が仰るに、生理の前はなるべくマンモグラフィーはしない方がいいらしい。
でもこの1ヶ月で、気持ちの切り替えというやつが少し上達したような気がする。
それは、心配事があっても、今この瞬間を楽しんでいようという気持ちだ。
おかげで、自分でもびっくりするくらい心配事をあっけらかんと忘れることができた。でも家族がいて、仕事もしていれば、慌ただしい日常に紛れてしまうのかもしれないが、自分の中ではこれまでになく良い気持ちの切り替えができたように思う。
それと最近、モヤッとすることがあっても、スイッチのオンオフが出来るようになった。以前はわかってはいても、なかなかどうして、な部分があったと思うのに、最近急にパチンとそれが押せるようになったと思うのだ。
最近携帯をアップデートしていてつくづく思うのだが、人間も幾つになってもこんな風にちょっとずつアップデートしていくことって大事だなあって。クローゼットの中もそう、季節ごとに小まめに整理、更新、断捨離していくことが大事だ。
クローゼットの乱れは心の乱れ。

さて、映画「ザリガニの鳴くところ」も面白かったが、原作小説はもっと面白いことを声を大にして言いたい。この小説、作者は勝手に30代半ばくらいの女性を想像していたら、なんと69歳の女性が書いた初の小説なのだというから驚き!!しかし、とてもすごい人で、ノンフィクション界ではカラハリ砂漠で過ごした経験を記した著書が世界的ベストセラーを記録、優れたネイチャーライティングに贈られるジョン・バロウズ賞も受賞し、研究論文があの「ネイチャー」(10年前?くらいの小保方さんでお馴染み)他多くの学術誌に論文が掲載されるというすっごい人なのだ。
にして、こんな湿地の話が描けたんだなあとおおいに納得する。だからね、湿地で暮らす少女の描写が、付け焼き刃で描かれたものではないホンマもので、そこに読み応えがあり、さらにミステリーの要素がずっしりと加って、さすが人生経験豊富な著者の厚みを感じる。加えて、ヒロインはディズニー映画のヒロインのように瑞々しく、女の子なら誰もが思い描く王子のようなヒーロー、そこに、美女と野獣のガストンのようなアンチヒーローまで加って。根底には人種差別、消えることのない人間のさまざまな差別が、訴えかけられている。

「三千円の使い方」これも本屋さんで見て、面白そうと図書館で1年近く待って順番が来て読んでいる途中。「人は3千円の使い方で人生が決まるのよ」という祖母の言葉で始まる世代別のお金の使い方についての話。このおばあちゃんの一言が私の心に響いて、賢く大事にお金を使う人間になろうと改心いたしました。

今日もいい天気でお出かけ日和。
こんな穏やかな日が来るなんて、あの猛暑には想像できなかったね・・
なんだかんだ言うけれど、日本に暮らしていることはものすごく平和で幸せなことなんだと思う今日この頃です。

最近読んだ本〜2023年読書の秋に寄せて

2023-10-06 19:46:06 | 私の読書日記
最近読んだ本諸々を一挙紹介。

「中央駅」キム・へジン著
ホームレスになって中央駅で暮らす男とそこで出会った年上の女、駅にも、主人公たちにも敢えて名前はない。世界中どことも置き換えられる共有感、このどこから読んでも哀しい話を見事なくらい上手に描いた作者の力量のなんと凄いことか。訳者も素晴らしい。

「君という生活」キム へジン著
短編集。いろんな君との生活が語られる。どの話も面白い。

すっかりキム へジンにはまっていく。
昨年から、韓国人作家の小説が私の中で熱い。面白いのが来てるんだけど、どれもこれも本当に素晴らしい。本好きならぜひ読んでほしい。

「説教師」カミラ レックバリ
スウェーデン発のミステリー。シリーズもの、「氷姫」に続く第2弾。
主人公たちのことと、事件と両方楽しめる。さらには、あまり知らないスウェーデンの暮らしについても垣間見れる。北欧の国は福祉国家で揺り籠から墓場までなんて言われて幸福度の高い理想の国のような印象があったけど、この小説を読んでいると、そうでもないんじゃないかなという実態が見えてくる。
やっぱり、どんな国にも不満はあるものなのだね。

「パールストリートのクレイジー女たち」トレヴェニアン
以前にもちらっと紹介したかな?
1930年代NY州オールバニーでの日々を、覆面作家として知られるトレヴェニアンが自身の子供時代を振り返って描いた作品。クレイジーな人々ばかりなんだけど、どこかもの悲しくて、秋の夜長にぴったりの作品。しみじみつくづく素晴らしい小説。出会えてよかった。

「さよなら、ながいくん」川上弘美
川上弘美の東京日記シリーズ、大好きなの。久々に読めて嬉しい。外で読んでると可笑しくてニマニマしてしまう。

秋の夜長も読書の秋も、夏が終わって秋からクリスマス、お正月までの季節が私一番好きなのかもしれない、と昨日スーパーの帰り、自転車乗りながら突然閃いた。






レモンの実、パールストリートのクレイジー女たち、

2023-06-18 08:56:17 | 私の読書日記
バラの花が終わったと思ったら、また新しい葉が育ち、そこにまた小さな蕾を発見。
嬉しくなる。
去年は実をつけなかったオリーブも今年は実をつけているし、レモンもご覧の通り。
去年は出来なかったのに、今年は。う、嬉しい😂




2021年11月末に実をつけていたのを買ってきて以来、花が咲いて、こうして実になっていったのを見たのは今回が初めて。
日々、ベランダグリーンの成長に一人ほっこりする私です。

ところで、スウェーデンの推理小説「氷姫」に続き、今度は「パールストリートのクレイジー女たち」トレヴェニアン著、江國香織訳を読み始めている。

第二次対戦前のニューヨークパールストリートに暮らす人々を少年の目線で描いた半自伝的小説のようだけど、これがもう、とても面白い。はじめ、時代背景が古いからどうかな?と躊躇したが、読み始めたら、返ってそこが興味深く、江國香織の訳も素晴らしくいい。多分、彼女の訳だから、より一層面白く読めているのだと思う。おススメです。


人生に、いつか辿り着く理想の島なんてないんだというお話。

2022-11-17 20:52:32 | 私の読書日記
先日、図書館に寄ったら、10月の月間おすすめ図書が、マインドフルネス的なテーマで、マインドフルネスという言葉にともかく弱い私。もうすっかり読み飽きたはずのドミニック ローホーの本を懲りずに借り、もう1冊、リフォーム会社を経営するリブコンテンツという会社の代表、田原由紀子さんが書いた「愛せるキッチン 愛する暮らし 50代からの私らしい住まいと暮らし方」という本を借りてみたのです。

その、軽くパラっとするだけくらいの気持ちで手に取った田原さんの本が今回結構目から鱗で、その文章を思わずノートに書き留めたのです。

それは、田原さんが必死で仕事に家庭にと頑張っていた時期、その当時おそらく50代くらいの人生にもお金にも余裕のありそうな田原さんの顧客のマダム達が田原さんに言い放った言葉。

当時、田原さんの目にはそのマダム達がもうすっかり満たされて毎日が南の島で寛いで過ごせるような人生を送っているように見えたという。でも、そのマダム達に言わせると、田原さんが想像しているようなそんな理想の島なんて人生に存在しないという。人間幾つになっても、そんな理想の島に辿り着けることを目指して舟を漕ぎ続けるだけなのだという。実際、そのだいぶ余裕のありそうなマダム達も、未だに必死に漕ぎ続けているというのだ。

40代も半ばに近づきつつある私、ままならない思春期息子にヒーヒーしている日々で、50代は何だか、いろいろ終わって、余裕も生まれて、案外いいものなんじゃないかな、と私も多分その頃の田原さんと同じような気持ちでいたのだけど、そんな島なんて存在しないんだよ、と言われてみて、そうだったのかあ、、と妙に納得してしまった。そして、実際田原さんもそんな50代を迎えてみて、改めて島なんてないんだということに気付いたという。田原さんが言うには、だからこそ、自分の乗っている舟をなるべくなら、心地よくメンテナンスして、これから先も気持ちよく漕ぎ続けていこうじゃないか、と。死ぬまでずっとえっちらおっちら小舟を漕ぎ続ける人生。理想の島にたどり着くことを夢見て。



かいつまんで言ったら、そう言うことが書いてあって、意外なほど、為になる本だった。なので、おすすめです。ほんとに。



もう本屋さん大賞は信じない

2022-08-26 22:19:33 | 私の読書日記
「ベルリンは晴れているか」に続いて、めちゃくちゃ読むのが苦痛だった作品、勝手に期待していただけに脱力。「そして、バトンは渡された」・・・・・。

娘が読んでる少女漫画の世界なら、百歩譲って許せるような内容。内容がないのにページ数は無駄にある。おいおい、いい加減にしろよ、、が結局最後まで続いた。
そもそも、これよく出版できたなあ。。。そして、よく映画化までしたなあ。


本屋大賞って書店員さんが選んだその年のベスト10的な賞なんだよね??書店員さん、ふだん一体どんな本を読んでるのよ??

今年の夏休みもあとちょっと。



本当に奇跡も魔法も感じられたよ。伊坂幸太郎の「アイネクライネナハトムジーク」

2022-07-19 21:35:42 | 私の読書日記
伊坂幸太郎は若い頃、友達にすすめられてたのに、今の今まで読んだことがなく、愛鳥に出ていかれて、落ち込んでいた時に図書館で、「アイネクライネナハトムジーク」をたまたま手にし、奇跡、魔法のような短編集との裏書きに半ばすがるような思いで読み始めた。

そしてこれが、めーーっちゃくちゃ面白くて通勤を魔法の時間に変えてくれた。

ささくれだってた心にぽっと灯がともる。そんな小説だった。
読み終わって、早速斎藤さんを聴いちゃったよ♪

絶対他のも読んでみる〜。あとがきによると、毛色が違うらしいけど。
男の人なのに、かなり上手に女性を描けるんだなあと思った。

大好きな江國香織の雑多な登場人物が出る話を読んだ後だから、特にそう思った。
江國さんには、自分の世界のままに作品を描いてほしいなあ。やっぱりちょっと浮世離れしてるから、普通の人たちを描くことにはちょっと違和感しかなくて残念だった。






『ミカンの味』を読んで

2022-06-19 10:21:51 | 私の読書日記
チョ・ナムジュさんの「ミカンの味」を読み終えた。

思春期の女の子4人の物語だ。どうやら、著者の娘さんも思春期。うちの息子も思春期。思春期って特別なんだ〜と反抗真っ盛りの息子に手を焼く毎日に、この物語がちょうど刺さった。

終わり方も秀逸だし、タイトルが「ミカンの味」となった場面もみずみずしく美しい。

韓国の進学状況がわかるように、解説も丁寧にされていて、同じく高校受験を考える母親としては格別興味深い。

作者のあとがきも素晴らしくて、ちょっと電車の中で泣きそうになったんだけど、そこに以下の文章があって、

成長はときに手に負えなくて、孤独なことのようです。「誰でもみんな経験することだよ」「あなたは一体何が不満でそんなふうなの?」という言葉に、そうは言っても大変なものは大変なのだと、そういうこともあるんだと答えたかったのです。
                   ミカンの味 作者あとがきより

成長はときに手に負えなくて、孤独なことのようです」この言葉こそが私が探していた思春期についての答えのように思えて、ポストイットに書きつけてトイレの壁に貼り付けた。