五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

能の発表会で思ったこと

2011年05月06日 | 第2章 五感と体感




「写真:Parisパッサージュ巡り17・ギャラリーヴィヴィエンヌ」

思えば中学生の頃から日曜日の朝に毎週放映されていた能楽のテレビ番組をひとりで眺めていたのが能楽に触れた最初の体験のようです。

学生の頃から能を観始め、とはいっても、装束や所作の美しさを絵画や掛け軸のしつらえに繋げていくことが、私の主な能の観方でした。

3年前にひょんなことから能楽の仕舞いと謡いを習うことになり、いざ自分が演じることの主体となると俄然意識が変わってきました。

能楽は面白くてしょうがない世界なのです。

昨日は、私が習う金剛流の社中発表会でした。
舞台に上がらせていただくのは今回で5回目。
3年前初めて舞台に踏み入れた瞬間、神様の手のひらに乗ったような柔らかい光の中に温もりを体感しました。
こんな気持の良いものか、、、と、光の温もりに一気に魅了されてしまったのです。

羽衣のクセの仕舞いは、なかなか覚えられず、ようやく身体に馴染んできたところで本番となりました。
緊張しつつ舞い始め、左足で一回拍子を踏むと何とも言えない大きく柔らかい音が舞台の底から響き渡り、その音を聴いた瞬間、緊張感が解きほぐれ地謡と自分が一緒になったような心地良い体感を覚えたのです。

もちろん、習いたての私がそれなりの出来で舞っているのは充分承知しているのですが、この心地よさを体感してしてしまうことが、止められなくなる原因なのかもしません。

毎回毎回、連吟にしても、仕舞いにしても、舞台に上がるとどんな五感と体感が自ら湧いてくるのだろう・・・

この期待感が、自己と向かう自分自身との自問自答にも繋がっていくようにも思います。

「魂の投影」といっても過言ではない世界が能にはあるのです。

連休明けの仕事のペースを戻すのに、ちょっぴり時間がかかるかりそうです(笑)

好きなことに夢中になる喜びを体感することは、自己に留まることから生まれてくるようです。
他者から与えられるものではなく、絵に描いた餅でもなく、自分の内からふつふつ湧きあがった喜びこそが「幸福感」なのでしょう・・・

喜びを掴むことに躊躇しないことも、自分の生き甲斐の探し方かもしれません。

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