はたして幸福とはなんでしょう。
95歳を越えた現役の医師、日野原重明さんは、著書「生きかた上手」のなかで、スイスの哲学者、カール・ヒルティの『眠られぬ夜のために』の一節を引用してこういっている。
「人生の幸福は、困難に出合うことが少ないとか、まったくないとかいうことにあるのではなく、むしろあらゆる困難と戦って輝かしい勝利をおさめることにある」
若いころ、自分に投げかけられた言葉のように感じ、励まされ支えられた言葉だそうだ。
さらに歳を重ね、今もしっくりなじむ言葉に出合ったのが、アウシュビッツ強制収容所での日々をつづった、ユダヤ系オーストリア人の精神医学者ヴィクトール・E・フランクルの著書『夜と霧』の中にある次の言葉だそうだ。
「しあわせは決して目標ではないし、目標であってもならないし、さらに目標であることもできません。それは結果に過ぎないのです」
小学生のとき『青い鳥』のチルチルを演じた彼は、「しあわせは外にではなく、心の内にある」という台詞を今もそらんじているという。
昨夜来の雨もやんだ6月初日の午後、青空の下を行く人々の姿は、皆、幸福そうで、見ている僕まで幸福な気分になった。