風邪による発熱でダウンした一週間余り、目に入るものは皆モノトーン、食事はまずく腹も空かない。なにをするのも面倒だ。身体の不調は心も不調にする。熱も下がり外に出てみると、そこにはいつのまにか春があった。
夜来の風雨はベランダをしとどに濡らし、春雷が運ぶ香りはまさに春。雨の一夜が明けると、風邪で寝てる間に開いたベランダのユキヤナギの、白い花びらにふりそそぐ陽光の温もりは、心まで温かく包んでくれる。そして健康の有難さと、春のよろこびを教えてくれた。
一度かぎりの旅。浮いたり沈んだり、波にゆられ岩をこえ、春の陽ざしに流れる花びらのように・・・・・。ユキヤナギの花びらの向こうに、すぐそこまでやってきた爛漫の春を見た。
◇ 一度かぎりの旅 ◇
-ゆきやなぎ-
花びらが流れる
波にゆられ
岩をこえて
家族のように身を寄せ
浮いたり沈んだり
あの一列は遠足
あの団体は農協
ひとつだけで寂しげなのは
私の心か
汚れれば汚れるほど
美しい川を行きたい
一度かぎりの旅
花びらが流れる
-星野富弘さん-
-ゆきやなぎ-
花びらが流れる
波にゆられ
岩をこえて
家族のように身を寄せ
浮いたり沈んだり
あの一列は遠足
あの団体は農協
ひとつだけで寂しげなのは
私の心か
汚れれば汚れるほど
美しい川を行きたい
一度かぎりの旅
花びらが流れる
-星野富弘さん-