年が明けたばかりだと思っていたら、あっという間に1月も終ろうとしている。 どんよりとした曇り空からは今にも雪が舞いそうな、寒々とした冬枯れの墨田公園では、春を待つ桜の蕾が膨らみかけている。
『なほゆきゆきて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。それをすみだ河といふ』(伊勢物語)
◇名にしおはば いざ言問はむ都鳥 わが思ふひとは ありやなしやと◇ 隅田川に架かる言問橋の名の由来にもなった、伊勢物語の中で在原業平が詠った都鳥(ユリカモメ)も、北へ帰るのを忘れ、何を思うかひとり首をかしげて隅田の流れを見つめていた。
「春のうららの隅田川 上り下りの船びとが・・・」と歌うには季節は早いが、過ぎ行く月日もまた早い。