大通りに面したビルの1階、デザイン関係の事務所と思われる入り口の植え込みに咲く白い花。椿のようでもあり、山茶花のようでもある。
あまり見たことのない花の美しさに足を止め、葉を見ると椿よりかなり細い。花の名を知りたくなった。
事務所の入り口は、通りすがりの者を受け入れる雰囲気ではない。しかしそこは恥知らずの僕、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というではないか。洒落た階段を数段昇り中に入る。
「入り口に咲いている花がきれいなので、名前を伺おうと思いまして」。僕の問に、出て来たご主人が呼んだのは、奥様と思しき髪に白いものが混じった年配の品のいい女性。持ってきた数枚の紙片を見ながら花の名を教えてくれた。カタカナの覚えにくい名前に、ケイタイに一語一語確認しながら打ち込んだ。
花好きと思われる奥様とひとしきり花談義。植え込みに植えられた植物にはかなりこだわりがあるようだ。突然のお邪魔に、早めに切り上げようとするが、次から次へと話が終らない。
ある日植えたばかりの侘び助を引き抜かれて持ち去られたという。「ここは良くお年寄りが座って休んでいくの。もし、花の好きな人が持っていったのなら、それもボランティアと思えばいいの」そういって微笑んだ。
家に帰ってPCで調べようと確認すると、打ち込んだ筈の花の名前がない。保存し損なったようだ。まっいいか、花の名前は忘れたが、人のやさしさに触れられたのだから。。。
事務所の入り口は、通りすがりの者を受け入れる雰囲気ではない。しかしそこは恥知らずの僕、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というではないか。洒落た階段を数段昇り中に入る。
ある日植えたばかりの侘び助を引き抜かれて持ち去られたという。「ここは良くお年寄りが座って休んでいくの。もし、花の好きな人が持っていったのなら、それもボランティアと思えばいいの」そういって微笑んだ。
家に帰ってPCで調べようと確認すると、打ち込んだ筈の花の名前がない。保存し損なったようだ。まっいいか、花の名前は忘れたが、人のやさしさに触れられたのだから。。。