2ヶ月振りの眼の検診の小田原行きは、これ以上の天気はないと思われるような、風のない暖かな晴天に恵まれた。
早朝に出かけるため朝食も摂らずに行き、病院で受付をしてからの待ち時間に、食堂で食べるのがいつものコース。
しかし、小田原駅を降りて駅弁広告を見て考えた。そうだ、駅弁を買って病院の外で食べよう。この晴れがましい天気に、丘の上から見る景色は駅弁の味を更に美味しくしてくれるかもしれない。
快晴の空の下で食べる、金目鯛の炙(あぶ)り寿司なるこの駅弁、丘の上の小さな幸せの一瞬でもあった。
病院から見下ろす小田原の街は、穏やかな冬の日差しに包まれ、よく見えるようになった僕の眼にやさしく微笑んでいるようだった。



