女子サッカー国際親善試合・キリンチャレンジカップ2012「日本VSブラジル」が5日、ホームズスタジアム神戸で行われました。なでしこJAPANは1日のアメリカ戦で、近賀ゆかり選手のゴールで先制したものの、後半に追い付かれ引き分けに終わりました。迎えた2戦目は、ブラジル女子代表が相手です。FIFA女子ランキング4位のブラジルは、アテネと北京五輪で2大会続けて銀メダルを獲得している強豪チーム。ロンドン五輪でメダルを争うかもしれない相手に、前哨戦となるこの試合で勝利なるか?
スタメンは次の通り
GK 12 福元美穂
DF 2 近賀ゆかり
DF 4 熊谷紗希
DF 16 矢野喬子
DF 5 鮫島 彩
MF 14 田中明日菜
MF 13 宇津木瑠美
MF 11 大野 忍
MF 8 宮間あや
FW 9 川澄奈穂美
FW 7 安藤 梢
GKは福元が起用され、阪口夢穂に代わって宇津木がボランチに入り、安藤が先発出場しました。
まずチャンスを作ったのは日本でした。前半2分に川澄がペナルティエリア手前からミドルシュートを打って行くが、GKにキャッチされます。ブラジルは8分、左サイド・ダニエリのクロスにクリスチアーニが頭で合わせますが、ゴール右に逸れて決定機を逃します。前半15分、日本はハーフウェーライン左の位置でFKを獲得し、宮間がゴール前へセンタリングを入れ、ブラジルDF・ダイアニが頭でクリアするが、うまくクリアできずゴールイン。ブラジルの主将のオウンゴールで日本が先制点を奪います。
勢いに乗る日本は前半19分、宮間のパス→安藤がミドルシュートを狙うもGKに阻まれ、23分には宇津木のスルーパスを受けた鮫島が、巧みな足技でダイアニをかわした後に宮間へパス。宮間がゴール前にパスを入れるも、味方には通らず。29分、右サイドの近賀→川澄クロス→大野が飛び込むも届かず。30分には鮫島がグラウンダークロスを入れるが、ゴール前にいた安藤がシュート打てず。32分には川澄がシュートを狙うも枠を捉えられない。
日本1点リードのまま迎えた前半44分、ブラジルのフランシエリがDFをかわしてドリブル突破を図るが、ペナルティエリア手前で田中に倒されてFK。なでしこ、終了直前にピンチを迎えてしまう。ブラジルは絶好の位置でのFKをフランシエリが右足で直接狙い、ゴール右隅に突き刺さる。フランシエリの技ありFK弾でブラジルが1-1の同点にしたところで前半終了。
後半に入り、日本は田中を下げて菅澤優衣香を投入。後半立ち上がり、同点の勢いに乗るブラジルが攻め立て、グラジエリが突破を図るが、熊谷と矢野のDFコンビがしっかりと対応。日本は3分、近賀のクロス→菅澤がヘディングシュートを狙うもブロックされ、こぼれ球を大野が中央から強烈な右足シュートを放つが、GKのセーブに阻まれる。4分、右CKのこぼれ球を拾った後、宮間が右サイドでDFを2人かわし、グラウンダークロス→永里優季(前半39分から出場)には届かず。
後半12分、近賀が大野とのワンツーで突破→クロスはDFにクリアされてCK。続く右CKを宮間が左足でクロス→走り込んで来た永里のヘディングシュートが決まり、日本が2-1と勝ち越しに成功!さらに15分、左サイドの川澄のパス→菅澤がマイナスの位置から折り返し→永里が反転しながら右足シュートも阻まれるも、最後は宮間が押し込み3点目!なでしこがカナリアを突き放す!
後半24分、川澄が左の位置からシュートを狙うもGKに阻まれ、25分には菅澤がDFとの競り合いに勝つと、中央突破を見せるが、シュートは打てなかった。日本は熊谷→長船加奈、大野→上辻佑実と若手組を相次いで投入。ブラジルは30分、右サイド・アリニのクロスをフランシエリがヘディングで狙うもダメ。38分、エリカが胸トラップ→振り向きざまに左足ボレーを狙うが、GK福元が右手一本でファインセーブ。エリカの個人技、福元の反応どっちも素晴らしい。
そして後半44分、上辻が中盤でDFをかわすと、右サイドでオーバーラップしている近賀にパスを入れ、近賀がダイレクトでグラウンダークロス→菅澤のスライディングシュートが決まってダメ押しの4点目。日本は後半ロスタイムに中野真奈美が投入される。その中野は終了間際に中央でドリブルを仕掛けると、川澄にスルーパスを出すもオフサイド…。結局試合は4-1で日本代表が勝利しました。
なでしこJAPAN、女子カナリア軍団に快勝!今回のなでしこは本当に強かったなあ。相手が中1日で試合に臨み、しかも大黒柱のマルタ不在の影響もあったけど、ブラジルを相手に4得点のゴールラッシュを見せるなんて凄いですよ。この2連戦はアメリカと互角の勝負を見せ、ブラジルに一度は追い付かれながらも、後半に世界女王の底力を発揮させて完勝。国内2連戦を1勝1分けを終え、五輪メダル獲得にまた一つ前進できたかなあと思います。
そういえば、「キリンチャレンジカップ」は3か国の総当たり戦である事を今頃になって気付きました。アメリカと日本は1勝1分け・勝ち点4、得失点差(お互い+3)でも並びましたが、総得点差で日本が上回ったため(日本5得点、米国4得点)、日本が優勝を果たしました。なでしこがまた一つタイトルを手に入れたか。
この試合で最も目立ってたのはキャプテンの宮間あや選手で、3得点に絡む活躍を見せました。前半15分のFKで相手のオウンゴールを誘うと、後半13分にはCKで永里選手のゴールをお膳立て、3分後には自ら得点を挙げました。守備面では、ボランチの2人の明暗が分かれました。宇津木選手はブラジルの攻撃を抑えると、スルーパスを通す場面も。一方の田中選手は、不用意なファウルを犯した事が失点につながり、前半終了後に交代させられました。
交代組では菅澤選手と上辻選手が良く、後半44分の4点目は、上辻選手のパスが起点となり、菅澤選手がスライディングで上手く合わせました。上辻選手は緊張でいい動きを見せられずにいたけど、最後の最後でいいとこ見せられたし、菅澤選手はゴールで生き残りをアピールできましたね。
キリンチャレンジカップを制したなでしこJAPAN、今後の日程は4月24日に五輪の組み合わせ抽選会、6月にはヨーロッパ遠征、7月11日には国立競技場で五輪前最後のテストマッチが行われます。組み合わせ抽選で「死のグループ」に入るのはできるだけ避けたい…。それに五輪本番前に主力選手が故障しない事をとにかく願うばかりです。