3月に入り、いよいよクラシックのトライアルシリーズが開幕。7日は中山競馬場で皐月賞トライアル・第47回報知杯弥生賞(GⅡ)が行われました。そしてドバイから大変残念なニュースが届き、ワールドカップに挑戦予定だったウオッカが鼻出血により現役引退を表明しました…。
まずは弥生賞からです。皐月賞と同じく2000mで争われるこのレースは、3着までに優先出走権が与えられます。昨年はダービー馬のロジユニヴァースが制しました。今年は現在3連勝中で前走のラジオNIKKEI杯2歳ステークスの勝ち馬①ヴィクトワールピサに注目が集まり、朝日杯フューチュリティステークス2着の③エイシンアポロン、同レース3着の⑪ダイワバーバリアン、京成杯2着の⑬アドマイヤテンクウ、3戦2勝の④ミッションモードと⑥トーセンアレスなどが出走しました。
スタートでややバラつきがあり、⑥トーセンアレスが少し立ちあがる場面もありました。ヴィクトワールは控え気味に出て、エイシンアポロンはゲートが開くのと同時に飛びだしました。注目の先行争いでは、⑦ベストブルームと⑨スマートジェネシスの2頭が前に出て、ベストブルームが先頭、スマートジェネシス2番手。エイシンアポロン、アドマイヤテンクウ、ダイワバーバリアン、ヴィクトワールピサの有力馬は中団でゴール板通過。
1,2コーナーから向正面に入り、トーセンアレスがレースを引っ張り、エイシンアポロンは3番手。6番手の位置にヴィクトワールピサが進出し、⑤マコトヴォイジャーと並走状態。その後ろにアドマイヤテンクウがつけている。バーバリアンが9番手、10番手に②ダイワファルコン、後方3番手のところにミッションモード、トーセンアレスは最後方という展開。前半1000mを63秒台のスローペースで通過、13頭がほぼ一団で3コーナーに入り、残り800m時点でヴィクトワールはまだ中団。アポロンは4番手、テンクウ6番手。ダイワバーバリアンが外に持ち出し、⑫ビッグバンが連れて上昇開始。
3,4コーナーから最後の直線に向いてきて、エイシンアポロン・ベストブルーム・スマートジェネシス・ダイワバーバリアン・⑩コスモヘレノスの5頭による先頭争いから、エイシンアポロンが抜け出す。ヴィクトワールピサが最内から襲いかかって3番手に浮上すると、残り100mでアポロンとバーバリアンの間を割り、ゴール手前でエイシンアポロンをかわして1着ゴールイン!ヴィクトワールピサ4連勝で弥生賞を制しました!
弥生賞は1着のヴィクトワールピサ、2着・エイシンアポロン、3着のダイワファルコンが皐月賞の優先出走権を獲得。3番人気のアドマイヤテンクウは直線で失速して11着、ダイワバーバリアンは4着、ミッションモードは9着と言う結果に終わりました。
こりゃ強いですね~!道中は中団キープ、直線では前が固まっていて抜け出せないんじゃないかと思っていたんですが、残り100mを切ってから一気に加速し、前の2頭を捕らえました。初めての関東遠征、重馬場、最内枠といろんな悪条件があったけれど、それらを克服して結果を出しましたね。これでヴィクトワールピサは通算5戦4勝、重賞2連勝です。ライバルのローズキングダムを破って皐月制覇もあり得るかも?
ヴィクトワールが弥生賞に出走したその裏で、阪神では注目のクラシック候補生が走っていました。阪神の特別競走・アルメリア賞(9レース・3歳500万下・芝1800m)にルーラーシップが参戦。ルーラーシップは父がキングカメハメハ、母がエアグルーヴという良血馬。これまで2戦1勝ですが、新馬戦では3馬身半の快勝を見せました。若駒Sで2着に敗れた後はフレグモーネや熱発で体調面に不安がありましたが、3戦目のこの日は元気な姿を見せました。
レースは⑧アジェンダが先手を取り、ルーラーシップは中団の位置え8,9番手を進み、3,4コーナー中間付近で外に持ち出して進出し始めるが、やや掛かり気味。4コーナーから直線に入ったところで、斜行した⑩タムロスカイと接触して不利な状態になるが、残り100m辺りで末脚が炸裂して1着ゴール。被害を受けながらも最後は勝利を飾り、クラシック参戦に猛アピールです。なお、2位で入線したタムロスカイは進路妨害により14着に降着。佐藤哲三騎手は4日間の騎乗停止処分となりました。
約1か月の休み明けを経て2勝目を挙げたルーラーシップ、直線でいい脚を見せましたね。皐月賞ではヴィクトワールピサとローズキングダムに次ぐ有力候補になるでしょう。本番ではピサVSローキンVSルーラーの3強対決が見てみたい。
さて、ドバイワールドカップを最後に引退する予定だったウオッカが、ドバイW杯を回避して引退する事を発表しました。現地時間4日に行われた「アル・マクトゥームチャレンジ ラウンド3レース」で8着に敗れた後、レース中に鼻出血が判明。馬主と角居勝彦調教師が協議した結果、引退する事を決めました。ウオッカは昨年のジャパンカップを制した後、鼻出血により有馬記念の出走がNGになり、これが2度目となります。
マクトゥームチャレンジで敗れたときは、未経験のオールウェザーにまだ慣れてない事が一番の敗因じゃないかと思ったんですが、まさか鼻血だったとは…。W杯での巻き返しに期待がかかっていただけに正直残念としか言えません。ドバイに3年連続で挑戦するも、海外制覇の夢は叶わぬまま終わってしまいました。今後は繁殖牝馬になり、アイルランドで凱旋門賞馬・シーザスターズとの種付けを行う予定。日本の最強牝馬と世界最強馬のDNAを受け継いだ仔馬が日本で活躍し、ウオッカが果たせなかった海外GI制覇を成し遂げてくれるはずです。
ウオッカは牝馬の中でも最強で最高の存在で、日本競馬界の中心でした。記録面ではシンボリルドルフ・ディープインパクトと並ぶ7度のGI制覇、2年連続の年度代表馬に輝きました。GI制覇シーンも印象に残るものばかりで、2007年は牝馬として64年ぶりの日本ダービー制覇、2008年の秋の天皇賞ではダイワスカーレットとの死闘を演じ、2009年のヴィクトリアマイルでは格の違いを見せつけ、安田記念では不利を受けながらも最後はディープスカイをかわして勝利。その強さにファンは酔いしれた事は言うまでも無いでしょう。
記録と記憶に残る名牝がターフを去り、また一つの時代が幕を閉じました。全国の競馬ファンにいくつもの感動を与えたウオッカ、あなたの強くて美しい走りは一生忘れません。今まで本当にありがとう、そしてお疲れ様でした。素敵な母親になってください。あと、ドバイワールドカップ参戦を表明したレッドディザイアには、ウオッカの分まで頑張ってほしいと思います。