上半期の最強古馬&長距離王決定戦・第143回天皇賞・春(GI・芝3200m 18頭立て)が1日、京都競馬場で行われました。今年の春天は最強の4歳世代が10頭も集結し、4歳世代では、GⅡ連勝中の⑨トゥザグローリーが四位洋文騎手とのコンビで挑み、昨年のジャパンカップ覇者・④ローズキングダム、秋天2着・⑥ペルーサ、ダービー馬・⑮エイシンフラッシュ、産経大阪杯を制した②ヒルノダムール、⑱コスモメドウと⑫コスモヘレノスの「コスモ叩き上げコンビ」が参戦。古馬勢からは、2009年の覇者・⑧マイネルキッツ、阪神大賞典の勝ち馬③ナムラクレセント、古豪⑭トウカイトリック、菊花賞馬⑯オウケンブルースリ、そしてフランス№1ステイヤー⑤ジェントゥーが最強世代を迎え撃ちました。
レース直前の単勝上位人気は、1番人気はトゥザグローリー(3.1倍)、2番人気ローズキングダム(4.2倍)、エイシンフラッシュ3番人気(7.1倍)、4番人気のペルーサ(8.0倍)までが10倍を切り、後はナムラクレセント、マイネルキッツ、ヒルノダムール、ジェントゥーと続きました。
注目のスタートはややバラつきがあり、クレセントと⑰フォゲッタブルが立ち遅れたのに対し、今でも出遅れが気になって仕方がないペルーサが上手くゲートから飛び出しました。向正面での先行争いでは⑫ゲシュタルトと①ビートブラックが前に出て、ゲシュタルトが先手を取り、ビートブラック2番手。ペルーサは3番手と先行策、トゥザグローリーは4番手でヒルノダムールと並走し、ローキン6番手。4歳勢は前からの競馬だ。中団の8番手付近にキッツ、クレセントが並び、フラッシュ10番手。その後ろの11番手にジェントゥー。後方ではブルースリ14番手、コスモメドウ15番手、トリック17番手。フォゲッタブルが大きく置かれて最後方追走。
1周目のスタンド前に差し掛かり、最初の1000mを64秒台で通過。コスモヘレノスがじわっと進出して先頭に立ち、後続を引き離そうとする。すると今度はトゥザグロとメドウが進出し、ゴール板を過ぎたところでトゥザグローリーが先頭に立った!まだ距離的にも十分あるのに前に行って大丈夫なのか?1,2コーナー中間地点ではマイネルキッツが3番手に上がっている。2周目のバックストレッチで今度はナムラクレセントが動き、トゥザグロかわしてトップに立った!ローキンも2番手集団に接近。今年の春天は順位が激しく変動する!
残り1000mを切ったところで、先頭はクレセント、キッツ2番手、トゥザグローリー3番手、ローズキングダムが4番手追走。ヘレノス5番手の位置。ペルーサ6番手、ヒルノダムールは内ラチ沿いを走り、最初鼻を奪ったゲシュタルトは8番手後退。外からフォゲッタブルが中団まで上がってます。10番手の位置にビートブラックとエイシンフラッシュ。後方には⑬ジャミールが加速し、ジェントゥー12番手、コスモメドウはまだ後方待機の13番手。オウケンブルースリ、トウカイトリックはまだ後方だ。
外回り3コーナーの坂の頂上から下り坂に入り、先頭クレセントと2番手キッツの順位は変わらず。3番手のローキン&ヘレノスの4歳勢が徐々に迫ってくる。トゥザグロは5番手に下がり、フォゲッタブルは6番手まで上がってきた。ダムールとペルーサはまだ中団の馬群の中。いよいよ菖蒲は4コーナーから最後の直線!ナムラクレセント依然として先頭、トゥザグローリーが巻き返そうとする中、内からヒルノダムール、大外からエイシンフラッシュが猛追!ローズキングダムはあまり伸びずに後退、トゥザグロも勢いがない。残り200~100mの辺りで、先頭争いはクレセント、フラッシュ、ダムールの3頭に絞られ、ゴール前でヒルノダムールがかわして先頭、エイシンフラッシュが迫るも、ダムール振り切って先頭ゴールイン!藤田伸二騎手が勝利のガッツポーズを見せ、ヒルノダムールGI初制覇!
最終成績&払戻金
1着②ヒルノダムール 3.20.6
2着⑮エイシンフラッシュ 1/2馬身
3着③ナムラクレセント 1 1/2馬身
4着⑦マカニビスティー 1 1/4馬身
5着⑭トウカイトリック クビ
6着⑧マイネルキッツ クビ
7着①ビートブラック 3/4馬身
8着⑥ペルーサ 1馬身
9着⑤ジェントゥー 1 3/4馬身
10着⑯オウケンブルースリ 1/2馬身
11着④ローズキングダム 3/4馬身
12着⑩トーセンクラウン 1 1/2馬身
13着⑨トゥザグローリー 3/4馬身
14着⑫コスモヘレノス アタマ
15着⑬ジャミール 1 3/4馬身
16着⑰フォゲッタブル 3 1/2馬身
17着⑪ゲシュタルト 1 1/4馬身
⑱コスモメドウ 競走中止
払戻金
単勝 2 1690円
複勝 2 550円 3 450円 15 300円
枠連 1-7 2970円
馬連 2-15 6810円
馬単 2-15 15590円
ワイド 2-3 2560円 2-15 2280円 3-15 1600円
3連複 2-3-15 25530円
3連単 2-15-3 189840円
先頭の馬がゴロゴロと入れ替わり、出入りの激しかった今年の春の天皇賞は、単勝7番人気だったヒルノダムールがゴール前でナムラクレセントを差して優勝を飾りました。ダムールは前走の産経大阪杯に続いて重賞2連勝、4度目のGI挑戦で嬉しいGI初制覇となりました。昨年のダービー馬・エイシンフラッシュが半馬身差の2着。この2頭は2周目の4コーナーまで中団でじっと我慢し、最後の直線でダムールが真ん中から、フラッシュは大外から一気に伸びて行きました。どちらも大阪杯組だから、次走の宝塚記念でも上位争いしてくるでしょう。
一方、1番人気だったトゥザグローリーは13着、2番人気ローズキングダムは11着と惨敗。ペルーサも直線見せ場なく8着。4歳世代の層の厚さを改めて証明したのと同時に、「大阪杯組」と「日経賞組」の明暗がクッキリと分かれた結果となりましたな。なお、このレースでコスモメドウが最後の直線で競走中止し、両前繋靭帯断裂で予後不良となってしまいました。
優勝したヒルノダムールに騎乗した藤田伸二騎手は、春夏通じて天皇賞初制覇。GI勝ちはフェブラリーステークスのトランセンドに次いで今年2勝目、通算でも15勝目です。ダムールの父・マンハッタンカフェは2002年の春天を制しており、親子2代での春天制覇を達成。これは56年ぶり2度目の快挙だそうです。いつかダムールの子供が天皇賞を制して「親子3代制覇」の偉業を成し遂げる時が来たりして。春秋連覇の可能性も残されていますが、秋は凱旋門賞に挑戦するプランが浮上。もしかしたらヴィクトワールピサとの直接対決が見られるかもしれません。
上位人気のトゥザグローリーとローズキングダムはどちらも折り合いの悪さが響いて2ケタ順位。トゥザグロの場合は四位騎手との息が合わなかった、距離が長すぎたなど敗因は色々あると思いますが、1周目のゴール板を通過した後に鼻に立ったたのが一番の敗因ではないかと思う。ローキンは終始掛かり気味で、1周目のスタンド前で首が上がってるのがよくわかったし、向正面でナムラクレセントに触発されて前に行きたがってました。トゥザグロなら宝塚で巻き返せるけど、ローキンは不振気味だから復活Vは時間かかりそうですね。
来週は東京競馬場で3歳マイル王決定戦・NHKマイルカップが行われます。ここから府中GI5連戦だ!サクラバクシンオー産駒・グランプリボス、ニュージーランドトロフィーを勝ったエイシンオスマン、ダンスファンタジア、ディープインパクト産駒のコティリオン、リアルインパクト、ディープサウンドなどが出走を予定しています。マイルカップからダービーの有力候補が出てくるといいのですが…。