秋の最強古馬&中距離王決定戦・第144回天皇賞・秋(GI・2000m)が30日、東京競馬場にて開催されました。今年は非常に豪華なメンバーが揃い、史上初の牝馬による秋天連覇に挑む⑤ブエナビスタ、宝塚記念を制した⑱アーネストリー、前哨戦の京都大賞典で復活をアピールした⑪ローズキングダム、昨年ダービー馬④エイシンフラッシュなどのGI馬が参戦すれば、府中で5戦5勝・重賞2連勝中の⑦ダークシャドウ、春の巻き返しを誓う⑰トゥザグローリー、札幌記念を勝った⑫トーセンジョーダン、昨年このレースで2着に入った⑧ペルーサといった「無冠の実力馬」がGI初タイトルに挑みました。
レース直前の単勝上位人気は、1番人気がブエナビスタ(2.8倍)、ダークシャドウが2番人気(5.7倍)、3番人気エイシンフラッシュ(5.9倍)。4番人気以降はローズキングダム(6.6倍)、アーネストリー(7.3倍)、ペルーサ(8.2倍)と単勝1ケタ台が6頭もいました。
ややばらついたスタートで始まったこのレース、出遅れ癖のあるペルーサは上手くゲートを飛び出した。逆にアーネストリーはややダッシュがつかなかったか。1コーナーポケットでの先行争いでは、好スタートを切った①シルポートが先手を取って逃げを主張。2番手に⑥ビッグウィーク、大外からアーネストリーが上がり、3番手にいたエイシンフラッシュと並走。ローズキングダム5番手、その隣に⑬ミッキードリームがつける。トゥザグローリー、ブエナ、ダークシャドウは中団につけ、ペルーサ後方に下げ、内にいた②ダノンヨーヨーが躓くも持ち直した。
向正面に入ったところで18頭が早くも縦長となり、先頭のシルポートは単独で逃げて、2番手を引き離す。ビッグウィーク2番手、アーネストリー3番手、その後ろの4番手にフラッシュ、ローキン5番手、6番手にミッキードリームが追走。中団より前の7番手に③アクシオン、8番手の位置にブエナビスタがいて、ダークシャドウが隣でぴったり並んでいる。ちょっと不気味。10番手にトゥザグロ、11番手トーセンジョーダンと池江厩舎のが続く。12番手に⑯ナリタクリスタル。やや離され気味の後方グループは、ペルーサ13番手、14番手に⑮シンゲン、⑨ジャガーメイル、ダノンヨーヨー、⑭シャドウゲイトの3頭が15番手集団を形成し、最後方⑩メイショウベルーガは末脚勝負に賭けるも動き悪そう。
先頭のシルポートは前半1000mを56秒台と超ハイペースで通過。3,4コーナーのケヤキを過ぎた辺りで更に縦長となった。2番手以降は殆ど変わらず。アーネストリーが2番手にじりじり接近し、中団ではブエナとダークシャドウの順位が変わっている。
4コーナーを回り直線に入り、残り400mでシルポートのリードが無くなり、今度はエイシンフラッシュが先頭。ブエナビスタは最内を突こうとするが、前が全く開かない。真ん中からトゥザグローリーとトーセンジョーダン、その後ろにダークシャドウが割ろうとし、さらに大外からペルーサが襲いかかる。残り150m辺りでジョーダンが先頭に立ち、ダークシャドウが内に入る。ブエナもようやく来たが届かない。ゴール目前でダークとジョーダンが並びかけるが、最後はトーセンジョーダンが粘ってゴールイン!その直後にニコラ・ピンナ騎手が立ち上がって勝利のガッツポーズ!!最強牝馬&府中の鬼を破り古馬の頂点に立ちました!
全着順&払戻金
1着⑫トーセンジョーダン 1分56秒1
2着⑦ダークシャドウ 1/2馬身
3着⑧ペルーサ 1/2馬身
4着⑤ブエナビスタ 3/4馬身
5着⑰トゥザグローリー 1馬身3/4
6着④エイシンフラッシュ 3/4馬身
7着⑯ナリタクリスタル 2馬身
8着⑬ミッキードリーム 3/4馬身
9着⑨ジャガーメイル 1馬身
10着⑪ローズキングダム 1/2馬身
11着⑮シンゲン 1馬身1/4
12着③アクシオン 2馬身
13着⑭シャドウゲイト 1馬身1/4
14着⑱アーネストリー 2馬身1/2
15着②ダノンヨーヨー 1馬身
16着①シルポート 2馬身1/2
17着⑥ビッグウィーク 3馬身1/2
⑩メイショウベルーガ 競走中止
払戻金
単勝 12 3330円
複勝 12 850円 7 260円 8 350円
枠連 4-6 910円
馬連 7-12 7020円
馬単 12-7 23560円
ワイド 7-12 2520円 8-12 3950円 7-8 1090円
3連複 7-8-12 22790円
3連単 12-7-8 214010円
豪華メンバーによる秋の古馬№1を決める戦いは、単勝7番人気だったトーセンジョーダンが優勝し、悲願のGI初制覇を飾りました。優勝タイム・1分56秒1は、2008年の秋天でウオッカが叩き出した1分57秒2を1秒以上も上回る東京2000mのコースレコードをマークしたのと同時に2000mの日本レコードを更新しました!シルポートの大逃げ、直線での激しい叩き合いにより驚異のタイムが生まれたんじゃないかと思います。
2番人気のダークシャドウは一旦並びかけるも2着。敗れはしたものの、得意の府中でいい走りをしました。1番人気だったブエナビスタは4着に終わり秋天連覇ならず。鞍上の岩田騎手も「申し訳ない」と謝罪。また、エイシンフラッシュが6着、ローズキングダムは見せ場なく10着。メンディザバル騎手との相性があまり良くなかったんでしょう。なお、メイショウベルーガは4コーナーで競走を中止。右前繋靱帯不全断裂と診断され、一命は取り留めたものの競走能力喪失となりました。
トーセンジョーダンに騎乗したニコラ・ピンナ騎手は、日本でのGI競走初制覇。しかもこれが重賞初勝利!イタリア人のピンナ騎手は、2年連続でイタリアのリーディング3位という23歳の若手ジョッキー。今年5月に初めて短期免許を取得した時は11勝を挙げ、10月に2度目の来日を果たし、短期免許最終日に来日当初の夢であった「日本でのGI勝利」を実現。GIタイトルという大きなお土産を引っ提げ、イタリアに胸を張って帰国します。
池江泰寿調教師は同レース初勝利。先週の菊花賞はオルフェーヴルが勝って3冠馬になり、今週は秋天でジョーダンが勝利。2週連続でGI勝利と絶好調。
トーセンジョーダンは素質がありながらもGIに無縁、初制覇までに相当の時間を要しました。2歳時に3連勝の後、2009年の共同通信杯で2着後に裂蹄を発症しクラシック絶望。昨年夏頃から上昇気流に乗り、有馬記念5着、重賞2勝とGI制覇も見えてきたかと思われましたが、阪神大賞典の直前に右肩ハ行を発症して取消。その後、札幌記念で復活を果たすと、17戦目となった秋の天皇賞では、ブエナビスタなどの有力馬を抑えて勝利。2度の休養、ケガを乗り越え、GI初タイトルを掴み取りました。
今後はジャパンカップ→有馬記念という王道路線に進む予定。JCでは凱旋門賞馬のデインドリームとの対戦、有馬記念では池江厩舎の後輩・オルフェーヴルとの同門対決が実現すると思われます。
30日のWIN5は波乱のレースが続き、払戻金が1億6213万1980円!これはJRA史上2番目の高額配当となりました。WIN5で1億円以上の払戻金が出たのは史上4度目です。対象5レースの勝ち馬は次の通り。
京都10R・西陣ステークス ③メイショウデイム(3番人気)
東京10R・河口湖特別 ②タイセイファントム(4番人気)
新潟11R・亀田特別 ⑮エスピナアスール(12番人気)
京都11R・カシオペアステークス ⑪ダイワファルコン(1番人気)
東京11R・天皇賞(秋) ⑫トーセンジョーダン(7番人気)
この日の組み合わせは「③‐②‐⑮‐⑪‐⑫」という結果に。的中数はわずか5票でした。新潟のメインで12番人気の馬が勝った時点で残り票数が1000票を切り、京都11Rで160票。もし秋天でブエナビスタが勝っていたら、1億円には達していなかったかもしれませんな。的中させた方、おめでとうございます。