2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会は、グループステージ最終戦を迎えました。大会11日目はA組&B組の計4試合行われます。その中から今回は「フランスVS南アフリカ」を取り上げたいと思います。
南アフリカとフランスはともに2試合で1敗1分け・勝ち点1と苦戦中。第2戦では、南アフリカはウルグアイに完敗を喫し、フランスはメキシコに0-2と敗れました。南アフリカは開催国1次リーグ敗退の恐れあり。一方、前回準優勝のフランスは、アネルカがドメネク監督への批判で追放→強制送還、選手たちが練習をボイコット、主将・エブラとフィジカルコーチが口論になったり、チームディレクターも辞任…。トラブル続出で修復不可能、かつての栄光は消えつつあります。運命の南アフリカ戦、チームが一丸となり、奇跡の決勝トーナメント進出なるか?
さて、A組のベスト16入りの条件ですが
①メキシコVSウルグアイが引き分け→フランスVS南アフリカの結果に関係なく決勝トーナメント進出。
②メキシコVSウルグアイのどちらかが勝った場合→勝ち点7で首位通過、敗れてもフランスと南アフリカが引き分けに終われば敗者が2位。
③「フランスVS南アフリカ」の勝者と「メキシコVSウルグアイ」の敗者が勝ち点4で並んだ場合は、得失点差で順位が決まります。
そんなわけで両チームのスタメン
フランス
GK 1 ロリス
DF 2 サーニャ
DF 5 ギャラス
DF 17 スキラッチ
DF 22 クリシー
MF 8 グルキュフ
MF 18 ディアラ
MF 19 ディアビ
FW 7 リベリー
FW 9 シセ
FW 11 ジニャク
南アフリカ
GK 1 ジョゼフ
DF 3 マシレラ
DF 4 モコエナ
DF 20 クマロ
MF 5 ヌコンカ
MF 6 シバヤ
MF 8 チャバララ
MF 10 ピナール
MF 23 クボニ
FW 9 ムペラ
FW 17 パーカー
両者とも勝たなければいけないこの一戦、開始2分に左サイドでチャバララがクロス→ムペラが胸で落とすもシュート打てず。対するフランスはリベリーが左サイドでドリブル突破、パスを受けたジニャクがペナルティエリア内に進入してシュート放つもGKにキャッチされた。
前半10分、フランスは左サイドのクロスにシセが頭で合わせるが、GKの正面だった。11分には右サイドで突破を図るが、ディアビのクロスは相手にブロックされる。12分、中央からのFKをグルキュフが蹴るも、南アフリカDFが跳ね返す。南アフリカは13分に自陣からボールを奪いカウンターを仕掛けるも最後までつながらず。フランスは16分、ディアビの長い縦パスにシセが走りこむも届かない。17分に南アフリカはシバヤがミドルシュート放つもバーの頭上。19分、南アフリカはピナールのクロス→チャバララが左足ボレーもうまくミートできず。そして前半20分、南アフリカは右CKをチャバララがクロス→クマロのヘディングシュートが決まった!少ないチャンスで南アフリカ1点先制!
ますます大ピンチに陥ったフランスはすぐさま反撃し、リベリのグラウンダークロスにグルキュフシュートもダメ。南アフリカは22分にまたもCKのチャンス。味方が飛び込むも届かず。フランスは直後にシセが右サイドでドリブル突破してシュートも右に外れる。24分、南アフリカはスローインからムペラがドリブル突破してシュート!しかしこれは惜しくも枠外。すると26分、フランスのグリュクフがゴール前の競り合いで相手に肘を入れたことで一発退場!フランス今後は10人で戦うことに。ますます大ピンチに陥った!被害を受けたシバヤはプレー復帰。
10人になったフランスは同点に追いつこうと敵陣で攻め込むも、追いつくことができない。南アフリカは32分、エリア手前でピナールがディアビに倒されてFK獲得。チャバララが直接狙うもボールは落ちてこない。34分にはピナールのスルーパスにパーカーが抜け出すもボールをコントロールできず。36分には右サイドのクロスにチャバララがヘディングも大きくオーバー。37分、右サイドのグラウンダーのグラウンダークロスが相手に当たり、マシレラがが拾い、最後はクマロ押し込んで2点目!
2点差とされたフランスは40分、右サイドのFKを飛び込んだギャラスが足を伸ばして合わせるが、南アフリカGK・ジョセフがファインセーブ。南アフリカは敵陣で細かいパス回しでフランスを翻弄、42分にムペラの低いミドルをフランスGK・ロリスが防ぐ。前半ロスタイム、フランスが人数をかけて反撃を試みるも、南アフリカ守備陣がシュートを打たせず。前半終了!南アフリカが2点をリードでハーフタイム。
序盤はフランスペースだったんですが、前半20分にCKからクマロのゴールで南アフリカが先制。26分にはグルキュフの一発退場で流れが南アフリカに傾き、マシレラが追加点を奪いました。数的優位を上手く生かした南アフリカに対し、フランスは退場者を出したり2失点、DF陣も相手に振り回されていました。ますます窮地に追い込まれたフランス、勝ち点1・3試合ともノーゴール・A組最下位で南アフリカを去ってしまうのでしょうか?
同時刻キックオフの「メキシコVSウルグアイ」は、ウルグアイが前半43分にルイス・スアレスのヘディングが決まって1点を先制!1-0でウルグアイリードで終了しています。このまま終わると、ウルグアイが勝ち点7で首位通過、メキシコと南アフリカが勝ち点4で並び、得失点差でメキシコが現在2位。南アフリカがベスト16入りするためには、あと2点以上必要となります。南アフリカが奇跡を起こすのか、それともメキシコが追いつくか?決勝トーナメントの切符を賭けた戦いは後半戦へ。
後半、フランスは悪い流れを変えようとジニャクを下げてマルーダを投入。南アフリカは後半3分、パーカーが胸で落としてシュート狙うもGK正面。後半4分、リベリーがFKを蹴るも南アフリカDFが跳ね返す。こぼれ珠を拾うもオフサイド。5分、チャバララが中央でスルーパスを出すと、抜け出していたムペラが完全フリーの状態でシュート!しかしポストにはじかれて3点目ならず。ゴールの予感がしてきたか?後半8分、フランスは敵陣でのパス回し、サーニャのパスにシセが狙っていくが、枠を超えていく。
そして後半10分、フランスはシセ→アンリ、南アフリカはヌコンガ→ガカがピッチに入る。南アフリカは11分、エリア前でチャンスを迎えるもフランスDF陣が踏ん張る。12分、ムペラが豪快なミドルシュート!しかしGK・ロリスが横っ飛びで止めた!続くCKでこぼれ球を拾った選手がシュート狙うも味方にあたる。14分、リベリーがエリア内に入って、相手DFに囲まれながらもシュートするも決まらない。南アフリカは17分、ムペラが右サイドを突破して押し込むが、サイドネットに当たる。19分、フランスはマルーダのパスからアンリにボールが渡るが、ハンドを取られる?
後半20分、南アフリカはピナールが中央からミドルを狙うもGKの正面。22分、パーカーを下げてノンベテを投入。24分、サーニャが中央まで突破してスルーパス、リベリーが折り返してマルーダが押し込んで1点を返す。直後の26分、南アフリカは左サイドでFKを獲得し、ピナールのクロスにノンベテが飛び込むも届かない。27分にはエリア内でムペラが倒されるもノーホイッスル。29分にはピナールがノンベテにスルーパスを出すもフランスDFがクリア。30分、ノンベテがドリブルでDF陣を交わしまくるが、GKがボールをキャッチ。
試合も残り15分、流れはフランスに傾いている。南アフリカは最後の交代としてモディセを入れた。34分にチャバララミドルも決まらない。フランスは37分、ディアラを下げてゴヴが入る。南アフリカは38分、速攻を見せて右サイドでクロス、ノンベテが胸で落とすもフランスがクリア。42分、スルーパスからノンベテが走りこむも届かず。44分、フランスは右サイドでクロスもGKがキャッチ。ロスタイムに突入し、南アフリカはスローインからモディセが右足を振りぬくもサイドネットに当たる。47分、右サイドからのクロスにフリーのチャバララがシュートもGKに阻まれる。終了間際、中央でのFKを直接狙うも壁に直撃。試合はこのまま終了。2-1で南アフリカがフランスを破って勝利。本国開催で勝利を飾ったものの、選手たちの笑顔はありませんでした。
同時刻のウルグアイVSメキシコは、ウルグアイが後半9分にルガーノがヘディングを見せるもGKに阻まれ、メキシコは後半19分にロドリゲスのダイビングヘッドが決まらず。後半は両チームとも得点なし、1-0でウルグアイが逃げ切り勝ちを収めました。
この結果、ウルグアイが2勝1分け・勝ち点7でA組首位通過。メキシコと南アフリカが1勝1敗1分け・勝ち点4と並びましたが、得失点差でメキシコが上回り2位で決勝トーナメント進出。南アフリカはベスト16入りを逃し、開催国で初のグループステージ敗退。フランスは2敗1分け・勝ち点1の最下位に終わりました。
決勝トーナメント1回戦では、A組1位のウルグアイはB組2位のチーム、2位のメキシコはB組1位のチームと対戦します。おそらくウルグアイは韓国とギリシャのどちらかと戦い、メキシコの相手はアルゼンチンが濃厚でしょう。
フランスは前半に喫した2失点&退場者を出したことが一番の敗因、後半にベテランのアンリを投入してから動きがよくなり、途中出場・マルーダが1点を返してみせたんですが、反撃はこの1点のみでした。相次ぐトラブルでチームも崩壊、最終戦の南アフリカ戦も敗れて未勝利。度重なるトラブルが最後まで影響し、開催地を離れる事となりました。今大会を最後に退任するドメネク監督は、帰国後に大バッシングを浴びせられるだろう。
前回大会で準優勝に導いたドメネク氏が続投して以降はチームも低迷し、EURO2008で敗退、W杯予選も苦戦してアンリの「神の手」で出場を決め、大会前の親善試合で格下の中国に破れ、そしてグループステージで未勝利に終わりました。おまけにアネルカにバカにされましたな。どん底に陥れた「偉大なるバカントク」ドメネク(ダメネク)の後任の監督が、強いフランスを復活させる事でしょう。ジダンが活躍した時代が懐かしいな…。
南アフリカは最後に開催国の意地を見せて勝利を飾りましたが、得失点差に泣きました。後半も追加点を奪おうと攻め続けるも、1点が遠かった。ムペラのシュートがポストに弾かれ、マルーダの反撃ゴールでベスト16の夢が潰えました。悲願は達成されませんでしたが、この経験が後に生きて、カメルーンやナイジェリアといったアフリカの強豪に肩を並べる日が来るはずだと思います。南アフリカ代表の皆さん、お疲れ様でした。