もうひとつの浅草キッド
ビートきよし著
「こいつ誰だろう?」
ストリップ劇場のエレベーター係といえば、普通はジイさんやバアさんといった年寄りがやるもの。
何でいい若いもんがこんなことやってんだろう?
「おはよう」
そう声をかけると、ちょっと神経質そうな顔をしたそいつは、こちらを振り返るでもなく、目線だけを軽くこちらに向けて、ちらっと頭を下げた。
それが相方たけしとの出会いだった。
「浅草キッド」といえばご存知ビートたけしさんの自伝です。
毒舌漫才のツービートとして大活躍、漫才ブームの火付け役でした。
現在もテレビや映画で大活躍されている巨匠ですね。
本書は偶然図書館で見つけたものです。
そのツービートの相方として活躍された「ビートきよし」さんがツービートを語る本です。
何しろ冷静なきよしさんですから、分かりやすくツービートのできるまでそして活躍するまでを説明しています。
それを見ると意外にピークの時代は短かったように感じられますね。
本書では相方のたけしさんに対する愛情が行間からもひしひしと感じられるのが良いです。
私も大好きでしたが、ツービートの全盛期は実に面白かったですね。
ツービートのネタの中でも一世を風靡したのが、「兵庫ネタ」いや「標語ネタ」です。
注意一秒ケガ一生、クルマに飛び込め元気な子
赤信号、みんなで渡れば怖くない
赤信号、バアさん盾にわたりましょう
気にするな、どうせバアさん先はない
バアさんがタンポン買ってミエを張り
まだまだあります
狭いニッポン急いで行けば早く着く
人はねた あの快感がたまらない
ジイさんの頭でモミ消すタバコの火
グラッと来たら火をつけて、バアさん縛ってサア逃げよう
気をつけよう ブスが痴漢を待っている
ひどいブス たかった銀バエ即死する
最近の若手の漫才も面白いけれど、やはりそのブームを作った世代のものは一味違うような気がします。
こういう本を読むとまたお笑い番組が見たくなりますね。
いくつになっても笑いが一番です。