「アニメーション監督術2017 特別編」と題し、片渕須直さんと原口正宏さんの対談形式で、2時間半ほどタップリとお話が聴けて大満足なイベントとなりました。
場所はJR阿佐ヶ谷駅から5分ほどのザムザ阿佐ヶ谷にて。
趣きのある建物で、現地に着くなり思わず息をのみました(^_^;
会場は地下にありましたが...これまた古いお蔵の中のような凄い空間...客席は段々になってる桟敷で、靴を脱いで上がるという...。
お話の趣旨は、原口さんがまとめたリストを元に、片渕さんのこれまで携わってきた作品を振り返り、その時々において原作(および原作者)とどのように向かい合ってきたかを振り返るというもの。
どのような内容だったのかは、Twitterなどで詳細を書いている方がいらっしゃるので、印象に残ったポイントを書き記しておきたいと思います。
やはりデビュー作の「名探偵ホームズ」については宮崎駿さんとの関わり含めて想いが強く、多くの時間を割いてましたね(^_^)
脚本をやることになって呼び出された時、予めプロットが用意されているのではなく、いきなり何か書いて持ってこいと!
元々シャーロック・ホームズは冒険活劇なお話ではないため、どうしようかと思い、まずは原作シリーズを派生や別の作家が書いたものまで片っ端から全部読んで、いろんな要素を抽出・アレンジして構築したらしいです。
「海底の財宝の巻」には英海軍の戦艦も登場しますが、そのアイデアは当初そんなの無理に決まってるだろと却下されたのに、しっかり採り入れられていたと(^_^;
宮崎さんとの思い出として、ハヤカワ文庫のミステリーのどうしようもないのとか含め、いかに多くの話を読んだか競争し、コレ読んだか?アレ知ってるか?を自慢しあう事やっていたとか...内容はともあれ、ホームズ物を含めてトンデモナイ読書量なんでしょうねぇ...映画監督の引き出しの多さってのはこういう要素もあるのだなぁと実感させられました...(´д`)
「じゃりン子チエ」のはるき悦巳さんと、「ちびまる子ちゃん」さくらももこさんの共通点も面白かったです。言われてみるとナルホドなのですが、どちらも人物の描写に斜め角度はなく、正面向きか真横向きだけなんですよね。確かに!
特にさくらももこさんからは顔の角度を動きで表す時、中2枚までと制限されたそうです。まぁ確かにそれ以上細かく割ると気持ち悪い気もしますが(^_^;
さくらさんのエピソードで驚いたのは、最初のシリーズの時、自ら脚本を書かれていた(Wikipediaによれば67話から不定期で、103話から219話まで連続で)という事ですね。原作にないオリジナルの話も要所要所に挿絵をつけて持ってきたそうです...すごいコダワリがあったんですねぇ!(他人に任せることができない性分なのか??)
原作を映画化する際、原作者ご本人と会って話すことは非常に重要とも。
そういう意味で「アリーテ姫」においては、現地の版元が消滅し、作者も所在がわからずで、その状態で製作したが、会っていればもっと別の作風になっていたかもしれないと。
「マイマイ新子」の高樹のぶ子さん、「この世界の片隅に」のこうの史代さんも...確かにそれぞれがキャラクター造形に反映されている感じがしますね(^_^)
製作当初、高樹さんにお会いしたおりに作者としてリクエストされたのは「どんなふうに作ってもらっても良いが、『切なさ』だけは感じ取れるようにしてほしい」と。
その意味をこめてのアレンジなのかはわかりませんが、ラストで新子が転校し別れがあるのですが、それを観て高樹さん「私、転校したんでしたっけ?」と言われてしまったというのは可笑しかったです(*^o^*)
ということで対談も終了、最後に参加者への質疑応答の時間があり、私も2つほど質問させていただきました(^_^)
一つは、高樹のぶ子さんからはリクエストがあったが、こうの史代さんからは何かありましたか?というもの。
明快に、なにもありませんでしたと!\(^o^)/
もうこれはお互いの作品をよく知る者同士の信頼関係ですねと。
確かに片渕さんが初監督したTVアニメ「名犬ラッシー」をこうのさんはファンとして観ていたとの事でしたし、作風にも影響を受けたとおっしゃってますしね(^_^)
「BLACK LAGOON」の時も、作者の広江礼威さんは初めは渋っていたものの、ゲーム「ACE COMBAT 04 shattered skies」を作った人だと知り、一転快諾されたのだと。
やはり過去どんな仕事をしてきたか...実績は物を言うし、共鳴すればクリエーター同士の判断は速いんだよなぁと実感しましたね。
...でオマケ的にもう一つ質問を...ストーリーに関係ないのですが、「この世界の片隅に」に度々登場するカマドの描写について聞いてみました。
前から疑問に思い、色々と調べてみたものの正体が判らずモヤモヤしていたのですが...。
カマドの上に束になっているのはなんだろうと。
上図赤枠の物ですけど、なにか四角く薄い紙のような束の正体と使い途...昔、自宅にカマドがあったというカミサンの母上にも聞いてみたんですが、判らずでなんとなく目にする度に気になっていたんですよね(^_^;
でこれも即答「付け木」とのことでした。四角くて薄いのは紙ではなく、経木のような木をシート状に削ったもので、発火性のある硫黄を塗ってあるのだそうです。
これを使って火打ち石で火を起こしたり、他のカマドなどに火を移す時なんかに使うものだと。
原作にもアニメ版にも背景として描かれているだけで使っている描写はないのですが、片渕さん自身もこれは実践してみなかったとのことです。
なんとなくカマドの近くに吊されてるし、火に関係あるものかなぁ...と思いつつ、明確な答えがわからなかったので、とてもスッキリしました!他でも無い片渕さんから教えてただいてとても嬉しいです(*^o^*)
ということで、予定時間よりも30分くらいオーバー、とても充足した楽しい嬉しい時間を過ごすことができました。こんなにまとまった時間かけてのお話はクラウドファンディング・メンバーミーティングや練馬での集会以来のことでしたしね(^_^)
しかし片渕さん...土日は飛騨高山への舞台挨拶巡りで、翌日こんな濃ゆ〜いイベント出演でしょう...ちゃんと休息できているんじゃろうかとちょっと心配になってしまうほどです(^_^;
これまで何度も書いてる気がしますが、こんなタイプの映画監督って今まで聞いたことが無いです。公開当初に嫌々な感じで舞台挨拶をチョコッとするくらいなのに、いまだに...いやまだまだ何ヶ月も先まで挨拶やトークの予定があるという。
作品の素晴らしさは言うまでもなく、その活動と姿勢には本当に頭が下がる思いだし、ますます応援したくなっちゃう人ですよねぇ(*´д`*)
今週末にも中野駅にある、なかのZERO大ホールにて、日本カトリック映画賞授賞式&トーク(作品上映付き)イベントがあり、私も参加させていただく予定です!
作品自体、まだまだ映画館や各種ホールで観ていきたいのです(^_^)
ますますファンの度合いが深まった次第です!
場所はJR阿佐ヶ谷駅から5分ほどのザムザ阿佐ヶ谷にて。
趣きのある建物で、現地に着くなり思わず息をのみました(^_^;
会場は地下にありましたが...これまた古いお蔵の中のような凄い空間...客席は段々になってる桟敷で、靴を脱いで上がるという...。
お話の趣旨は、原口さんがまとめたリストを元に、片渕さんのこれまで携わってきた作品を振り返り、その時々において原作(および原作者)とどのように向かい合ってきたかを振り返るというもの。
どのような内容だったのかは、Twitterなどで詳細を書いている方がいらっしゃるので、印象に残ったポイントを書き記しておきたいと思います。
やはりデビュー作の「名探偵ホームズ」については宮崎駿さんとの関わり含めて想いが強く、多くの時間を割いてましたね(^_^)
脚本をやることになって呼び出された時、予めプロットが用意されているのではなく、いきなり何か書いて持ってこいと!
元々シャーロック・ホームズは冒険活劇なお話ではないため、どうしようかと思い、まずは原作シリーズを派生や別の作家が書いたものまで片っ端から全部読んで、いろんな要素を抽出・アレンジして構築したらしいです。
「海底の財宝の巻」には英海軍の戦艦も登場しますが、そのアイデアは当初そんなの無理に決まってるだろと却下されたのに、しっかり採り入れられていたと(^_^;
宮崎さんとの思い出として、ハヤカワ文庫のミステリーのどうしようもないのとか含め、いかに多くの話を読んだか競争し、コレ読んだか?アレ知ってるか?を自慢しあう事やっていたとか...内容はともあれ、ホームズ物を含めてトンデモナイ読書量なんでしょうねぇ...映画監督の引き出しの多さってのはこういう要素もあるのだなぁと実感させられました...(´д`)
「じゃりン子チエ」のはるき悦巳さんと、「ちびまる子ちゃん」さくらももこさんの共通点も面白かったです。言われてみるとナルホドなのですが、どちらも人物の描写に斜め角度はなく、正面向きか真横向きだけなんですよね。確かに!
特にさくらももこさんからは顔の角度を動きで表す時、中2枚までと制限されたそうです。まぁ確かにそれ以上細かく割ると気持ち悪い気もしますが(^_^;
さくらさんのエピソードで驚いたのは、最初のシリーズの時、自ら脚本を書かれていた(Wikipediaによれば67話から不定期で、103話から219話まで連続で)という事ですね。原作にないオリジナルの話も要所要所に挿絵をつけて持ってきたそうです...すごいコダワリがあったんですねぇ!(他人に任せることができない性分なのか??)
原作を映画化する際、原作者ご本人と会って話すことは非常に重要とも。
そういう意味で「アリーテ姫」においては、現地の版元が消滅し、作者も所在がわからずで、その状態で製作したが、会っていればもっと別の作風になっていたかもしれないと。
「マイマイ新子」の高樹のぶ子さん、「この世界の片隅に」のこうの史代さんも...確かにそれぞれがキャラクター造形に反映されている感じがしますね(^_^)
製作当初、高樹さんにお会いしたおりに作者としてリクエストされたのは「どんなふうに作ってもらっても良いが、『切なさ』だけは感じ取れるようにしてほしい」と。
その意味をこめてのアレンジなのかはわかりませんが、ラストで新子が転校し別れがあるのですが、それを観て高樹さん「私、転校したんでしたっけ?」と言われてしまったというのは可笑しかったです(*^o^*)
ということで対談も終了、最後に参加者への質疑応答の時間があり、私も2つほど質問させていただきました(^_^)
一つは、高樹のぶ子さんからはリクエストがあったが、こうの史代さんからは何かありましたか?というもの。
明快に、なにもありませんでしたと!\(^o^)/
もうこれはお互いの作品をよく知る者同士の信頼関係ですねと。
確かに片渕さんが初監督したTVアニメ「名犬ラッシー」をこうのさんはファンとして観ていたとの事でしたし、作風にも影響を受けたとおっしゃってますしね(^_^)
「BLACK LAGOON」の時も、作者の広江礼威さんは初めは渋っていたものの、ゲーム「ACE COMBAT 04 shattered skies」を作った人だと知り、一転快諾されたのだと。
やはり過去どんな仕事をしてきたか...実績は物を言うし、共鳴すればクリエーター同士の判断は速いんだよなぁと実感しましたね。
...でオマケ的にもう一つ質問を...ストーリーに関係ないのですが、「この世界の片隅に」に度々登場するカマドの描写について聞いてみました。
前から疑問に思い、色々と調べてみたものの正体が判らずモヤモヤしていたのですが...。
カマドの上に束になっているのはなんだろうと。
上図赤枠の物ですけど、なにか四角く薄い紙のような束の正体と使い途...昔、自宅にカマドがあったというカミサンの母上にも聞いてみたんですが、判らずでなんとなく目にする度に気になっていたんですよね(^_^;
でこれも即答「付け木」とのことでした。四角くて薄いのは紙ではなく、経木のような木をシート状に削ったもので、発火性のある硫黄を塗ってあるのだそうです。
これを使って火打ち石で火を起こしたり、他のカマドなどに火を移す時なんかに使うものだと。
原作にもアニメ版にも背景として描かれているだけで使っている描写はないのですが、片渕さん自身もこれは実践してみなかったとのことです。
なんとなくカマドの近くに吊されてるし、火に関係あるものかなぁ...と思いつつ、明確な答えがわからなかったので、とてもスッキリしました!他でも無い片渕さんから教えてただいてとても嬉しいです(*^o^*)
ということで、予定時間よりも30分くらいオーバー、とても充足した楽しい嬉しい時間を過ごすことができました。こんなにまとまった時間かけてのお話はクラウドファンディング・メンバーミーティングや練馬での集会以来のことでしたしね(^_^)
しかし片渕さん...土日は飛騨高山への舞台挨拶巡りで、翌日こんな濃ゆ〜いイベント出演でしょう...ちゃんと休息できているんじゃろうかとちょっと心配になってしまうほどです(^_^;
これまで何度も書いてる気がしますが、こんなタイプの映画監督って今まで聞いたことが無いです。公開当初に嫌々な感じで舞台挨拶をチョコッとするくらいなのに、いまだに...いやまだまだ何ヶ月も先まで挨拶やトークの予定があるという。
作品の素晴らしさは言うまでもなく、その活動と姿勢には本当に頭が下がる思いだし、ますます応援したくなっちゃう人ですよねぇ(*´д`*)
今週末にも中野駅にある、なかのZERO大ホールにて、日本カトリック映画賞授賞式&トーク(作品上映付き)イベントがあり、私も参加させていただく予定です!
作品自体、まだまだ映画館や各種ホールで観ていきたいのです(^_^)
ますますファンの度合いが深まった次第です!