BSプレミアムで放送していたものを視聴。

黒澤明さんが亡くなって程ないころ、遺された脚本を元に、黒澤組のスタッフが再結集、長年助監督をつとめた小泉堯史さんが初メガホンととって監督した作品です。
これ公開当時...恐らく映画館で鑑賞していると思うんですけど、印象が薄い。
黒澤作品に通底する匂いは感じるんだけど、なんだかドスンとした重みに欠け全体的にこぢんまりとしていて、当時はイマイチ感が残っただけでした。
で...まぁ、そんな思いも残る中、久々だしちょっと見てみるかと軽い気持ちでいたら...これがまた実に心地良いもので(^_^;
こぢんまりとした印象は、程よく力を抜いた自然体に。
寺尾聰さん演じる浪人・三沢伊兵衛の出で立ちは椿三十郎そのものなんだけど、性格は正反対...以前はそれがなんか嫌な感じだったんだけど、寺尾さんのソフトなキャラが良い味出ていて、腕は立けど腰が低い侍を好演していて、これが作品全体のメリハリに繋がっている。
演出的に見事だなぁと思ったのは、逗留する宿屋のシーン。

おそらく三畳ほどの狭い一室。浪人夫婦が語り合うシーンで何度か映し出されるんですが、空間描写が実にうまいなぁと。
奥方・たよを演じる宮崎美子さんは貧しく地味でも凜とした美しさを秘めていて、三畳の狭い空間においても武家の佇まいを崩すことなく主人を迎いいれる...この心地よいキリッとした緊張感が外部とのコントラストを引き出していて、素晴らしいんです(^_^)
余談ですけど、宮崎美子さんと上白石萌音さんって凄く似ているなと思ってまして(*^o^*)上白石さんも10年くらいしたら、こういう役がやれそうだなぁと思ってます。
さて、この作品に面白みを加えているのが三船敏郎オマージュ全開の殿様・永井和泉守重明を演じる三船史郎さん。
父君・敏郎さんになりきろうと張り切っていて、笑ってしまう(^_^;
公開当時はシロウト臭い演技が鼻についていたけど、今見るとそれが微笑ましく、これまた良い味だしているんですわ。
三沢の刀をジックリと見るシーンが味わい深いなぁと。






いや〜実にオタクっぽい(笑)
兵器としての実用品だった刀剣は、平和な江戸時代になると美術品化が進んだらしいけど、それを端的に描写している良いシーンだなと。
こういうシーンでは本物の真剣を使っているんでしょうけど...。

緑の中に溶け込むような描写がとても美しい、良いカットです(^_^)
史郎さんが特に張り切ったんだろうなと思われるのは、御前試合で自ら飛び入り参加してしまうところ。こりゃもう「隠し砦の三悪人」そのもので、いろんな意味で見所になってます(^_^)
ストーリーは、ひょんなキッカケでこの殿様と出会い、三沢の経歴と腕に惚れた殿様は剣術指南番として採用しようとするが、三沢の武士らしくない弱腰な性格が誤解を生み、その優しさが起こしてしまったある出来事で仕官かなわず、再び浪々の旅へ向かうところで終わります。
裏事情を知った殿様は三沢の後を追いますが、最後がどうなるかを見せないところも良いですね!こういう鑑賞者の想像におまかせって演出も大好きです(^_^)
1時間半ほどの作品ですが、なかなか心に響く佳作です。20年近く寝かせて熟成していたなって感じました。
機会あれば多くの人に見て欲しい作品ですね(^_^)


黒澤明さんが亡くなって程ないころ、遺された脚本を元に、黒澤組のスタッフが再結集、長年助監督をつとめた小泉堯史さんが初メガホンととって監督した作品です。
これ公開当時...恐らく映画館で鑑賞していると思うんですけど、印象が薄い。
黒澤作品に通底する匂いは感じるんだけど、なんだかドスンとした重みに欠け全体的にこぢんまりとしていて、当時はイマイチ感が残っただけでした。
で...まぁ、そんな思いも残る中、久々だしちょっと見てみるかと軽い気持ちでいたら...これがまた実に心地良いもので(^_^;
こぢんまりとした印象は、程よく力を抜いた自然体に。
寺尾聰さん演じる浪人・三沢伊兵衛の出で立ちは椿三十郎そのものなんだけど、性格は正反対...以前はそれがなんか嫌な感じだったんだけど、寺尾さんのソフトなキャラが良い味出ていて、腕は立けど腰が低い侍を好演していて、これが作品全体のメリハリに繋がっている。
演出的に見事だなぁと思ったのは、逗留する宿屋のシーン。

おそらく三畳ほどの狭い一室。浪人夫婦が語り合うシーンで何度か映し出されるんですが、空間描写が実にうまいなぁと。
奥方・たよを演じる宮崎美子さんは貧しく地味でも凜とした美しさを秘めていて、三畳の狭い空間においても武家の佇まいを崩すことなく主人を迎いいれる...この心地よいキリッとした緊張感が外部とのコントラストを引き出していて、素晴らしいんです(^_^)
余談ですけど、宮崎美子さんと上白石萌音さんって凄く似ているなと思ってまして(*^o^*)上白石さんも10年くらいしたら、こういう役がやれそうだなぁと思ってます。
さて、この作品に面白みを加えているのが三船敏郎オマージュ全開の殿様・永井和泉守重明を演じる三船史郎さん。
父君・敏郎さんになりきろうと張り切っていて、笑ってしまう(^_^;
公開当時はシロウト臭い演技が鼻についていたけど、今見るとそれが微笑ましく、これまた良い味だしているんですわ。
三沢の刀をジックリと見るシーンが味わい深いなぁと。






いや〜実にオタクっぽい(笑)
兵器としての実用品だった刀剣は、平和な江戸時代になると美術品化が進んだらしいけど、それを端的に描写している良いシーンだなと。
こういうシーンでは本物の真剣を使っているんでしょうけど...。

緑の中に溶け込むような描写がとても美しい、良いカットです(^_^)
史郎さんが特に張り切ったんだろうなと思われるのは、御前試合で自ら飛び入り参加してしまうところ。こりゃもう「隠し砦の三悪人」そのもので、いろんな意味で見所になってます(^_^)
ストーリーは、ひょんなキッカケでこの殿様と出会い、三沢の経歴と腕に惚れた殿様は剣術指南番として採用しようとするが、三沢の武士らしくない弱腰な性格が誤解を生み、その優しさが起こしてしまったある出来事で仕官かなわず、再び浪々の旅へ向かうところで終わります。
裏事情を知った殿様は三沢の後を追いますが、最後がどうなるかを見せないところも良いですね!こういう鑑賞者の想像におまかせって演出も大好きです(^_^)
1時間半ほどの作品ですが、なかなか心に響く佳作です。20年近く寝かせて熟成していたなって感じました。
機会あれば多くの人に見て欲しい作品ですね(^_^)

