ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ミッドナイト・イン・パリ

2012-05-22 23:22:09 | ま行

ウディ・アレン、洒脱の真髄。

「ミッドナイト・イン・パリ」79点★★★★

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ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は
婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の両親と
休暇でパリにやってくる。

作家になることを夢見ているギルにとって
パリはいつか住みたい、憧れの街だ。

その夜、一人で路地をぶらついていたギルは
陽気な集団に誘われ、古い型の車に乗り込む。

そしてパーティー会場についたギルは
そこでフィッツジェラルドやヘミングウェイと名乗る青年たちに出会う。

そう、そこはなんと
古きよき、
1920年代のパリだったのだ――?!

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粋でロマンチックで、
クスクス笑えて皮肉もチクリ。

まさにウディ・アレンの真骨頂!のステキ映画。
GG賞&アカデミー賞で脚本賞受賞も納得です。

おそらくウディ・アレン好きは
名作「カイロ紫のバラ」(85年)を思い出すんじゃないかな。


冒頭、絵はがきみたいなパリの街並みショットが続き
「アイ・ラブ・パリ!」なベタさに笑ったけど、

ラストにちゃんとそれが繋がるんですねえ。
うまし。


古きよき時代に憧れる作家が、
1920年代のパリにタイムスリップし、
憧れの人々に会うわけですが、

「現状に満足していない人は、いつの時代も過去を美化し、憧れるのだ」という
懐古主義へのやんわりした皮肉をうまく含んでもいます。

そしてこれは、アレン流の
「多くの人を魅了するパリの秘密」の解釈であり、

実はみんなこういう体験してるんじゃないの?という
愉快な謎かけだと思いますね。

マリオン・コティアール、エイドリアン・ブロディ(ダリ役が似合いすぎ!笑)、
キャシー・ベイツ…と、役者も魅力的だし。

もちろん主役のオーウェン・ウィルソンも、
ヨーロッパの文化の香りと逆方向にありそうな
アメリカ男をルックスともにバッチリ演じてます。

この人、「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」(6/30公開)でも好演。

一見やさ男ふうで、しかし一度見たら忘れられない
ゴツイ鼻がポイントだよねえ。


★5/26(土)から新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国で公開。

「ミッドナイト・イン・パリ」公式サイト
コメント (6)
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