じゅんきーです
今日は、稽古の休みの日。ですが・・・
「ミツコの肖像」の稽古が始まり、
目下、稽古がある日もない日も、その役作りや台本のことで頭がいっぱいです。
これから、ますます、頭の中は、「ミツコの肖像」のことばかりになっていくと思うので、
その前に、先日書いた「樹木医 その1」を完結させておこうと思います。
『樹木医』なる人となぜ出会うことになったのかは、6月17日の当ブログ「樹木医 その1」をごらん下さい。
という訳で、
長野の実家の梅もぎ決行の日(6月27日)に、樹木医さんにお願いして、
実家に来ていただきました。
私たちが、実家に着くと樹木医さんは、すでに到着していて「この木ですね」と言いながら、ニコニコ梅の木を見ていました。
年の頃は50代? 植木屋さんのような恰好をしていて落ちついた方でした。
梅の木の幹の空洞(うろ)は、昨年よりちょっと大きくなっているように思え、なんと言われるのか、私は、ドキドキでした。
「ちょっと失礼」と言って、小型の木槌で幹をたたいて音を確認して、
薄くなって乾いた音のする部分は、強くたたいて、なんとバシバシと叩き割って、穴をどんどん大きくしていくではないですか・・・
穴の中にも、鉄の棒を入れてうろの中をかき回して、中のおがくずのようになっていた部分をバサバサと落とすと、何に巣くっていたアリとアリの幼虫と卵が、それと一緒にドサッと落ちてきて、アリたちは大騒ぎでした。
心配してみていると、樹木医さんが言うには、
「梅の木は、枝を切った時や何かの拍子に幹に傷がつくとそこから次第に腐っていき、幹の中に腐った部分ができて空洞(うろ)うろになることが多いです。この木も、下の枝を切った時にできた傷と幹がこすれてできた傷から腐っていったようです」
なんと、そんなことが起きていたとは・・・・
樹木医さんは続けます。
「しかし、腐ってうろになっているところを取り巻いて、幹が一段とかなり太くなり、根も非常に太くなって踏ん張って非常に硬くて強いです。だから、この木は健康です。うろの部分は、小さくなることはありませんが、健康な部分が支えているのでこの木は倒れません。うろの中の虫たちも、枯れた部分に住まわせてもらっているだけで、木に対して、直接的に悪さをしている訳ではなく、虫によってうろが広がる訳でもないです」
私は、ほっとしながら、これから何をしたら良いかをうかがうと、
「うろに防腐剤を塗ったこともありまたが、たびたび塗りなおさなければならないし、効果がさほどある訳ではないので、何もしなくて良いです。うろの中がよく乾くように、風通しが良いようにうろの口をふさがないようにしてください」
と言って、うろができているのとは反対側の幹の皮をたたいて、枯れて薄くなっていた部分を割って、穴をあけて、うろを貫通させました。
風通しをよくするためだそうです。
というわけで、
見た目ではうろの穴は一段と非常に大きくなり、幹の向こう側に貫通してしまい、
虫たちが出はいりしていますが、
梅の木の力を信じて、安心して放っておくことにしました。
失ったもの、悪くなったものを何とか元にもどそうとするのではなく、
今ある力を、今あるものを大切にしていくことが大切なんですね。
そう思ってみると、うろの空いた我が家の梅の木、ちょっと風情が出て貫禄のある木に見えてきました。
樹木医さんって、木の力を知っていて、それを最大限に生かそうとする人なんですね。
樹木医さんに診ていただいた後、
安心して、2階の屋根から梅の木に登り、梅もぎをして帰ってきました。
今年は、例年以上に良い梅がたくさん採れました。