僕が昔、中学1年の分際でも高価なLPレコードを買えたのは、やはり子供ならではの収入源「お年玉」があったからです。貯金していたお年玉を使って、レコードを買っていたのですが、僕にはもう1つの収入がありました。
それは「洋楽LP購入助成金」!(笑)
LP1枚買えば、その月のお小遣いは一瞬で吹っ飛びます。ところがそのレコードは、僕が部屋に籠って1人で聴くわけではありません。調光式のシャンデリア(今から40年以上前ですから、質素なものですが)がある、6畳洋間のリビングにあるステレオで聴くわけです。当然洋楽好きの両親も聴きますし、LPのジャケットやライナーノーツにも目を通します。いたいけな中学生が「なけなしのお小遣い」で買ったものを、無料で大人が共有するのか?という意味不明の抗議が通り、僕は親から洋楽LP1枚購入ごとに、1,000円の助成金をもらうことに成功していました。(笑)
ラジオで洋楽番組を聴いていると、オリビア・ニュートン・ジョン~カーペンターズの流れから、ジョン・デンバーが好きになりました。聴き取り易い発音、ストーリー性のある歌詞、明るい覚えやすいメロディ、アコースティック・ギターの綺麗な音色。僕はカントリー・ミュージックが好きになりました。洋画の中で、カントリーの演奏が流れるバーのシーンを観ていても、こんなお店にいつか行きたいと思いました。
当時のFM放送は、曲を最初から最後まで流してくれましたし、アナウンサーは曲目の紹介をするだけで、余計なお喋りもCMも少なかったので、レコードを買う代わりに、FM放送をカセット・テープで録音したものです。ただ、カセット・テープも当時は高価だったので、おいそれとは買えません。(90分テープがスーパーのダイエーブランドのもので、2本セットで900円程だった記憶があります。)
ある日、ジョン・デンバーの特集をFMで放送していました。録音して何度も聴いていると、どうしても気に入った歌の意味が知りたくなります。それには歌詞・対訳の付いているレコードです。
サイモンとガーファンクルのレコードを買いに行った時もそうでしたが、アーティストのヒット曲は、数枚のアルバムに分かれて収録されています。1枚のアルバムで、そのアーティストのヒット曲を全て聴くことはできません。まだベスト盤を知りませんでしたし、売れている現役アーティストのベスト盤は滅多にありません。レコード会社を移籍する際に、元のレーベルが最後の一儲けとばかりに発売するのがベスト盤でした。ジョン・デンバーのお気に入りの歌が1曲でも多く収録されているレコードを探しに、メモを持って出掛けたことを覚えています。欲しい曲を優先順に並べたメモです。
発売されたばかりのレコードを僕は見つけました。帯には聴きたい曲のタイトルが並んでいます。ところが・・・値段が高い!何と4,000円もするのです。2枚組!そして、謎の言葉・・・
「ライブ」???
どういう意味だろう。ジョン・デンバーさんではなく、ジョン・デンバー・ライブまでが名前?ジョン・デンバー・ライブさん?頭の中で「?」が点滅していると、お店の主人が「何を探しているの?」と絶妙のタイミングで話しかけてくれました。「ライブって何ですか?」
皆さんは、それがコンサートの実況録音だとご存知でしょうが、当時の僕は2枚組があることも、ライブ盤なるスタジオ録音とは別バージョンの曲があることも知らなかったのです。
このLPには大満足しました。オリジナルのスタジオ録音よりも、ジョン・デンバーがのびのび歌っていて、バックの演奏も素晴らしい。オリジナルの地味な音に比べて、コンサートの音は派手で馴染みやすいアレンジでした。ファンの拍手や声援が入っているのでライヴ盤は嫌いだという友人もいますが、僕はこの最初のライブ盤が良かったので、今に至るまでライブ盤は大好きです!特に自分が実際に見に行ったコンサートのライヴ盤は、当時を思い出す宝物です。
ちなみにこの4,000円のレコードは、親も気に入ったので、2,000円の助成金が出たことも嬉しかったです。(笑)