
LPが主要な音楽媒体であった時代、収録時間の関係で、「運命(33分)」と「未完成(26分)」を両面に刻んだレコードは、ゴールデンカップリングとしてもてはやされよく売れ、クラシックファンを増やした。
小生もそれを手にした一人だが、指揮者の佐渡氏も少年時代、カラヤンの「運命・未完成」を聴いて育ち、このカップリングに強い思い入れを抱いていたという。
今回、ベルリンドイツ響を率いて、当時、カラヤンが録音に使ったイエス・キリスト教会で収録したのも、そうした背景があってのことかも知れない。
がっしりした構成の音(楽)は、いかにも「運命・未完成」にふさわしいのだが、日頃、デジタル媒体で鮮度の高い音を聴いている耳には、何か一昔前の音を聴いているようでもあり、オーディオ的には、期待ほどのものではなかった。
特に、カラヤンのそれにも共通するのだが、中域から低域にかけての音が団子状になるのは、この教会の音場特性によるものだろう。
オーディオ評論家の推薦盤でもあるので、その内、時間をかけて聴き込んでみたいと思った。
・エイペックス・クラシックス
・AVCL25862
・SACD/CD HYBRID