ロシア出身のピアニストだが、日本で活躍するメジューエワさんがデビュー20周年を記念して、ベーゼンドルファーを弾いたアルバムを出した。
ご承知のごとく、演奏会用ピアノと言えば米国製のスタンウエイか日本製のヤマハということになるが、オーストリア製のベーゼンドルファーも根強い人気がある。
高音部がキラキラした華やかなスタンウエイとの対比で言えば、ベーゼンドルファーは、中低音部がふくよかで懐の深い音楽を奏でる。
今回は、それが設置されている神奈川県の相模湖交流センターで収録されたという。(収録の様子は、ステレオサウンド誌から転載)
曲目
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2「テンペスト」
・シューベルト:即興曲 変イ長調 作品142-2
・シューベルト=リスト:連祷(れんとう)
・リスト:エステ荘の噴水
・ワグナー=リスト:イゾルデの愛の死
・ドビュッシー:沈める寺
・ラフマニノフ:プレリュード 嬰ト短調 作品32-12
特に、2曲めのシューベルトの「即興曲」や、6曲目のドビュシーの「沈める寺」などが、ベーゼンドルファーの馥郁とした響きが感じられとても良いと思った。
ウィンナー・トーンと呼ばれる独特のまろやかで美しい音色とメジューエワさんのダイナミックな演奏で聴き応えじゅうぶん。
若林工房
WAKA-4204