昨年末、藤村の「夜明け前」を読了して以来、物語の舞台となった馬籠・妻籠宿を訪れたいと思っていた。
今回、札幌から郡上八幡を含む1泊2日のツアーがあることを知り便乗させてもらった。
生憎、見学の当日(昨日)は雨模様であったが、当時の面影を残すとされる宿場町の様子や、歴史を示す数々の展示を拝見するに及び、あの壮大な物語が眼前に立ち上がり感激ひとしおであった。
脇本陣跡に設けられた資料館。
当時の通行手形や往来の記録、藤村の書など数々の貴重な資料を拝見した。これは、藤村の「初恋」を佐藤春夫が記した色紙。
すぐ近くには、藤村の記念館もある。
「木曽路はすべて山の中である」に始まる「夜明け前」の原稿(同記念館のパンフから)
街道の中津川寄りの急坂の手前に、藤村の生地とされる建物もあった。
蛇足:藤村の「若菜集」から
初恋
まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれなゐ)の秋の実(み)に
人こひ初(そ)めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな
林檎畑の樹(こ)の下に
おのづからなる細道(ほそみち)は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
以上、ネットから拝借しました。