米国ミシガン州出身の詩人ビナードさんがインタビューした23人の戦争体験者との対談集。
対談には、真珠湾攻撃に参加した戦闘機の乗員であった「原田要」さん、沖縄の地上戦に参加した元沖縄県知事「太田昌秀」さん(故人)や漫画家の「ちばてつや」さんなども登場する。
米国と日本の二つの視点であの戦争を見つめると、今まで気付かなかったいろいろなことが見えて来る。
つまり、原爆を投下したエノラ・ゲイが上空から見下ろす広島と、街中を流れる川のほとりに立って見上げる視点からは、まったく異なる「戦争」が見えて来る。
米国で販売されている「Atomic Fire Ball」という飴玉に象徴される思い違いは、放射線を浴びる側に立って見るとはっきりする。
また、米国での日系人の強制収容問題なども、体験者へのインタビューを通して実感できる。また、真珠湾を含め、当時の米国支配層の思惑もはっきりする。
こうした点で、本書から学ぶものが多かった。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)