藪医 ふらここ堂 | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
直木賞、織田作之助賞に続き“大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本”2015年に選定された朝井まかてさんの新作です。
私もいま最も読んで欲しい時代小説の作家を問われたらまかてさんをあげますし、読むべき本には前作『阿蘭陀西鶴』を推挙します。まだ文庫本になってませんがぜひ!!
まかてさんはテーマというか読ませる媒体によって文体を変えていると思います。今回は連作の長編で、市井の人たちを愛情豊かに浮かびあがらせています。まず、それぞれのキャラクター。愛すべきどこか欠けた人たち。
ふらこことはぶらんこのこと。
子ども専門の医者、落語好きの方は医者を扱った落語のマクラに「昔は医者は国家資格ではなかった」という内容があるから昔は国家資格やございませんでした。いまでいう東洋医学を自分で習得して医者になるのです。
漢方学習マニアにはニマニマの漢方薬がでてきますよ~。
抑肝散、半夏厚朴湯…(ニマニマ)
物語はひじょーに俗的な子ども向けの医者とその娘とまわりの人たちの物語。最近レビュー書く時にどこまでどこまで書いていいのか悩みます。
あらすじ(引用)
天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖の江戸の小児医。朝寝坊する、患者を選り好みする、面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう出鱈目っぷりで、近所でも有名な藪医者だ。ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくるようになり、三哲の娘・おゆん、押しかけ弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さんなど、周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂の先行きは、いったいいかなることに──。
当時の医者事情、教育現場、夫婦と家族の有り様から、恋愛指南まで盛り込んで、人情と笑いたっぷりに描く、お江戸“子育て”小説誕生! (amazonより)
木曜時代劇のようなテイストです。そして、登場人物がみんな愛しい。それぞれの抱えているものが物語となり昇華されて。
すこしオープンエンディング的な感じもまたよし。