『アタゴオル』が映画化されるそうで、久々懐かしくなってコミックスを買いあさっています。
『アタゴオル』とは、山形県出身のますむら・ひろしが描く、猫と人間が共生する自然とファンタジーがごっちゃになった世界で、食欲と生命力のかたまりな主人公(主猫公?)ヒデヨシとその仲間が、のほほん、ぽややんと大活躍する物語です。連載スタートから今年で丁度30周年を向かえます(現在も「コミックフラッパー」なる雑誌で連載中らしい)。
ますむら・ひろし、と言われてもピンとこない人も多いだろうけど、アニメ映画『銀河鉄道の夜』の原作者と言えば、案外皆見たことあるんじゃなかろうか。登場人物(猫物?)がALL猫なアレです。
はじめて『アタゴオル』を読んだのは、小学生のころ病床に伏せていた僕に、近所のおばちゃんが貸してくれた『月刊マンガ少年』なる昔のマンガ雑誌でした。この『マンガ少年』、刊行されたのが1976年から1981年と、かなり短命に終わっているのですが、その内容の密度たるや恐ろしいまでの濃縮還元っぷりを見せ、尋常がないにも程がありました。手塚治虫の『火の鳥・望郷編』、石森章太郎の『サイボーグ009』をはじめ、高橋葉介、石川賢、松本零士、みなもと太郎、ジョージ秋山、藤子不二雄、水島慎二、横山光輝、新谷かおる、モンキーパンチなど、僕の琴線に触れまくりな錚々たる読切・連載陣。そして、おいおい少年誌だぜ、これ、と思わず突っ込まずには入られない、バッドエンドや不条理ストーリーによるトラウマ漫画の数々(『青の洞門』なんて少年誌でやるテーマじゃあねーだろ)。病床の小学生のハートにズビズバ直撃しないわけがありませんでした。いい意味でも悪い意味でも。
『アタゴオル』『風雲児たち』『夢幻紳士』『天使の時空船』など、最近買いあさっている漫画の傾向をかんがみるに、恐らくは、病床の2週間で読んだ、この『マンガ少年』が、僕という人間の2~30%程度を形成しているであろう結論に達した次第であります。そりゃこんなんなるわ。
