小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

女子トイレに珍客が!!

2024年07月10日 | 小笠原 野生動物
■先日、なかなかな島珍事件がありました(#^.^#)

まず住民から「ジャイアン、女子トイレにカメがいる!」となんか頭がバグる通報がありました(笑)。

駆けつけると、なるほど、
大きなメスのアオウミガメが女子トイレで動けなくなっています。

基本的にウミガメは前進あるのみ!なので、
こういった袋小路だと、文字通り手も足も出ません(笑)。

よくもまあ色んな障害を乗り越えて、
しかもちゃんと女子トイレに来たもんだと感心しながら、
このサイズはあまりに重く、
力も強く、危険で手に負えないので、
東京都の職員さんの助っ人を呼びました。
※ここは東京都の港湾施設なのです。

呼び出すワードは「力持ちを2~3人派遣してください!カメが女子トイレにハマってます!」でした(笑)。

完全にハマってます。
重さは200㎏くらいでしょうか。

■屈強な男性3人が応援に駆けつけてくれて、
早速レスキュー作業開始です。

ウミガメは特に力が強く、
腕が当たって、ヒトの方がケガする場合があるので要注意です。

ロープを持ってきて、前足両方に舫い結びでひっかけ、
男二人でロープで前進しないように引っ張る役、
男二人で甲羅を浮かし、
動かしながらバックさせる役で配置に付き、
想像よりはスムーズにトイレの外に動かせました。
屈強な男子の皆さん、ありがとうございます!!

もちろん、こんな時に撮る余裕はございません(笑)

片方の腕にロープをかけつつ、
左右のコントロールをしながら海に誘導します。

結構な段差も楽々と進みます。

正面の脇浜改造で作られたコンクリートの壁が、
カメを海に戻しにくい要因になっています。
※設計段階から反対していました。

過去に何度か亀のレスキューは経験があるので、
扱いはオーケーでした♪
この瞬間、仕事で姪島に行っていたカメプロの豪也に教わった技術が為になりました。感謝!

■ウミガメの短距離走の記録があるなら、
恐らく過去最高速で海に向かっています。

僕はここまで早く進むカメを見るのは、初めてでした(#^.^#)
よっぽど焦っていたのでしょう。

時々休みながら、大きなため息。

なんとか着水!!

海に入ってしまえばこっちのもの!
あっという間に海の中に消えていきました。
あ~良かった!!

ハマっている場所が日陰でなお良かったです。
陽の当たる箇所だと、そのまま死んでしまうケースもあるからです。

みんなで見送りながら、
いつか呼ばれるであろう竜宮城に
想いを馳せました。


都の職員の皆さん、知らせてくれた島民さん、
そしてカメさん、
ありがとうございました😊

↓インスタに動画もアップしました。

 




 
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僕が好きな【島でのイルカ・クジラとの関わり方】

2023年08月13日 | 小笠原 野生動物
■僕は今、母島で暮らしています。
そして、SUPやアウトリガーカヌーを漕いでよく沖に出ます。

有難い事にその暮らしの中で冬は特にザトウクジラ、
夏はイルカ達(ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ)に出逢うことがよくあります。


先日もSUPで御幸ノ浜沖でハシナガイルカの大群に逢うことが出来ました。
船だと船の引き波に乗って、いやっほう!と遊んでくれるハシナガイルカですが、
SUPやカヌーは速度が足りないないらしく(涙)
大体、スルーされることが多いのですが、
今回はSUPの下に寄って来てくれました♡
たまにあるんです(#^.^#)

手漕ぎのSUPやカヌー、
もちろんエンジンのボートなどは
イルカやクジラにとってはどんな存在に映っているのでしょうか?

カヌーを漕いでいて、親子連れのザトウクジラに出逢った時、
母親やエスコートと呼ばれるオスのクジラが子クジラを守る様な動きをすることがあり、
明らかにこちらを意識していると感じました。

漕いでいる僕や仲間たちにとって、
このイルカやクジラとの遭遇はとても嬉しくて、興奮して、つい近寄りがちです。
だけど、相手が警戒していると感じる時は特に最新の注意を払います。
それは僕たちが相手の世界にお邪魔している立場で、楽しませてもらっているからと考えています。

ザトウクジラにいたってはとても大きくて、
メスだと15m(大型バス1台分)くらいになるので、
仮に接触、ヒレに当たる、ブリーチ(ジャンプ)して当たったら命の危険をはらんでいます。

漁船などエンジンのボートで接近する時はあまり気にならないのですが、
カヌーで接近する時、SUPやカヤックで接近する時は間違いなく怖さを明確に感じます。

その怖さ、そして畏敬の念がとても大切な気がするのです。


■僕は仙台の生まれ育ち、何故か子供の頃から鯨類が好きで、
よく図鑑やNHK「生き物地球紀行」でクジラ特集を食い入るようによく見ていました。

震災前まで女川にあった捕鯨の博物館(現ホエールランド)にも子供の頃、父親に連れて行ってもらい、
図鑑やTVでは分からないその迫力に感動した記憶があります。

19歳の頃、初めて観光で小笠原にやって来て、
当時カナヅチだった僕がイルカと泳ぎたい一心で泳ぎを習得したという経緯があります(#^.^#)
ほんとに水が怖かったんです(笑)。

その頃、父島にサザンクロスⅤというガイド船があって、
船長の東城さんのイルカやクジラに対する優しい考えやアプローチが素敵だなと思っていました。

21歳の頃に父島にやって来た時は、宿で仕事をしていました。
もう東城さんは残念なことに亡くなっていて、
僕は休日に色んなボートでホエールウォッチングやドルフィンスイムに通っていました。

何度も何度もツアーに出ているうちに、
ふと違和感のようなものが僕の中に感じられるようになりました。

自分たちは楽しむ為にイルカやクジラに接近している。
でも気付けば複数のボートで入れ代わり立ち代わり人を入れて、
群れに対して追いかけまわしている印象を持ち始めたのです。

ノビノビと遥か彼方(中央奥)で跳ねるハシナガちゃん。

■小笠原は小笠原ホエールウォッチング協会(OWA)があります。
捕鯨が国際的な流れで中止になり、その翌年の
1988年4月から日本で初めてのホエールウォッチングが母島で始まっています。
小笠原は最後の捕鯨の重要エリアとして基地があったのです。

当時、捕鯨が出来なくなったタイミングで、
すぐに獲るものから見るものへと転換したその柔軟性が凄いと思います。
島の先人たちは、この先を見越し、模索して
ハワイなどにウォッチングの視察に行き、
ルールや在り方について学びに行っていたそうです。

そして、小笠原ではOWAがクジラの接近に関して自主ルールを設けて、
イルカに関しては小笠原観光協会が運用して、
現在も近付き方、距離、回数などの制限を設けています。

これは大事な観光資源でもある、イルカやクジラと、それで商売をしている人たちのバランスを考えた、
国内でも先鋭的なルール設定だと思います。

僕はそのルールに関して、違うとかどうとか思っているわけではないですし、
それでガイドをしている皆さんに対して不満を持っているわけでなくて、
僕自身がそのツアーに参加してエンジンボートでアプローチすることに違和感を持ち始めたという事です。

丁度その頃、父島の宮之浜での素潜りが盛り上がっていて、
「チーム宮ノ浜」なんてのもあった頃、
宮之浜でミナミハンドウイルカと遊んできたという話が飛び込んできました。

僕はそこでピン!ときました。

僕はボートで会いに行くスタイルよりも、
海で遊んでいて、ふと偶然にイルカとコミュニケーションを取る、
遊ぶの方が好きだなぁ、と。

SUPで自然に出逢うハシナガイルカ達

■気付けば小笠原に移住していて、
今ではイルカやクジラが暮らしの身近な場所にいて、
年間通してよく海に出ている僕には日常の存在になってきました。

もうあの違和感を持ってからは、ほとんどガイド船に乗ることはないのですが、
海岸清掃やPTA行事、仕事などで沖に出て遭遇することはあります。
その時はやっぱり嬉しいし、思わず写真も撮っちゃいますが、
僕はSUPやカヌーを漕いでいて、偶然に出逢う方が好きなようです。

エンジンの付いたボートでは味わえない、
沖の静寂な中にかすかに聞こえるイルカの呼吸の音、
ザトウクジラの歌声が海面の上にいても直接聞こえる感覚、
どんなに一生懸命漕いでも、野生のイルカやクジラの速さや存在感に叶わないという、
圧倒的な無力感、
そのどれもが僕にとっては大好きな在り方でした♪

母島はガイド船というものがあまりないので、
SUPやカヌーで静かに眺めていても、
急にボートが集まってくるという事はまずありません。

実際にカナダに行った時、
テレグラフコーブ、アラートベイで感じた、
シャチなどの鯨類に関するアプローチ、そしてレクチャーの仕方や、
ガイド同士の連携、船の操船やエンジンと音まで配慮するその姿勢は
とても素晴らしく、感動を覚えました。
当時の感動はブログ記事に書いています。

近年、奄美のホールスイム等が話題となり、
SNSでもよく見かけます。
実際に経験した友人、知人の話、
実際に現地でガイドしている友人、
クジライルカ会議でのホエールスイムでの論議、
今、日本においては、ヒトと鯨類の距離感について
とてもホットな話題だと思います。


■そんな中、子供の頃から大好きで食いつくように見ていた図鑑の作者でもある人の言葉が飛び込んできました。
写真家でジャーナリストである著者の水口博也さんが、
とても興味深い記事をOWAの機関紙メガプテラVol.93号に書いていました。

これは本来OWA会員に配布される機関紙ですが、
年に一度程度、島内全戸配布を行っています。
今回はそこに載せられた記事で、
OWAの気持ちのこもったスタンスが感じられました。
勿論、賛否両論があると思います。

人が鯨類に近づき過ぎる事、ハラスメントの影響を警告し、
ずっと関わってきた水口さんならではの考察、
最後の一説にはさすがの一言に思えました。

「化石燃料を燃やし続けて鯨類の親子を追い回しながら、
感動の出逢いを謳うという欺瞞(ぎまん)からは動物福祉の観点からも、
気候変動を最小限にする地球人の義務としても、そろそろ決別すべきときだ」
と。

そして巻末のOWAからの一言にも、
「野生動物観光の持つ負の側面をみんなで一緒になって考え、
解決していく事が大切だと思っています」
と書かれています。

僕はこのタイミングでこの発信はすごい勇気のいる事だと思うし、
常に時代と、生き物と自然を考えて、柔軟に考えていこうというスタンスは
とても素晴らしい事だと思います。

そしてここではごく一部を切り取って紹介しているだけにすぎないので、
ぜひ機関紙メガプテラVol.93をしっかり読んで、
理解を深めてほしいと思います。


■この小さな小笠原においても幾つもの自主ルール、条例があります。
それは何も自然系だけでなく、人の暮らしにも様々なルールがあります。

それは先人の皆さんがその時のベストを考え、
最善を尽くして考えた結果だと思います。
本当にリスペクトの気持ちでいっぱいです。

しかし、時間の流れ、時代、価値観、自然は刻一刻と状況が変わっていきます。
常に過去に設定したルールが、
現状に合っているか?を見直す柔軟な姿勢は今後、とても大事な事だと思います。

そして、僕個人の考えになりますが、
一つのルールがあるのも大事ですが、
白黒のどちらかではなく、グレーを含む多様性が大事な時代になっているとも思うのです。

黒が白を塗りつぶすのではなく、
白一色にするわけでもなく、
どんな色も在っていい、大事なのは決め事よりもバランス、
そして常に見直して変える柔軟性が重要、そんな気がしています。

価値観の多様性を認める事。
言葉にすれば簡単ですが、
それはとても難しい事だと思います。

そして、その全体をみんなで漕ぐ一つのカヌーであるという意識。
イチ分野、イチ視点だけでなく、全体を見ることの大切さ。
価値観が違ってても、共に生きて、漕ぎ続けようというスタンスが重要になっていると思うのです。


■そして、それを生業としている人だけが考え、
実行するのではなく、
それらを利用する側、消費する側も、
考えてセレクトすることが求められます。

それがそのまま投票になります。
利用する側、消費する側も選ぶという意識を持っていることが大事と思うのです。

ルールで決まっているから、とか、
今までこうだから、ではなく、
自分自身の責任で以て考え、判断し、それを選んでいくこと。

それが今混沌と化している、
どこに向かえばいいか見えにくい時代において、
健全な世界を作って行く方法な気がするのです。

今でも追いかけまくっても、
どうせ毎年小笠原に来るんだから、
自主ルールなんて気にしなくていいという人もいるし、
大事な資源なのだから、
大事に気を遣って接していくべきという人もいます。

どっちが正しい悪い、ではなく、
よく考えてどっちを選んでいくのか、だと思うのです。
そしてどっちも存在できる社会がこれからの時代な気がしています。

日々、大好きな鯨類に関わる中、
この人と野生動物の関りの事をずっと書こうと思っていたら、
OWAの機関紙が配布されて、一気に記事にしちゃいました。

あくまで僕個人の考察ですが、
皆さんが地球に住む一つの命として考えて、
これからの未来に向けてカヌーを漕ぐ一員として、
考えるきっかけになれば幸いです。

長文を最後までありがとうございました!!

母島でメアジが20年ぶりに大量死!!

2022年08月26日 | 小笠原 野生動物
■8月24日朝、我が目を疑うほどの光景が母島漁港に拡がっていました。
メアジが大量に死んでいて、
もの凄い数のメアジが浮いたり、打ちあがっていたりしています。

島に住んで約20年、話に聞いたことはありましたが、
まさかその光景が目の前に広がっているとは!!

もう腐敗も始まっており、あたりは異様な腐敗臭が漂っておりました。

漁師さん達と話をして、
・これはかなり久々
・昨日の夕方はまったくなかったことは確か
・今朝から沢山浮かんできた
・メアジは夜に群れで一気に沖に行くと思う
・ボラやササヨは普通に元気に泳いでる
とのことでした。

過去の記事を調べてみると、
1999年8月、2001年10月にも同じ母島沖港で発生した記録があります。
季刊誌iBOにも掲載されています。
これまでも小規模のメアジの死亡はあったものの、
このように数千匹を超える規模の大量死は20年ぶりになります。


■僕は研究者でもないし、島出身でもないので、
漁師さんの話を聞いたり、過去の記事を見たりして考察してみました。
あくまでド素人の推測です。

今回の大量死の原因は酸欠が主原因ではないかなと思います。
数千匹のメアジの群れが明け方に沖から一気に狭い母島の漁港に入ってくる。
元々狭くて、水質の悪い沖港の漁港。
さらにはその前日に護岸工事で大きな岩を幾つも海に入れたり工事しているので、
通常でさえ水質が悪いのに、さらに水質が悪い状況の場所に、
メアジたちが一気に入ってきて、酸欠を起こして大量死してしまう。

先週は沖港の水温が26℃台だったのに、
22日頃から一気に30℃台に跳ね上がっているのも原因のひとつかも知れません。

酸欠に特に弱いメアジだけが死んでいるところを見ると、
毒物や汚染、鰓(エラ)が詰まって呼吸できない、の可能性は低そうです。
そうであれば他の魚も沢山死んでいるはずです。

根本的な原因は沖港の水質が常に悪い状況だとも思う。

今回はこんなところではないでしょうか。


■さて、直近の問題はこの大量の死骸をどうするかです。

いつも海にはお世話になっています。
他人事にする気はないので、片付ける気満々だったのですが、今日は入出港日、
そして翌日はお盆休み明けの貨物船共勝丸に大量の荷物を載せる準備の仕事が控えています。

当日の朝はまだ数千匹に及ぶほどは見えず、
僕などがカヤックやSUPで海面のを集めて、漁船に渡して、
漁師さんが沖に持って行って捨てるなんて話もしていました。

みんな何とかしないと困るよねと話しています。
この日は昼に2時間だけ隙間があって、作業できると考えていたのですが、
見ているうちにどんどん魚が浮いてくるので、
漁師さんと「2時間じゃ終わんないね。ちょっと様子を見るか」という事になりました。

と同時に東京都や漁協も各方面動いていて、
この未曾有の事態にどう対処するか検討していました。


■午前中は漁港内がほとんどだったメアジの死体も、
昼頃から大岸壁前、石次郎前、前浜も浮かびだしてきました。

この時点で事態がどこまで広がるかは誰にもわからないのです。
その不安はとても大きいし辛いものです。

こりゃ大変な事になったなと思うも、この日は入港日。
そんな海の中にははじま丸が入港してきます。

船に乗っていた皆さんもこの光景にギョっとしたことでしょう。

となると僕も夜までずっと宅急便や郵便、他荷物の配達や仕分け作業に追われるので、
何もできなくなってしまいました。

夕方せっせと配達していたら、
漁師さんが、「ジャイアン、明日土建屋が片付けてくれる運びになったよ!色々ありがとう!」と声をかけてくれました。

わあ!なんて有難い!
腐敗して間違いなく大変な作業であることには変わりありませんが、このままにはしておけないと思っていたので、
その予算と手配を東京都がしてくれて、
それを請け負ってくれる会社があって、
実際に作業してくれる人たちがいる。

本当に有難いと思いました。

■2日目、僕が見廻った印象では前日よりも数が減った気がしました。
潮汐で海に戻ったのもあると思います。

昨日浮いていたのも打ちあがっていたのもそうですが、
死んだ直後というよりは、もう少し腐敗が進んでいるように見えます。
痛むのが速いアジにしても、少し進み過ぎてる印象があります。

見ている最中にも浮いて来て、その様を見る限りでは、
死んである程度時間が経過してから、ガスなどが充満して浮いてきているのかも知れません。


いずれにせよ、昨日よりも絶対量が減った印象があり、少しホッとしました。
圧倒的に増えてくる可能性もあったからです。

朝から土建屋さんの人たちが打ちあがったメアジの死体を集めてくれていました。
僕も仕事の合間に声をかけると「ジャイアン、今夜これ食べるんだろ?」と
辛い作業なのに冗談を言ってくれます。いや、腐敗してて、絶対食えないけど(笑)!!

作業して隣の浜に行ってる間にもどんどん浮いてる魚が打ちあがってきて、
なかなか終わりが見えない作業…
結局、メアジ大量死の2日目の片付け作業初日は2500匹を超える死骸を集めてくれたそうです。

本当に感謝!!
僕もこの記事を書いている今日の15時半以降は片付けに行けそうなので、
終わってない分を作業しに行こうと思っています。
SUPもカヤックも必要があれば出すつもりです。
※追記 3日目の朝に数匹浮いているのを残して、無事に収束しました☆

せっかくいいお天気が続いている母島の夏。
どうかまた気持ちのいい沖港に戻ることを願っています☆

20年振りとはいえ、沖港の構造上の問題はぬぐえません。

灯台まで堤防を延ばして、海水の出入り口を狭くなってから、
沖港の水質は一気に悪化したと聞いています。

しかし間違いなくははじま丸の就航率は上がったことも事実。
SUPなどで荒れた海から戻ってくると、堤防の有難みは顕著に感じます。

最新の技術とかで堤防の下に水が出入りできる機構とか作って、
就航率を下げずとも、水質を良くする作りはできないのかな?と思っちゃいます。

前に島の建築、港湾の方ともこのテーマで何度も話すのですが、
やはり水質と就航率の両立は難しいようです。

今回の20年ぶりのメアジの大量死。
まだ片付けも含め終わっておらず、最中ですが、
この自然からのメッセージをどう受け取るかはヒト次第。

ピンチはチャンスと考えると、色々ヒントはありそうです(#^.^#)

過去には
2016年母島イタチザメ騒動などありました。
自然は色んなメッセージを伝えてくれます。





未知との遭遇~小笠原でザトウクジラのバブルネット⁉

2022年02月01日 | 小笠原 野生動物
■先日の土日2日連チャンでホエールウォッチングに行く機会に恵まれました♪
それがあまりに感動的な未知との遭遇だったので、まだ興奮が冷めずにこの記事を書いています。

1日目はPTA、2日目は青年会主催のホエールウォッチングでした。
終わった後もみんな笑顔が溢れて「凄かったね~」「楽しかった♪」と
言い合っていて、それが本当に嬉しかったです(#^.^#)

そして、僕が約20年の島キャリアにおいても、格別のクジラ時間でした(#^.^#)
あの圧倒的なひと時は何にも代えることはできません。

これは1日目の母島小中学校PTA郊外部活動での一コマ。
こんなPTA活動をする地域は他に父島、座間味くらいでしょうか?(最近は伊豆諸島でもあるかも!)

今回、特に事前からしっかりとフォーカスしていたのが
このアンダーウォーターブロウ(水面下の潮吹き)です。
ザトウクジラが興奮して浮上してくる時に見せる特別な光景なのです。

メスを追いかけて、オス同士が激しく競い合う集団を「メイティングポッド」というそうなのですが、
オスが興奮するあまり、普段は水面上にクジラの噴気孔が出てから呼吸するのですが、
水面下のうちから鼻息荒く息を吐きだすブロウがアンダーウォーターブロウです。

Photo by Shimona
この何気ない写真ですが、アンダーウォーターブロウの瞬間と母島を見事に捉えています♪
一緒に乗船した友人が撮った写真です☆

実は数ある写真の中で、この何気ない1枚が大のお気に入りなんです。
ここにクジラの興奮のエナジーと、その瞬間を待っている人の気持ちが凝縮しています。
どうしてこんなにもヒトはクジラに惹かれるのでしょう?

大きいから?
ダイナミックだから?
哺乳類だから?
僕は小学生の頃から鯨類が好きでした(#^.^#)
僕はまだ明確な答えを持っていません。
でも惹かれている事は紛れもない事実です♡

Photo by Shimona
遠くからまっすぐ上に4m位高く上がるブロウとは違い、
アンダーウォーターブロウは、海面で砕けるように広がるブロウになります。
これは結構、遠目でも違いが分かります☆


■今回、ようやく写真で収めることができたアンダーウォーターブローの瞬間です。

水面下から泡がブクブクと上がって来ます。


下からヌッと黒い巨体が見えてきます。


水面に現れると、そのまま大きな広がるブロウになります。


そのまま勢いよく進んでいきます。

オスが興奮している様が伝わって来ます。
見ているこちらも海中から姿よりも先に泡が上がってきて、ドキドキさせられます。


■しかし、アンダーウォーターブロウは前から知っていたし、見ていました。
今回の驚くべき未知との遭遇は、まさにその泡にありました。

このザトウクジラ達は夏場は北極海のアリューシャン列島やアラスカの海で過ごします。
そこでオキアミやプランクトンや小魚をたらふく食べるのですが、
特徴的な自身の呼吸の泡を使った捕食行動、「バブルネットフィーディング」を行うのが有名です。

それはクジラの群れが円を描きながら、円柱状に出す泡でニシンなどの小魚やプランクトンを追い込み、
一気に大きな口で飲み込むというダイナミックな捕食行動のことなのですが、
今回、あまり捕食行動をしないと言われている小笠原で
興奮したオス達が海中でバブルネットを作り出している光景を初めて見ることが出来ました(^^♪

北極海の採餌行動のように輪を描くわけではなく、
直線的に海中から泡が浮上してきます。

なんという光景なのでしょう!
この天の川のような帯はすべてクジラが作り出していたものなのです(#^.^#)

Photo by Shimona
日々この時期にホエールウォッチングをしている人にとっては、
良く見慣れた光景かも知れませんが、僕は20年び島キャリアで初めての光景でした。

とてもよく目立つし、人気の激しいジャンプ(ブリーチング)や、
大きな尾びれを上げて潜る様(フルークアップ)も素晴らしいのですが、
僕は密かにこのバブルネットに震えるほど感動していました♪

このバブルネットのあとに大きなオスが浮上してきて、
大きなブロウ(潮吹き)を上げて出現した時に、一気に船上で歓声が上がります。

なんという存在感。
なんという迫力。
人間のちっぽけさをまざまざと見せつけられました。

Photo by Shimona


■もうひとつの未知との遭遇はお腹が白いザトウクジラです。
普段、北半球のザトウクジラは比較的腹部も黒い個体が多く、
胸ビレの裏側が白いのが目立つ程度でした。
逆に南半球のザトウクジラは腹部が白い個体が多いと聞きます。
一般的に北半球と南半球のザトウクジラの行き来はほとんどないという事だったと思います(うる覚えw)。

今回はなんとお腹の白いザトウクジラのブリーチングを捉えることが出来ました♪

しかし、沖縄の座間味でもお腹の白い若い個体をチラホラ確認できていると噂を耳にしました。
なかなか気になる情報です。

もう1枚ブリーチングを撮れたのですが、
こちらは今年生まれの若い子クジラのジャンプでした。
小さな体で一生懸命、何度も飛ぶ様は本当に健気です(#^.^#)

子クジラはいっぱい動いて、お腹が空いても母クジラの母乳があるのでへっちゃらです♡
でも母クジラは小笠原ではあまりエサがないので、どんどん痩せていきます。

本当の真意はクジラに聞いてみないと分かりませんが(笑)、
夏場の豊富な餌場の北極海の海は、濁ったプランクトンの栄養スープのような豊かな海。
エサが豊富であると同時にサメやシャチなどの捕食者が多い事にも繋がります。

小笠原の透明な暖かい海は、栄養はどんどん深海に沈む栄養が乏しい澄んだ海です。
子供を産んで育てるにはこれ以上安全な場所はないのではないでしょうか?

一方、オスは栄養豊かな北の海に留まっていればいいものの、
やはり大好きなメスたちがこぞって一路、南へ行ってしまうので、
追いかけてついて来ている気がしてなりません(#^.^#)


■さらにもう一つの未知との遭遇!(まだあるんかいw)
それは今回クジラの唸り声を聞くことが出来たのです☆

この写真は今回の僕の沖入りの「わらうクジラ」と名付けた、少し口を開けた瞬間の1枚です。

ザトウクジラは海中でよく大きな切ない声で歌っています。
それは交配期のオスのみと言われており、言わばラブソングだと勝手に思っています♡

そのソングは海中で聴くと、ウォ~ンとなんとも言えない寂しい雰囲気に僕は聞こえます。
フラれたのかなぁと勝手に思ってます(笑)。

今回の未知との遭遇は、そんなソングではなく、
海面に顔を出したときに「グゥゥゥ!」と大きな唸り声を発していました。
なんか怪獣が変なものを飲み込んだ時のような声です(どんなだw)。

これも今回、海面上では初めて聞いたものでした☆


■他にももちろん尾びれをねじりながら暴れていたり、
様々なアクションを行っていました。

ほぼ静止している船の上で、僕たちは眺めているだけなのですが、
興奮したザトウクジラ達は船を取り囲み、
周囲で様々な活発な動きを見せてくれます。

Photo by Shimona
興奮したオス達に追いかけられているメス。
その雌の傍らには可愛い子供がいました。

母親が何度も子クジラをおぶっていたりしていて、とても可愛かったです♡
こんな光景を間近に見れたのも初でした♪

授乳中の母親です。
こりゃあ、オスどもは相手にしてもらえるわけがありません。

しかし、そんなメスの都合はお構いなしに、
オス達は争い合って、メスの取り合いをしている(ように見えます。全部推測ですw)。



■この日はなんとははじま丸がドック入りして、初めてくろしお丸が定期航路に初就航する日でした。
ザトウクジラのブロウの背景にくろしお丸が入港していきました。

母島では入港セレモニーが開催されていたそうです。

僕たちが胸いっぱいのホエールウォッチングを終えて戻るとき、
沖港にカッコいいくろしお丸がいました(^^♪



■今回のPTAでも青年会でも、
初めて母島にやって来て、
初めてボートに乗ってホエールウォッチングをした人が何人もいました。

青年会は常日頃の地域活動の感謝を込めてのイベントでした。
「すげぇ!!」
「翌日になってもまだ興奮しているよ!」
「参加して本当に良かった!ありがとう☆」
と嬉しいコメントを沢山頂きました。

当日の朝は、海はそこそこ良かれど、少し雨模様でした。
判断に悩んでいたのですが予報では曇り。
その予報を信じて、朝の7時に決定したのですが、その後にまさかの大雨。

再度延期にするかどうか、
悩みに悩みましたが、船長家族とも相談し、雲の薄さも見えたので実施を決定しました。

お陰様で、9時開始からは一度も雨が降ることなく、
しかも風が寒くなく快適な状況でした。

結果、僕にとっても未知との遭遇ばかりの、
素晴らしいホエールウォッチングともなりました(^^♪

みんなが喜んでくれて本当に良かったです☆
あの時、悩みに悩んで実施を決定した自分を褒めてやりたいです(#^.^#)

僕自身も映像や写真を見返しては、にんまり幸せな気持ちになっています♡

いつか島を離れてしまう先生や友人や家族も、
それぞれの日常と同じ時間に母島の海ではこんなことが繰り広げらているんだなぁ、と
思いだして、何かの力になれればなと思っています。
本当に奇跡のような有難い時間でした。



■母島は捕鯨が禁止になった翌年に日本で一番最初のホエールウォッチングを始めた場所です。
「獲るもの」から「見るもの」へ。
その驚くべき柔軟な発想の転換とシフトの鮮やかさは一体どんな感じだったのでしょう?

Facebookのコメントに当時を知る、父島のレジェンドから興味深いコメントがありました。
「漫画家・岩本久則さんが、
 捕鯨賛成の人も、反対の人もまとめて鯨写連ゲイシャレンと称して連れてきて、
 小笠原諸島返還20周年記念事業として、母島実行委員会が実施しました。
 父島では、懐疑的だったが、
 母島がやるんなら、父島でもやらないとと、急遽後から行われました。
 母島実行委員会と母島漁協の先見性に敬服!」

そうだったんですか!!
当時の事をますます知りたくなってしまいます♪

大海原で大きなクジラと対峙していると、
本当に大自然にお邪魔しているのだなぁと畏敬の念が湧いてきます。

しかし、そんなクジラたちも人間の様々な影響を受けています。
母島でも2016年に東港でザトウクジラが定置網に絡まった事故がありましたし、
胃の内容物に様々なプラスティックが何キロも入っていたり、
有害物質が生物濃縮されて、高濃度に汚染されているとも聞きます。

今回、とてもいい思いをさせてもらったクジラ達に
自分たちは何ができるのでしょうか?

捕鯨についてももっと勉強したいです。
外部の人間がその土地の人たちに価値観を押し付けて、
色々ジャッジするのはすごく乱暴と思っています。

自分たちは自分たちが住むその土地で、
自然に感謝をして、何を恩返しできるのか?

もちろんゴミを出さない、拾う、リスペクトするはとても大事と思います。

そして、この自然からのメッセージを受け取って、学んでいく、感じていく、動いていくのが重要なのだと思います。

母島で当たり前のように毎冬やってくるザトウクジラ達。
そんなクジラ達を陸上からも見れる、とても有難い環境。
でもそれは当たり前ではなく、奇跡なのだと思います。

そんなクジラ達を愛でて、見て楽しく過ごせる機会に恵まれたこと。
他では得られないこの貴重な体験をシェアしたいし、
この感動で何かにお返ししたいと思っています。

最後に、お忙しい中、私たちの為に船を出して操船してくれた船長さん達、
事前の調整、当日の色んな気配りをしてくれたご家族の皆さん、
本当に素晴らしい時間を過ごすことが出来ました!

どうもありがとうございました<m(__)m>

ザトウクジラは尾びれの裏側の模様が個体ごとに違うので、個体識別に使われます(#^.^#)

★2019年のPTAホエールウォッチング記事はこちら

★カナダで経験した最高のホエールウォッチング記事はこちら

◇使用機材
本体:OLYMPUS OMD EM-5 MarkⅡ(ミラーレス一眼)
CANON Powershot SX60HS(超望遠コンデジ)
レンズ:M.ZUIKO 40-150mm F2.8 PRO(35mm版換算 80-300mm)
    M.ZUIKO 12-100mm F4.0 PRO(35mm版換算 24-200mm)
テレコンバーター:M.ZUIKO 2×TELECONVERTER MC-20




日本で一番絶滅に近い鳥が母島にいる~オガサワラカワラヒワ

2020年12月26日 | 小笠原 野生動物
■「えっ?もうそれしかいないの?」
「20年前とかは普通にいっぱいいたよ?」
「そう言えば、最近見ない気がするね」
確かにみる頻度は減ってきていたし、
なんか少ない印象があったけど、
まさか、いま日本で一番絶滅に近い鳥が自分が住んでいる母島にいるなんて知りませんでした。

オガサワラカワラヒワという鳥をご存じでしょうか?
スズメ大の大きさで、くちばしが大きめで、オスは体が緑と羽の白黒模様が特徴の鳥です。

母島でもそもそもあまり知られていない鳥です。
昔から、農地によく現れるので、百姓には馴染みがあったようで、
「くざいもん」と呼ばれていたそうです。

以前は広く小笠原諸島全域に生息していたみたいですが、
今は母島列島と火山列島の南硫黄島にわずかに生き残っているだけだそうです。

内地のカワラヒワの亜種として取り扱われていましたが、
近年、遺伝的に大きく離れていることが分かり、
別種として扱われることになったようです。

この鳥が人知れず絶滅の危機に瀕しているのに僕が気付いたのはここ最近のことでした。

近年、川上和人さんらの研究者の講演会でそう語られていたのです。。
たしかにあんなに畑で普通に見ていた鳥なのに、近年は見る頻度はグッと減ってきています。
2019年の夏に一度に7羽見たのが僕にとって数年ぶりの複数羽の観察でした。

僕にとっては2017年頃から劇的に見なくなった印象です。

関係者の中ではヤバいと言われていましたが、
なかなか絶滅回避に向けての大きな動きができない時期が続きました。

そこに今年、大きな事件が発生します。
オガサワラシジミの絶滅(まだ確定ではない)というニュースです。

※こちらはメスのオガサワラカワラヒワ

■オガサワラシジミは小笠原諸島全域に分布していましたが、
外来種などの影響により、母島列島にだけ生き残っていました。

母島でも「オガサワラシジミの会」が発足し、保全活動を頑張っていましたが、年々その目撃は減り、
2017年、2018年の渇水と2019年の超台風により、自然界は大ダメージを負いました。
そして、そのタイミングで域外飼育、内地の動物園での飼育が全滅してしまったのです。(繁殖が上手くいかなかった)

このニュースは絶滅の危機に瀕しているオガサワラカワラヒワが住む母島列島の私達に、
待ったなしの強烈なメッセージとなりました。
このニュース以前から、保全計画作りワークショップの計画はありましたが、
このシジミの絶滅のニュースで一気に加速した気がします。

【第2のシジミにさせない!!】

船待ちパネル作業に集まった運営メンバー(一部です)
関係者一同、そんな想いで動いてきました。

僕も秋から実行委員に参加させてもらい、
12月のワークショップに向けて精力的に関わらせてもらいました。

11月からは
オガヒワキャンペーンを展開し、
ホームページの開設、
ツイッターYoutubeチャンネルの開設
船客待合所にパネル展示、
オガヒワの生態と危機などを学ぶ講演会、
沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会、
そして12/19のPHVAワークショップ。

怒涛のように駆け抜けてきました。

100匹しか生き残っていない鳥の為に、
約100人の人間が考え、課題を抽出し、目標を設定し、動き出しました。

本当に多くの方がこのワークショップに関わり、
オガヒワの絶滅回避のために議論を重ねました。

そして今、思うのは、
大事なのは“これからの動き”であることと思います。

ワークショップはようやく保全のスタートラインに立っただけなのです。

畑の大根の種を食べるくざいもんのオスとメス。

■オガヒワが絶滅の危機に瀕した原因は、
属島のドブネズミによる繁殖率の低下、
母島における餌場、水場の環境悪化など言われています。
幾つも考えられますが、どれも仮設の域を脱していません。(詳しくはHPをどうぞ!)

しかし、この10年間で劇的に数を減らしたことは事実で、
何かしら対策を行わないと絶滅に一直線であることは明白なようです。

しかし、母島のしかも無人島である属島が繁殖地で、
人知れず絶滅に向かっている事を多くの人が知らない、どころか
この鳥の存在すら知られていないのです。

まずはこのオガサワラカワラヒワを、
この絶滅の危機に瀕している事実を多くの人に知ってもらわなければ、と思いました。


■2008年にアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップが開催されました。
アカガシラカラスバトは小笠原の固有のカラスバトで天然記念物です。

この鳥も「幻のハト」として、ほとんど姿が見られることはありませんでした。
知らない、見たことがないがほとんどの存在でした。

しかし、2008年のワークショップを契機に、
「あかぽっぽ」という愛称も有名になり、
まず、多くの人が知っているものになりました。

そして、保全として最優先課題になった「山のノネコをゼロにする」に向けて、
島の山のノネコの捕獲が動きだし、
驚くことに数年後には集落地域に幻のハトが沢山姿を現すようになりました。
今までほとんど見られなかったハトが、ですよ?

まったくマイナーだった存在が、
ワークショップを機に一気にメジャーに成りあがったのです。

オガヒワも今は全くのマイナーですが、
このワークショップをきっかけに多くの人がこの事実を知り、
この鳥の事を知ってくれたと思います。

これはワークショップでの大きな成果の一つだと思います。

実行委員として関わり、色々とツッコミどころ満載なワークショップでしたが、
関わったみんな本当によく頑張ったと思うし、
色々不備があっても、それが等身大だったと思います。

圧倒的にマンパワーが不足する母島。
この構図は実行委員でもそうでした。

でもこのコロナ禍において、オンラインという手法で
待ったなしのオガヒワ絶滅回避に向けて、
450人の島の事について、
母島の島民が50人近く、
父島、内地の専門家も50人近く集まり、
丸一日議論を重ねて、行動目標を捻出すること出来たのは、
とても大きな意味があったと思います。

今回のワークショップで話し合われた議論や練り上げられた行動目標などは年明けて、
1/11 島内向けオンライン報告会「オガサワラカワラヒワワークショップ報告会」
1/28 内地など一般向けに、オガサワラカワラヒワの現状とワークショップの結果に関する講演会
   「オガサワラカワラヒワぜんぶわかっちゃう」をYouTubeで配信する予定です。

詳しくはHPをご覧ください。
そちらもお楽しみに!



■12/20、
オガヒワワークショップの翌日。

なんとオガヒワ子供ワークショップが開催されました♪
まずは子ども達にも知ってもらいたい!

実行委員長の川口さんもアツく語りかけます。

新型コロナ拡大防止のために、
屋外の学校中庭を使って実施しました。


あの有名なバード川上さんも子供達にカワラヒワのことを伝えに参加してくれています。

子供達は本当に積極的に発言をしてくれました(#^.^#)

子供達が考え、選ばれた名前が逸材過ぎます♪

みんな<が考える愛称、オトナでは思いつかないようなネーミングセンスがありますヽ(^o^)丿
どうすればみんなが知ってくれるか!?
頭が柔軟な子供達は「地名をカワラヒワにすればいいじゃん!」
と柔軟な答えを連発してくれます♪


学校の先生もワークショップに参加し、色んな場面で子ども達にオガヒワのことを報せてくれています。

大人じゃ探り合いで終わってしまう時間を、
子供達はいとも簡単に飛び越えてきます。
そして柔軟な答えをバンバン出してくれる。

これぞまさにワークショップ。

オトナのワークショップの翌日の私達には、
この子供たちのアクティブさには驚きました(#^.^#)

最後はみんなで記念撮影。

こんな積極的な子供たちがいることは本当に宝だと思いました♪
今後がすごく楽しみです!!


■先ほど触れた沖港先客待合所でのパネル展示。
あまりにマイナーなオガヒワちゃん。

これで少しでも身近になってくれればと思います。


沢山の子どもと少しの大人が塗り絵もしてくれました(#^.^#)

こうして少しずつ関わりを増やしていく事で、知っている人が増えて、
保全活動に協力してもらえる流れになってくれればと思います。

■11月の下旬、沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会がありました。
そこで最前線で活躍しているNPO法人どうぶつたちの病院 沖縄で活動されている長嶺隆先生が語っていた言葉が忘れられません。

「これからの未来、カワラヒワの糞などから今までになかった特効薬が生まれる可能性はある。
 でも、絶滅させてしまったら、その薬は生まれる可能性すらなくなってしまう。
 オガサワラカワラヒワが絶滅することは、そもそも知っている人も少ないし、
 実際には島民の生活にはほぼ何の影響もないと思います。
 でも、実はそれが未来の可能性を奪っているという事実を知ってほしい。
 あなたは子ども達の未来の可能性を奪う世代になってもいい覚悟はありますか?」と。

この長嶺先生の言葉はとても大きかったです。
なんていう大きな視野なのだろうと思います。

この問題は、
「誰かがきっとやってくれている」
という人任せが蔓延する現代の、島のリアルな現状な気がしています。

このオガヒワの絶滅に関して、今ひとつ考えるきっかけとなりました。
今の世代への責任、
そして未来への可能性の模索、
これをこのオガサワラカワラヒワの保全をきっかけに
見つめ直していこうと思いました。

そして、今考え、動くことに意味があると思うのです。
他人の評価は気にする必要はありません。

自分には何ができるか?
僕は動画やこうしたブログでの発信、
農地でのエサや水場となる場所づくりなどを作っていこうと思っています。

それぞれが自分のベストを尽くしましょう!



クジラ三昧!! 母島のPTAホエールウォッチング☆

2019年02月17日 | 小笠原 野生動物
■大きな息。
巨体が宙に舞う。
大きなヒレが目の前に現れる。
どっぱ~んという激しい音と波しぶき。

「うぉぉぉぉぉ!!!」
「いぇー―――い!!」
「凄すぎる…!!」

これ、母島のPTA活動の一コマなのです(笑)。
そう、これで今年で3年目を迎えるPTAホエールウォッチング。(去年の記事はこちら

1年で一番ザトウクジラが見れるこの季節。
さすがとしか言いようがないほど、彼らの大きな存在は圧倒的でした。

こんなPTA活動は他ではなかなかないと思います(笑)。
父島や座間味ではやっているかもですね☆


■ザトウクジラは夏場はアリューシャン列島やアラスカなど北極海で過ごしています。
冬になると繁殖のために小笠原や沖縄、ハワイなどに南下して来ます。
今年は八丈島などでも多く見られているみたいですね☆

栄養豊富な北の海。
プランクトンだらけでスープの様に濃厚な透明度のない世界の海です。

ザトウクジラ達はそこで沢山の栄養を蓄えます。
水中で複数頭で泡の壁を作り、小魚の群れを追い込み、一気に数頭のクジラが採餌を行うバブルネットフィーディングはあまりに有名です♡

しかし、繁殖エリアでもある小笠原はザトウクジラにとっては餌が豊富にあるとは言えず、
ほとんど何も食べてないのでは?と言われています。

暖かい小笠原の海は栄養がそのまま深海に沈んでしまう、透明で餌の乏しい海域。

冬のお風呂をイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。
お湯を張ったまま放置しておくと、上は温かく、底は冷たくなりますよね。

寒い北極海の場合は気温よりも水温の方が高く、温かい深い海水が表層に移動し、そこで栄養やプランクトンの循環が生まれます。
温かい小笠原の場合は気温が水温よりも高いので、沈む一方なので深海は豊ですが、表層はクリアな状態になるようです。

つまり、北の海に比べ、外敵となるサメもシャチも少ないこの海域は比較的安全で出産できるの海域だと思います。

究極はクジラになってみないと分からないのですが(笑)、
僕は安全と暖かい南の島のトロピカルバカンスの為に小笠原に来ていると信じています(*^_^*)。

今回は今年生まれであろう、可愛いイルカサイズの赤ちゃんクジラも見る事が出来ました♪

ウォッチング船に好奇心旺盛に顔を出したり、跳ねたりしています。
きっとその後母クジラに、
「こら!船が近くにいる時はそんなに近づいちゃダメでしょ!」
と怒られているのでは?(笑)と想像したりしています☆


■さてさて、見どころいっぱいにアクションしてくれるザトウクジラ。
まったく写真が撮れていないジャンプ(ブリーチ)はともかく(笑)、
今回も沢山のアクションを見せてくれました♪

これは胸ビレ叩き(ペックスラップ)。
まるでバイバイしているにも、こっちおいでと手招きしているようにも見えます。

オス同士でメスを争うメイティングポット(別名:狂った交尾集団w)の時にも見られ、
力の誇示、コミュニケーションの為に行っていると言われています。
子どもクジラがただ遊びでやっていそうな時もあります♡

ザトウクジラはその体の3分の1にも及ぶ長い胸ビレが特徴です。

哺乳類のせいか、ちゃんと骨は指五本分あるそうです。

大きなヒレで大きな音を立てて魅せるその様は本当に圧巻です!


■ザトウクジラは深く潜るときに大きな大きな尾びれを高く水面から出して潜ります。
その際に尾びれの下側に白い模様が見えます。
この模様は指紋の様に1頭1頭違っており、個体識別のIDとして記録されます。

この子の写真も父島にある小笠原ホエールウォッチング協会に送りたいと思います。

小笠原の個体が、別シーズンに沖縄の座間味やハワイで見つかることもあるようです。

重さにすると30tにもなるというザトウクジラ。
その推進力を支える大きな尾びれ、そしてその付け根の筋肉は超マッチョです!!

ちなみに尾びれは胸ビレみたく平たい部分まで骨はありません。
しかし、見事に大きく、固く進化しています。

地上を歩いていた名残りは、わずかに骨盤の跡の骨として残っていますが、
足の骨は退化しています(胎児のときは足の骨があるらしい!!)。

そんな大きな尾びれを見るといつも、言葉にならない感動を覚えます。


■また、水中ではザトウクジラが奏でるソングというものが聞く事が出来ます。
これは繁殖期のオスのみに見られる行動で、主に求愛に使われていると言われています。

家族単位や地域単位でみられる方言のようなものがある事が分かったり、
去年のソングに続いて、今年のソングがあるなんてことも分かって来ています。

僕もこの時期に水中に入り、ザトウクジラのソングを聴くことはあるのですが、
なんだかとても切ない歌声に聞こえます。

僕個人的にはフラれたオスが嘆いているのでは(笑)?と勝手に想像しています☆

ちなみにクジラが大好きなうちの奥さんは、
このソングをゆっくり聴きたいが為に15年以上のブランクを経てダイビングを再開しました(笑)。


父島の方のYoutubeで素敵な鳴き声の映像がありましたので紹介しますね☆


■しかし、もっと驚くことがあります。
それはこの恵まれた環境に暮らす子供たちです(笑)。

こうやって当たり前に毎年やってくるザトウクジラを、
こうやって当たり前に見れているという事。

冒頭の歓喜の声はもちろんですが、
この日常の自然の素晴らしさこそ小笠原で暮らす醍醐味です。

きっと子供たちは成長して島を出てから、
この日常の自然の凄さに今以上に気付くことでしょう♪

だって良く夕陽を見に行くのですが、
子供たちは夕陽なんかそっちのけで遊んでばっかりいます(笑)。

夕陽で感動しているのは大人たちばかり(*^_^*)。

これがあまりに日常過ぎるんだよなぁ~。
贅沢な話です(笑)。
本当に有難いことです。

この春、母島を離れる長女にとってはどう感じれているのでしょうか?
貴重な財産になっていると思います。

だって、どこにいても、この世界でこんな大きな存在が息吹いていることを体感して知っているのだから。

今回の船には去年の春に赴任した先生達も一緒でした♪
この体験、ずっと忘れないでいてほしいです。

いずれ島から離れて内地の満員電車に揺られている時も、
世界のどこかでこの偉大な命は跳ねているのですから。


帰りには大きな乳房山とははじま丸を一緒に見るというレアな構図がありました。
それもそのはず、いつも乗っているははじま丸からはこの構図は撮れません(笑)。

きっと漁師さんにとっては見慣れた何でもない光景でしょうね☆

この貴重な機会を与えてくれたPTA校外部のみなさん、
そして船を出してくれた漁師のみなさん、
本当にありがとうございました!!

そして、この素晴らしい光景を魅せてくれた大自然とクジラたちにも感謝とリスペクトです!
ウォッチングもただ近づけるだけでなく、
お邪魔しているという気持ちを忘れずに謙虚にしていきたいものです。

最後にははじま丸と乳房山を望む。

こんな大自然に住まわせてもらえて、本当に有難いです。
ほんと感謝の気持ちでいっぱいになる素敵な一日でした(*^_^*)


コビレゴンドウの全身骨格 組立大作戦!!

2018年12月07日 | 小笠原 野生動物
■先日、実はずっと楽しみにしていたイベントがありました。
それが、コビレゴンドウクジラの骨格を組み立てるイベントです!!

このイベントには興味のある島民も多く、子供達も多く参加しとても楽しい時間となりました♪

だって組み立ててみたら思わず横になって寝てしまう人が出るくらい(笑)!

この個体は2013年に母島南京浜に座礁し、その後砂浜に埋めて、分解を待ちました。

当時の事は過去のブログ記事にしているので、そちらを参照してみて下さい♪

これはとてもセンセーショナルな出来事でした♪

そしてついに2017年に掘り起こしました。
我々の予想に反して、砂の中に骨だけだと思ったら、
ブルーシートに包んでいたせいか、
と~~~っても香ばしい匂い(笑)と、グッチャグチャの発酵した!?腐敗肉のおまけ付きでした♡

これもとっても楽しい作業でして(笑)、一応当時のブログ記事に書いてあります。

そしてついに今回、その骨格のすべてが日の目を見る事となりました!!やった~~~!!!


■まずは簡単にコビレゴンドウについてスライドでレクチャーを受けます。

ふむふむ。
オスの体長は5.2m、メスは3.8mまでに達するそうです。
出生体長は1.4m。
寿命は60年くらい。
性成熟は♂14~19歳、♀7~12歳。
妊娠期間は15か月。
マッコウクジラに劣らないほどの高度な母系社会を形成するそうです。

潜りも500m以上の深海に潜るんですね!すごい!!

今回の個体は歯の摩耗も激しく、何本も抜けていたので、
高齢のメスではないかとのことです(歯は生えたらそのままで、生え変わらないらしい)。


みんなで頭骨を眺めてその作りの不思議さに驚きます。


ハクジラは呼吸する鼻孔が中心から僅かに左にずれているのが特徴です。
そう、左右非対称なのです!(そう言えば、人間の心臓も左側…身体の左側に何か謎が!?)
これは今年カナダでシャチやマッコウの頭骨を見てもそうでした。
鼻孔は「テレスコーピング現象」というクジラ独自の進化の特徴を獲得したため頭頂部に移動して、
海面に出て呼吸をする事が安易になっています。

あと頭部の大きな丸い飛び出た部分は「メロン」という脂肪の組織で、
ハクジラはエコロケーションという超音波を使い、それを受け止める器官となっているそうです。
ちなみにヒゲクジラにはこの器官はありません!


手に持っているのは下あごの骨です。
中は空洞になっていて、脂肪が詰まっており、
この空洞で音を増幅し、骨を伝って、耳骨に送ると言われているそうです。
すごいですね~~!


これが耳骨です。
左右に2つずつあり、合わせるとぴったりと合います!

現生のクジラ類では耳骨が頭骨から遊離しているそうです。
ハクジラの耳骨は一部の種を除いて軟組織のみで頭骨に接していて、完全に骨による接続は断たれているとのこと。


その位置がここら辺だそうです。



そして、僕が掘り起こしの時に一番気になった部位、「舌骨」です!
このブーメランみたいな不思議な骨は顎の奥に付いています。
これはハクジラが餌となるイカなどを“強い吸い込みで飲み込むための筋肉”を付ける為に発達した骨だそうです。
面白い!!


■そして、首から下の部分になっていきます。

これは頸椎の部分で、7つの骨が癒着しています。
哺乳類尾であれば首の長いキリンでも頸椎の骨は7つだとか!


そして講師のOさんに「まずはみんなで考えて脊髄の骨を並べてみましょう~!」
ということで、みんなでああでもない、こうでもないと言いながら並べていきます。


そして修正してもらいながら、あ~こうだったのかと感心する参加者(笑)。

胸の部分の胸椎、腰の部分の腰椎、尾椎とそれぞれ並べていきます。
面白いようにテトラポットみたいな形の骨もあります。

このナイキのマークみたい(笑)なのは、骨盤の名残となる「骨盤痕跡」です。
哺乳類が陸上から海に戻る進化を裏付ける重要な部分ですね!
胎児期は実際に足もあるらしく、とても興味深い部分の骨です。


尾椎の方になると、強く縦に振る為に発達したV字骨というのが下に並びます。
これの順番がなかなか難しい!!


■そして胸ビレの部分の骨になります。

扇形の肩甲骨からその先、
ちゃんと1枚の胸ビレに5本の指の骨があるのです!!
しかし、この順番はかなり難易度が高いらしく、講師のOさんも難しいと言っていました(*^_^*)


この長いやつは肋骨です。

500mを超える深い深海に潜る為に中央に関節があり、
肺が水圧で潰れても、骨で守るシステムになっているようです。

何から何まで骨は語ってくれますね♪

■ようやくこれで完成です!!

ブラボー!!

体長3.6mのコビレゴンドウ♀の全身骨格標本の出来上がり~~!!

子どもが並んで寝るとちょうど3人分(笑)。

みんな頭も手も使ってのイベントですごく楽しめました♪

OWA(小笠原ホエールウォッチング協会)のOさんのレクチャーの元、
ああでもない、こうでもないとみんなで悩みながら骨を並べる作業はすんごく楽しかったです♪

僕個人的には、舌骨(海中で獲物を吸い込む筋肉の為の骨)、
骨盤の名残の骨が一番興味がある部分でした!!

本当にいい経験をさせて頂きました。
どうもありがとうございました!!

■埋めるのも、掘り出すのも面白かった思い出のコビレゴンドウ、ひとまずこれで完結♡

その後はどう展示するかは決まっていません。

個人的にそんなに巨大なインパクトのサイズのクジラではないので、
こうした組み立てるイベントや勉強の為の標本として保管して、使って行くのはどうかな~と思っています♪


こんな景色の中、海ではコビレゴンドウなどの鯨類が群れを成して泳いでいるのですね。
僕がこうしてブログ記事を書いている間にも、
内地で都会の雑踏で人が歩んでいるその時も。

なんだかその感覚が不思議でなりません。

僕はまだ生きたコビレゴンドウを見たことがありません。
ザトウやマッコウほど有名な種類ではないけど、
そのマッチョなスタイルと、可愛いまあるいおでこは、いつか海上で会ってみたい鯨類のひとつです♪


PTAのホエールウォッチング~ザトウクジラ 超接近!! 

2018年02月10日 | 小笠原 野生動物
■本日は母島小中学校PTAによるホエールウォッチングでした!!

さすが1年で一番クジラが見れる2月!!

沖に行って5分、すでに周りはクジラだらけでした♪


船の下にもクジラ!!

みんなの目の前にクジラ!!

これにはびっくりです♪

クジラが深く潜るとき、
尾びれを高くして潜るのですが、
その時の尾びれの裏の模様は個体ごとに皆違う模様をしているので、
これで個体識別をします。


親子で模様が遺伝するとかもあるのかな~?

親子に近づく雄が居たり、
ゆっくり泳ぐ親子が居たり、
いっぱい跳ねる子クジラもいたり、
色んなドラマがあって見飽きません♪

写真では撮れてませんが(笑)、
クジラのジャンプ(ブリーチ)も沢山見れました!


ものの1時間でお腹いっぱいになるほどのクジラ三昧でした!!
PTA校外部の皆さん、どうもありがとうございました!


こうした風景を間近に見れるこの日常が本当にありがたいです(*^_^*)
子供たちはこれが当たり前に育っていますが、
大きく育って島を離れた時に、
どんな景色に見えるのでしょうか?

■そして、今日のゆり丸で次女とふたり、父島に行きます。
文化サークルフェスティバルという、
父島・母島の文化交流会に親子で南洋踊りをしに行く為です♪

今日のゆり丸の後は、
帰りはドック明けのははじま丸で母島に帰って来ます☆

硫黄三島クルーズに初参加!!

2017年09月12日 | 小笠原 野生動物
■去年、硫黄島訪島事業2016に初参加して、
今年は硫黄三島クルーズに初めて行ってきました!

硫黄三島とは、
父島、母島などがある「小笠原群島」から
南に約300km先にある「火山列島」にある三つの島、
北硫黄島、硫黄島、南硫黄島の事を指します。

ちなみに小笠原諸島というのはその小笠原群島に聟島列島や火山列島、
さらには南鳥島や沖ノ鳥島を含むとても広い島群の総称です☆

その硫黄島を中心とした火山列島の海域は
日本本土ではなかなか見れない海鳥の宝庫であり、
毎年のこのクルーズに数多くのバードウオッチャーが参加しに来ることで有名です。


今年は硫黄島の係留ブイが新おがさわら丸の重さを支えきれないということで、
6月に実施予定だった硫黄島訪島事業が中止となり、
それに参加予定だった島の中学2年生もこの硫黄三島クルーズに参加することになりました。
(うちの中二の長女もそちらで参加)。


■今回の三島クルーズは天候にも海況にも恵まれ、最高の船旅でした♪
入港日の夜19時に父島を出港し、
翌朝には一番南の南硫黄島に到着します。

素晴らしい朝日がお出迎えしてくれました。


このクルーズはなんと朝4:30に船内の電気が一斉に点きます(笑)。
目的がバードウォッチングだからです。
出発の夜には夜22時過ぎまで講演会があり、
パネル展示や解説員が各位置に配置されています。


■南硫黄島です。
ここは島の誕生以来、人の定住の記録がなく、
原生の自然が残される世界でも貴重な火山島です。

日本で初めて昭和50年に原生自然環境保全地域に指定されて、
立ち入りが厳しく制限されています。
そして島全体が天然記念物に指定されています。

標高は916mで東京の島の中では最高峰を誇ります。
島の直径も約2000mなので、なんと島の勾配は45°ということになります!
父島の二見湾に丁度収まるサイズの南硫黄はまさに絶海の孤島☆

今年と10年前を含め、過去4回山頂までの調査がされています。
調査隊の大変なエピソードを聞いて心していたのですが、
いざ目前にそびえ立つ、人を寄せ付けない雰囲気の島を見ていると、
超背ですらあの超急こう配な地形を上るというのが信じられない思いでした。

このあまりにも壮大な南硫黄島には
外来種のネズミすら入っておらず、海鳥の貴重な繁殖地として存在しています。

クロウミツバメの現在見つかっている世界で唯一の繁殖地です。

この周辺には
アカオネッタイチョウ、
シロアジサシ、
クロアジサシ、
ヒメクロアジサシ、

アナドリなどを見ることができました。

7月の台風5号、8月末の台風15号で猛烈に叩かれた痕跡が各所に見られます。
解説員の方も言っていましたが、
南島や母島の南崎で営巣中の海鳥の3分の1が台風で命を落としているのを考えると、
こうしてカツオドリの雛も含め、
厳しい自然の中を乗り切り、
元気な姿を見せてくれていることが嬉しいかったです☆


■戦争の爪痕が今なお生々しく残る硫黄島。

僕自身、去年初めて訪れた訪島事業で壮絶な戦争の爪痕を目の当たりにしました。


冒頭の事情で今年の訪島事業が中止となったので、
今年はこの三島クルーズで洋上慰霊祭が執り行われました。


これまで事前学習を重ねてきた島の中学生のスピーチがとても素晴らしかったです。
うちの長女も戦争で亡くなった方におもいを馳せて語っていました。

その後、硫黄島を1周し献花を全員で献花を行いました。

内地の友人もこの為に内地から花を持参していました。
乾きで苦しんだ兵士をおもって水を捧げる人、
ビールを捧げる方もいました。

それぞれの戦場への追悼を終え、
船は一路北硫黄島へ。

洋上慰霊祭に関しては別に記事を書いています。




■戦前までは人が住み、その集落跡があり、今は無人と化した北硫黄島。
大正時代は220人が住み、昭和19年の強制疎開時は島民90人全員が本土に引き揚げたそうです。
母島には北硫黄島出身の方が数年前までいて、色んな話を聞かせてくれていました。

北硫黄島の標高は792m。
夏の澄んだ空気の晴れた日は乳房山山頂から北硫黄島の山頂がわずかに見えるそうです。

こんな地形の島に2つも村(西村と石野村)があったと言われても、にわかに信じられないほど、
あまりに厳しい地形でした。


島の上部には「3万坪」と言われる広大な鞍部(平らなエリア)があり、
そこで牛を放牧していたというから驚きです!(どうやって上まで牛を上げたのかは謎です!)

平成3年の調査ではマリアナ系先住民のカヌーを掘る石器など遺跡が見付かっており、
江戸時代にナサニエル・セーボレーが小笠原に定住する遥か昔の石器時代に小笠原諸島に人が住んでいたことが明らかになりました!!

人が定住した記録のない南硫黄島の原生の大自然もとても魅力的ですが、
過去に人が住んでいた北硫黄も
また色んな時代のドラマに思いを馳せることができて、とても魅力的です♪

石器時代の人の暮らし、
戦前の人の暮らし、
そして無人島となった今の北硫黄…
様々なおもいを交錯しながら飛び交う海鳥と美しい情景を眺めます。


これはアカアシカツオドリ。
小笠原でもそんなに目にしない種類の海鳥です。
北硫黄島では森の樹上に営巣し、多くの姿を魅せてくれました。

先日の南硫黄の10年ぶりの調査で国内唯一のアカアシカツオドリの集団営巣地であることが判明したそうです!
きっと北硫黄も調査が進めば、南硫黄と同じような貴重なコロニーとなるのでは!?


これはそのアカアシカツオドリの幼鳥です☆


もちろんおなじみの普通のカツオドリが沢山いたほか、
シロハラミズナギドリ


オナガミズナギドリ、
シラオネッタイチョウ、
シロアジサシ、
クロアジサシ、
ヒメクロアジサシ
なども見れました!


■そしてOWA(小笠原ホエールウォッチング協会)の職員さん曰く、
過去7回参加した硫黄三島クルーズで一番鯨類がここまで見れなかったのは稀だとか(笑)。

そんな中、妻が得意のクジラ目になって見事、鯨類を発見しました!
大声で叫ばれて、慌てて撮った僕の写真がこれです(笑)↓


これだけではなんだかさっぱりわかりません!
その後、OWAの職員さんが見てコブハクジラと判定してくれました♪
約6頭ほどいます(もう少しいるかも)。

まったく知らない種類のクジラでした。
せっかくの機会なので調べてみると、
ハクジラ亜目アカボウクジラ科オウギハクジラ属に属するクジラであることが分かりました。

潜りで有名なマッコウクジラよりもっと深く潜るアカボウクジラの仲間で、
あまりに深く潜るせいか深海のダルマザメの食痕が体中に付いています。

そして、オウギハクジラの仲間の特徴でもある不思議な顎の形。
ネットで調べてみると分かりますが、
ホントに不思議な下あごから左右に突き出た歯があります(成熟オスのみ)。

いろいろ調べてみたら、ザトウやマッコウに比べて極端に情報が少なくてビックリしました!
本当に不思議な顎ですね~
以前、母島の南京浜にストランディングしたコビレゴンドウにしろ、
こうして少しずつ新しい鯨類の種類と親しみができてきて嬉しいです♡

コブハクジラはこれから気になる存在になりました♪

硫黄三島クルーズは
そんな不思議な生き物に逢ったりと
圧倒的な野生動物の雰囲気を
存分に味わうことのできる贅沢なクルーズでした!

帰りはなかなか通らない母島の東側を通り、
美しい夕日を眺めながら夜18時に父島に戻りました☆



夜遅くから早朝も含め、
出ずっぱりで活躍したスタッフの皆様、
戦没者慰霊祭の関係の皆様、
船員の皆様、
参加した皆様、お疲れ様でした!

講演会に早朝から連続で島周りまくりで、
ちょっとハードなスケジュールの工程でしたが、
とても楽しい船旅となりました!

どうもありがとうございました♪

川登りアオウミガメ救助☆バク転して海に帰るの巻!

2017年06月20日 | 小笠原 野生動物
■つい少し前のことです。
良く振った恵みの雨の梅雨を終えて、
島の景色が一気に夏色に変わりました。

海も空も青く輝いています♪

そんな梅雨明けした昼下がり、
何やら島の川の周囲に人が集まっています。

何事だろうと覗いてみたら、なんとカメが集落内を流れる大谷川にいるぢゃありませんか!!!
これは珍しい珍事件です♪

きっと産卵を終えて海に帰ろうとして、
そのまま増水した川を上って来てしまったのでしょう。

海に帰そうとカメを押すのですが、
100㎏を超えるアオウミガメは、
バカ力でまったく言うことを聞いてくれません(当たり前かw)。


■うずくまったカメを見かねて、
漁師さんたちと整備工場がコラボして救出劇が繰り広げられました!


漁師さん数人がかりでカメを捕獲し、
腕にロープを引っ掛けます。
この段階でもカメは大暴れしており、
凄く大変そうでした!!


その後はユニックでゆっくりと慎重に吊り上げられていきます。
アオウミガメの腕はとても強くて、
自分の体重を十分に支えることができるそうです。


島はウミガメを食べる伝統文化があります。
が、このカメは繁殖期のメスです。
漁師さんたちが当たり前に海に帰す前提で対応しているのが、とても素敵でした。


よっこらしょとユニックの荷台に載せて、
いざ海へ!!


さすがウミガメを普段から扱っている漁師さんたちです。
捕獲も運搬もとっても手際がいいです!


どう海に帰すかと思ったら、
大岸壁でフォークリフトに乗り換えしていました(笑)。


■最後はフォークリフトの上からバク天で海に戻っていきました!
アオウミガメのムーンサルトプレスは初めて見ました(笑)。

めでたしめでたし。

関わった漁師さんたち、整備工場の皆さん、どうもありがとうございました♪

ちなみに海に戻ったカメは、すぐに水面に来ませんでした。
湾内には他にも複数のカメがおり、
どの個体化は分からないので、
そのまま行方知れずです。

いつか、竜宮城に連れに来るかも知れませんね♡

僕は住民の通報ですぐに漁師さんなど、あっという間に対応して、
カメを海に帰してしまうこの母島の連携の軽やかさと優しさに、
ほんと素敵だなぁとしみじみ感じる初夏でした♪

あかぽっぽ

2017年05月14日 | 小笠原 野生動物
■畑で作業をしてたらいつまにか天然記念物が横におりました(笑)。


数年前まで、森の奥深くにしかいない”幻のハト”と言われたあかぽっぽ。
小笠原諸島だけに生息する固有亜種のカラスバトです。
正式名称はアカガシラカラスバト。


野猫対策が進んで、絶滅を免れて、こうして普通に見れるようになりました。
明るい陽の下で見ると首元の光沢が何とも美しい♡


「ウ~、ウ~」と鳴きます♪


こちらは母島に雀の様にいっぱいいますが、
なんと世界で母島列島にしか生息していない、ハハジマメグロ。

こちらはなんと特別天然記念物に指定されています。
以前は聟島などにもいたようですが、
現在は絶滅してします。

■夜も満月がとても綺麗になってきて、
散歩が気持ちよくなってきました♪


次女は夜の遊具で楽しそうです☆

まさに夜遊び(笑)!

脇浜に写る美しい月の明かりも、


はるか沖に沈む太陽も、

本当にいつも同じ景色はなく、ハッとするほど美しいです。


■今年は記録的な渇水で、父島のダムも20%台、母島は36%という事態です。
本来であればGWが明けて梅雨入りするはずなのですが、
海はすっかり夏模様…


この景色を素直に喜べない自分がいるのですが、

友人が、
「太陽も雨もつながっている」
そうかー太陽は水分を蒸発させ雲を作り、そして雨に。
とってもスッキリして、今日は存分に太陽を浴び、海で泳ぎ
久々に心から感謝に包まれた。ありがとう。


とブログに書いていて、
僕も同じように気持ちよくなってしまいました♪

海に入るとほんとに気持ちがいい☆

水不足は深刻ですが、
今を楽しむのも忘れてはいけませんね♪



コビレゴンドウクジラ(2013年座礁)の掘り起し大作戦!!

2017年03月25日 | 小笠原 野生動物
■2017年3月23日、母島の集落全域で多くの方が
「なんか、くさやを焼いてるにおいがするな~」と思ったはずです☆
しかし、その匂いの発信源は脇浜に眠っていた、ある生き物だったのです!!

4年前に埋めたコビレゴンドウクジラ!!

そう、2013年4月27日に母島の南京浜でコビレゴンドウが座礁(ストランディング)しました。
その時のブログの記事にも書いています。
骨格標本にするために脇浜に埋めたあのコビレゴンドウをついに掘り起こす日がやってきたのです☆

この一つ下までの写真は2013年の時のものです。

埋めるのに日が暮れるまでかかりました。

去年、確認した時はまだまだ腐敗途中で、断念したとのこと…
今回はどうなるか掘ってみないと分かりません。

今回は前回の教訓も生かし、
重機を投入しての作業となりました。

これがすごい助かりました!
重機ってやっぱりすごい!!


OWA(小笠原ホエールウォッチング協会)母島支部の母島観光協会、クラブノアのスタッフの他、
声掛けで集まった島の有志による掘り起しが始まりました!!


■掘ること1時間、
ちらちら隠れていたブルーシートが全貌を表し、
ついに全体像が見えてきました。
※ブルーシートでくるんだのは、骨格標本として回収するために小さな骨などを紛失しないようにするためです。

おそるおそるめくってみると…

…とここまでさらっと来ていますが、
この段階でかなり香ばしい状況になっていました(笑)。

でも、腐敗したウジ虫がわくような悪臭ではなく、
ほんのりくさやに似た、匂いでした。

やはり4年も経過すると、色々ある意味、熟成して、
発酵してきているのだと思います。

※写真提供 小西さん
僕も妻もちょうど風邪をひいていて鼻が詰まっていたので、
「大好きなくさやみたいだね♪」と言って臭いは気になりませんでした(笑)。

わずかに黒い皮膚が残っている部分もありましたし、
尾びれ付近は立派な筋肉の筋が残っていました。

それ以外はほとんどが肉が溶けてドロドロ状態(笑)。
写真ではミイラっぽく見えますが、
実際はウエットで生々しいです(#^.^#)

頭骨付近の骨は少し骨自体が腐敗して崩れており、
当初は骨格標本は厳しいかもという空気が流れていました。
しかし…


■父島の研究者、
内地の専門家に写真を送り、
電話で話しながら進めていきます。

しかし、僕らと同じくボランティアで参加しているHさんが、
目をキラキラさせて、
「ほら~これが肩甲骨♡きゃあ~背骨~♡♡」

と形が完全に残っている骨を見つけては盛り上がり(笑)、
見事、午後からすべての骨を洗浄し、
骨格標本として収集する方針に決まりました!!


写真の右側に見えるのが頭骨の下あごの部分になります。


本来は潜ってイカなどを採取する種類の歯鯨の仲間です。
立派な顎を持っています。

骨格を見てみると、
なるほどやはり魚類とは全然違います。

内臓と呼吸器系を包む立派なあばら骨の部分。

そして5本指の骨がある胸びれ部分。
この指の骨が歯の次に細かくて探し出すのに苦労しました。

腐った肉の中に潜む数々の骨に触れながら、
海から陸に進化した哺乳類が再び海に戻る、遠い時間の流れとドラマを思い描きます。
きっと考古学ってこういう気持ちになるものなのかなと思い、
少し面白さに気付くことができました♪


■せっかくの機会なので、普段なかなかお目にかかれないコビレゴンドウについて調べてみました。

ゴンドウクジラ属はイルカとして扱われる種が多く属するマイルカ科に分類されるそうですが、
形態的に口がバンドウイルカみたいにあまり長く突出していないので、
イルカとしては扱われず、
クジラとして扱われることが多い様です。
ゴンドウイルカと呼ばれることもあるそうです☆

※ちなみに「イルカ」とは4m以下の小型のハクジラの総称です。

漢字で書くと「巨頭鯨・五島鯨」と書くらしく、
和名の由来「ゴンドウ」は五島が変化したものではないかとのことです。
「ゴンドウ」=「巨頭」という頭の大きいクジラの意味もあるそうです。

コビレゴンドウは英名で「 Short-finned Pilot Whale」と呼ばれています。
直訳するとヒレの短い水先案内人。
う~んロマンチックですね♡

水族館で飼育されることもあるみたいですが、
比較的外洋性で野生の生態は分からないことが多い印象があります。

小笠原の海域では外洋に行けば比較的見かける種類のようです。
普段よく見るハシナガイルカやザトウクジラと違って、
外洋に多い個体だから普通に暮らしている私達には中々お目にかかれれないのですね。
(沖で見ても分からない可能性も多々あります☆)

今回の個体は体長約3.5mと小柄なので、若い個体だと推定できます(大人は雄で約5.5m)。
2000m以上も潜る事がわかっているマッコウクジラに比べると、
どれぐらい潜れるものなのでしょうか?
コビゴンの謎は深まるばかりです☆

Youtubeにはコビレゴンドウの群れが悠々と泳ぐ動画がアップされていました。

なかなか力強い太い筋肉を感じさせる美しいフォルムをしていますね♪

■そうこうしているうちに作業を進めていきます☆

ということで午後からは骨を大きく部分に分けながらネットに入れ、
海で洗浄するという作業に入りました。


※写真提供 小西さん
最初はまだ赤い血も残る腐った肉を海で洗ったら、
サメたちが集まって大変なことになるかもと思いましたが、
脇浜のネムリブカ達、とっとといなくなりました(笑)。
新鮮な死肉を好むのですね☆


※写真提供 小西さん
何度も何度も海と陸を往復します。


海の洗浄で腐った肉が落ちて、
立派なあばら骨が見えてきました。


■今回の掘り出し作業で一番気になった骨が幾つかあります。
まずはこの骨です。

この地味な形の骨は、退化した骨盤と後肢の骨格です。
海から陸に上がった哺乳類が、再び海に戻り、骨盤と後肢の骨格は著しく縮小しました。
今は皮膚の中に埋もれたまま肢として役に立つことはないその骨を、この手で確認することがでいました。
腐った肉の塊の中からクラブノアのスタッフの方が見つけてくれ、歓声が上がりました!!

あと僕がひそかに気になっているのが顎の下にある骨です。

このブーメランみたいな骨。
これは舌骨と言って、海中でイカなどの獲物を吸い込むための強力な筋肉の為の骨だそうです。
コビレゴンドウをはじめ、ハクジラの多くの種類の歯は捕獲、ホールドする為程度のもので、
実際は吸引して捕食する方法がメインと考えられているそうです。

今回発掘にあたって調べて特に気になった部位でした♡

そして極めつけはやはり大きな頭骨です。

この写真は裏返して、下から見ている向きになります。

上から見ると、

鼻の孔のような穴が口の先の方からこ頭の上の噴気孔(呼吸孔、鼻孔)に伸びています。
そしてメロンと言われる、歯鯨に特徴的な頭にある大きく膨らんだ油が詰まっている部分が平らに凹んでいます。
ここの器官を使って、超音波(エコロケーション)で地形を感じたり、仲間と会話したりしていると言われています。


あとこれは耳骨。

イルカの耳骨はその形から「布袋石」と呼ばれ、古くから珍重されてきました。
これもそれによく似ている気がします。


あとは5本だけ回収できた歯です。

4年前、ストランディングしている時から歯はかなり抜けていて、
少なかったので、5本だけでも見つかって良かったです♪

ハクジラは歯が生え変わることはないそうなので、これは相当年を取ったメスであることが分かります。

最後にまだ腐りきっていいない肉の部分と皮の部分に細かな骨が残っている可能性も否定できないし、
今回完全に洗えたわけではないので、
ネットに小分けしたまま、また砂の中でしばらく待つことになりました。


■掘り始めてから、埋め戻すまでになんと6時間!!
臭いは凄まじかったですが(笑)、
今回は人は生まれつき、どの分野にも向き不向きというのがあるのだなぁということがわかりました♪
(植物好き、動物好き、鯨類好き、骨好き、探索好きなどなど)
鯨類好きの僕はとても楽しかったです!
そして、妻は僕より楽しそうでした(笑)!!

お蔭様で、こうして
本当に貴重な体験をすることができました♪

普段なかなか島でも見ることのできない、
コビレゴンドウという小さなハクジラに興味を持つことができました!

どうもありがとうございました☆

次掘り出すときには、かなり楽になっているハズです(*^_^*)
みなさん本当にお疲れ様でした!!

追記
→この続きは2018年12月の全身骨格組み立て大作戦の記事をどうぞ!

おまけにYoutubeにあった大量の群れのコビレゴンドウ(ヒレナガゴンドウではないと思います)と泳ぐ動画です☆

いつか沖で逢えるといいな~



ザトウクジラがやってきた!ヤア!ヤア!ヤア!

2016年12月10日 | 小笠原 野生動物
■12/8、8:40頃鮫が先展望台より
2頭の親子らしきザトウクジラを確認しました。

まずはブロウ(潮吹き)!!

11月末に姪島沖、
12月2日の南崎に続き、
ようやく鮫が先からも陸から
確認することができました♪

場所はホカケ岩付近です。


見事な潜りも見せてくれました♪

いよいよ湾内(母島属島~本島のエリア)にもクジラ登場です☆

これでようやく母島にも冬が来た感じになりました♪
クジラさんたち、おっかえりなさ~い!!


■そしてこの時期、オナガミズナギドリの巣立ちが始まってから
毎日毎日保護しては翌朝放鳥を繰り返しています。

小笠原を代表する海鳥のオナガミズナギドリ。

11月中旬から巣立ちを開始し、
おもに2月中旬まで続きます。

巣立ちの鳥はみんな個性があり、産毛が面白いように残った個体もいます♡

この個体は若干、モヒカンのように産毛が残っています(*^_^*)

夜の不時着鳥は保護して翌朝放鳥すればネコにも交通事故も防ぐことができます。
うずくまっている鳥を見かけた場合は、ぜひご連絡ください!
(連絡先は母島内の各掲示板に掲示してあります☆)

保護した海鳥は、大きな怪我などなければ、
翌朝に浜で放鳥し、沖に帰っていってもらいます。



■秋~冬と言えば、渡り鳥の季節です。
この時期は母島にも様々な渡り鳥がやってくるので、
とても楽しきな季節でもあります。

沖港にはカモメが来ています。
たぶん、セグロカモメの冬羽と思いますが、
カモメの同定はほんと難しい!!(←できる人は変人の域です!w)

他にウミネコらしき個体もいるそうです。
鳥たちはこの陸地の少ない大海原を渡ってくるわけです。

いつもいつもその神秘的な力にただただ圧倒させられます。


■先日は夕焼けと三日月がほんとに綺麗な日がありました。

少し前まで家の中で
険悪な空気になっていた妻と次女が一気にご機嫌に早変わり(笑)。

やっぱ自然の力って偉大だな~と感じました♪

さあ島の冬シーズンも存分に楽しむぞ~!!

母島 2016年イタチザメ騒動

2016年10月11日 | 小笠原 野生動物
■昨日、母島沖港で5匹の鮫が水揚げされました。
そのうちの4匹は大型のイタチザメ。

これは今年の夏休み頃から母島の沖港付近で目撃が相次ぎ、
9月末には学校からプリントが配布されて、
鮫注意の村内放送がかかる事態を受けて捕獲する動きになったからでした。

小笠原に住んで15年。
初めての事です。
先人たちに聞くと、ここまでのケースは母島では前例がないとの事。

そして村が予算を用意して、
住民の安全の為にイタチザメの駆除が始まったというわけです。


■サメの駆除に予定されたのは2日間。
内地に注文したサメ向けの漁具が届いてからの実施になったようです。

1日目はかかるのは小さなサメばかりだったそうですが、
2日目はどんどん大きなイタチザメが水揚げされて冷凍庫に運ばれていきました。

沖港湾の入り口付近の目撃があったものの、
湾内ではまだ目撃はなかったようですが、
サメ注意の放送が村内にかかってからは誰も海に入れなくなりました。

その為もあってか、漁港には沢山の人が集まっていました。
命懸けの捕獲作業をした漁師さんには頭が下がります!


■まず初めに挙がったのは
朝イチで175kg(2mくらい?)のイタチザメでした。
前日の御嶽神社祭でサメ漁に向かう凄腕漁師が、
声高らかにB'zを歌い上げ、宣言した成果でしょうか(笑)!?


その次に昼前に挙がったのがこの日1番のサイズの巨大なイタチザメでした。
大きすぎて漁協のクレーンでは立てに吊り上げれない状態でした!!


口には鋭く尖った歯が沢山並んでいます。


漁師さんがさすがのロープさばきで横に吊り上げ、計測すると540kg(全長5mくらい?)とのことでした!


パレットから大きくはみ出して、置かれています。
とても痛々しくて、うちの子供たちは「怖いけど、可哀そう…」と漏らしていました。

同時に小さなメジロザメ(通称:ヒラガシラ)も混獲され、水揚げされました。

その後も水揚げは続きます。
沖に出てすぐ近くの青ブイ下に漁具に絡まって死んでいる状態の3匹目のイタチザメが水揚げされました。
そんな状態でタンクを背負って潜るダイバーさんもホント命がけの作業だったと思います。
3匹目は340kg位?(3m超)だったとか。

午後にはさらに420kgの4匹目のイタチザメが水揚げされました。

こちらはまだ生きていて、
陸上でこの巨体を大きく動かすことはできませんが、
大きく息をしたり、わずかにヒレを動かしたりしていました。

吊り上げられた口からはウミガメの甲羅の破片とくちばしの欠片が落ちてきました。
普通に硬いカメですら捕食の対象なのですね。


冷凍庫に並んだ大きなサメたち。
それらを興味津々で観察する子供達。

今回吊り上げられたサメたちは、記録・保存をしたら、
顎骨などは骨格標本にされるそうです。


■今回の件で僕も色々イタチザメを調べてみました。
島では正直、サメの事故というのは聞いたことがありません。
※ダイバーがネムリブカを強制的に掴んで噛まれたという、どう見ても人が悪いケースは数件あります。

そんな中、イタチザメはホオジロザメと並ぶ、危険な大型のサメの一種で、
胴体の横のトラの縞模様から英名・タイガーシャークとも呼ばれています。

地中海など一部の地域を除き、世界中の温帯・熱帯海域に分布しているそうです。

イタチザメは沿岸域の視界が悪い濁ったような場所を好むとされていて、
川の河口や港、ラグーン、サンゴ礁、島の周囲もその生活場所に含まれるとのこと。
この点が人との軋轢を生じやすい部分なのでしょう。

沿岸性が強いそうですが、海洋のさまざまな環境に適応していて、
沖合、外洋まで出ることもあるそうです。
海面付近でよく見られ、波打ち際などの非常に浅い場所にも現れることもあるそうです。

捕食性・腐食性の両方をもつイタチザメは食べるものを選り好みしない「機会選択的捕食者」で、
おそらくサメの中で最もその傾向が強い種なのだそうです。

様々な海洋生物を捕食するだけでなく、
死骸や産業廃棄物など普通食べられないものまで何でも飲み込む性質から、
「ひれのついたごみ箱」と言われているそうです。

実際、解剖された胃袋の中からは
ウミガメの他に、タイヤやポリタンク、金属片、空き缶などが沢山出てくるそうです。

最大サイズは全長750 cm、体重 807.4 kgとされていて、
非常に大型になる種類の様です。

沖縄は海外では実際に死亡事故もあり、
特に恐れられているサメのひとつであるようです。


■今回、サメの水揚げを見ながら、
僕も含め、多くの人が「すげぇ!」「でけぇ!」「怖えぇ!」の声を挙げましたが、
娘たちはしきりに「可哀そうに…」と呟いていました。

確かに、今回のイタチザメ達は何も悪いことはしていません。
ただ例年より頻繁に目撃されただけです。
島で育った人も昔からイタチザメは周辺海域に当たり前にいたそうです。

しかし今年は、
8月頃に青ブイ付近で釣りをしていた島民のカヤック下をこすったり、
9月には沖のホカケ岩付近で釣りをしていた島民がクジラと間違えてしまうほどの大型(4m超え)だったり、
沖港を出てすぐの海域で何回か目撃があったりしました。

しかし、ここ母島の海域はイタチザメの生息域の真っ只中にあるわけで、
私たちがその中にお邪魔している気持ちを忘れてはいけないなと思いました。

正直、今回捕獲された海域で潜ったり、
魚を獲ったりしている身としても、
いつも子供たちを海に入れてる島民としても
怖くて海に入れなくなったのも事実であり、
命を懸けて捕獲に乗り出してくれた関係の人々、
島の漁師の皆さんには感謝と尊敬の言葉しかありません。
本当にありがとうございました。


その日の夕陽を見ながら考えます。

個人的にはこの捕獲で何も捕まらなく、
「もうイタチザメは近くにいない」
という流れを一番望んでいたのかも知れません。

しかし、実際は4頭も捕れています。
しかも世界中で人との事故が報告されている種類のサメです。

今回は仕方ない状況だったと思います。
可哀そうですが、人命を守るのは致し方なかったなと思わざるを得ません。

できることなら、人の安全のために捕獲したのなら、
せめて食用に利用してほしかったです。
※イタチザメは食用として美味しいほうらしい。

去年、北海道の知床でヒグマと人の距離感の時も同様の気持ちを感じました。

ヒトと野生動物の在り方。
お互いの距離感。
そして、人の野生という自然への畏敬の念を忘れない気持ち。

自分の目でその巨体を鋭い牙を見たら、
怖い気持ちはもちろん具体化しました。
しかし、海に入らない気持ちにはなりませんでした。

イタチザメの命も育む、
美しい小笠原の海。

沖縄のように黒潮のような大きな海流があるわけでもなく、
浅い水域はとても栄養が少なく、
驚くほど透明度が高いのもそれが理由になります。

今回のイタチザメの件ではまた大きな事を学ばせてもらいました。
大事な命を奪ってしまった意味を
私たちは考え、学ばなければいけないと思います。

小笠原では過去にサメの事故がないほど、
やはり安全な方なのだと思います。
それはウミガメやザトウクジラ、アホウドリが繁殖地に選ぶのも安全が理由の一つと言われています。

ですが、完璧に安全は海というのは世界のどこを探してもありません。
そして小笠原で昼間普通に泳いでる範囲ではサメに襲われる確率はとても低く、
オニダルマオコゼの毒ヒレやガンガゼ、クラゲに刺される危険の方が遥かに高いです。

大自然の中で人の存在というものはとても小さなものと感じます。
しかし、人の影響で大自然が壊されていってるのもまた事実です。

この海に昔からイタチザメなどが潜んでいることも事実なので、
やはりいつも自然にお邪魔する謙虚な気持ちを大切に、
美しい島の海を堪能していきたいと思います。




母島でカワセミ発見!!

2015年12月03日 | 小笠原 野生動物
■早起きは三文の徳♡
いるのは聞いていましたが、
ようやく母島で美しいカワセミの撮影に成功しました♪
(と言っても暗い朝方でコンデジではこんな程度が限界です)

ほんと色もデザインも完成されていますっ!
多くの写真家が惚れ込むのも分かります。

はるか遠く本土から渡ってきたこの綺麗な鳥は
ちゃっちゃと川で魚を獲って朝ごはんにしておりました☆

水中にダイビング!というよりは嘴だけでササッと捕獲する感じでした。

母島は人と野生動物の距離がとても近いように感じます。
コンデジでここまで撮れること自体スゴイと言われるのは、
そうした背景もあるかも知れません。

島で育った方もカワセミが島に来ていることを知っている人は少なく、
目撃の話をすると驚く人が多かったです。

せっかくこんな美しい鳥が来ているのだから、
多くの島の人に見てもらえればと思います♪

■上空ではウミウらしき鳥も飛んでいました。

父島でも目撃情報があります☆
地球って鳥にとっては狭いものなのでしょうかねぇ(笑)?