小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

日本で一番絶滅に近い鳥が母島にいる~オガサワラカワラヒワ

2020年12月26日 | 小笠原 野生動物
■「えっ?もうそれしかいないの?」
「20年前とかは普通にいっぱいいたよ?」
「そう言えば、最近見ない気がするね」
確かにみる頻度は減ってきていたし、
なんか少ない印象があったけど、
まさか、いま日本で一番絶滅に近い鳥が自分が住んでいる母島にいるなんて知りませんでした。

オガサワラカワラヒワという鳥をご存じでしょうか?
スズメ大の大きさで、くちばしが大きめで、オスは体が緑と羽の白黒模様が特徴の鳥です。

母島でもそもそもあまり知られていない鳥です。
昔から、農地によく現れるので、百姓には馴染みがあったようで、
「くざいもん」と呼ばれていたそうです。

以前は広く小笠原諸島全域に生息していたみたいですが、
今は母島列島と火山列島の南硫黄島にわずかに生き残っているだけだそうです。

内地のカワラヒワの亜種として取り扱われていましたが、
近年、遺伝的に大きく離れていることが分かり、
別種として扱われることになったようです。

この鳥が人知れず絶滅の危機に瀕しているのに僕が気付いたのはここ最近のことでした。

近年、川上和人さんらの研究者の講演会でそう語られていたのです。。
たしかにあんなに畑で普通に見ていた鳥なのに、近年は見る頻度はグッと減ってきています。
2019年の夏に一度に7羽見たのが僕にとって数年ぶりの複数羽の観察でした。

僕にとっては2017年頃から劇的に見なくなった印象です。

関係者の中ではヤバいと言われていましたが、
なかなか絶滅回避に向けての大きな動きができない時期が続きました。

そこに今年、大きな事件が発生します。
オガサワラシジミの絶滅(まだ確定ではない)というニュースです。

※こちらはメスのオガサワラカワラヒワ

■オガサワラシジミは小笠原諸島全域に分布していましたが、
外来種などの影響により、母島列島にだけ生き残っていました。

母島でも「オガサワラシジミの会」が発足し、保全活動を頑張っていましたが、年々その目撃は減り、
2017年、2018年の渇水と2019年の超台風により、自然界は大ダメージを負いました。
そして、そのタイミングで域外飼育、内地の動物園での飼育が全滅してしまったのです。(繁殖が上手くいかなかった)

このニュースは絶滅の危機に瀕しているオガサワラカワラヒワが住む母島列島の私達に、
待ったなしの強烈なメッセージとなりました。
このニュース以前から、保全計画作りワークショップの計画はありましたが、
このシジミの絶滅のニュースで一気に加速した気がします。

【第2のシジミにさせない!!】

船待ちパネル作業に集まった運営メンバー(一部です)
関係者一同、そんな想いで動いてきました。

僕も秋から実行委員に参加させてもらい、
12月のワークショップに向けて精力的に関わらせてもらいました。

11月からは
オガヒワキャンペーンを展開し、
ホームページの開設、
ツイッターYoutubeチャンネルの開設
船客待合所にパネル展示、
オガヒワの生態と危機などを学ぶ講演会、
沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会、
そして12/19のPHVAワークショップ。

怒涛のように駆け抜けてきました。

100匹しか生き残っていない鳥の為に、
約100人の人間が考え、課題を抽出し、目標を設定し、動き出しました。

本当に多くの方がこのワークショップに関わり、
オガヒワの絶滅回避のために議論を重ねました。

そして今、思うのは、
大事なのは“これからの動き”であることと思います。

ワークショップはようやく保全のスタートラインに立っただけなのです。

畑の大根の種を食べるくざいもんのオスとメス。

■オガヒワが絶滅の危機に瀕した原因は、
属島のドブネズミによる繁殖率の低下、
母島における餌場、水場の環境悪化など言われています。
幾つも考えられますが、どれも仮設の域を脱していません。(詳しくはHPをどうぞ!)

しかし、この10年間で劇的に数を減らしたことは事実で、
何かしら対策を行わないと絶滅に一直線であることは明白なようです。

しかし、母島のしかも無人島である属島が繁殖地で、
人知れず絶滅に向かっている事を多くの人が知らない、どころか
この鳥の存在すら知られていないのです。

まずはこのオガサワラカワラヒワを、
この絶滅の危機に瀕している事実を多くの人に知ってもらわなければ、と思いました。


■2008年にアカガシラカラスバト保全計画作りワークショップが開催されました。
アカガシラカラスバトは小笠原の固有のカラスバトで天然記念物です。

この鳥も「幻のハト」として、ほとんど姿が見られることはありませんでした。
知らない、見たことがないがほとんどの存在でした。

しかし、2008年のワークショップを契機に、
「あかぽっぽ」という愛称も有名になり、
まず、多くの人が知っているものになりました。

そして、保全として最優先課題になった「山のノネコをゼロにする」に向けて、
島の山のノネコの捕獲が動きだし、
驚くことに数年後には集落地域に幻のハトが沢山姿を現すようになりました。
今までほとんど見られなかったハトが、ですよ?

まったくマイナーだった存在が、
ワークショップを機に一気にメジャーに成りあがったのです。

オガヒワも今は全くのマイナーですが、
このワークショップをきっかけに多くの人がこの事実を知り、
この鳥の事を知ってくれたと思います。

これはワークショップでの大きな成果の一つだと思います。

実行委員として関わり、色々とツッコミどころ満載なワークショップでしたが、
関わったみんな本当によく頑張ったと思うし、
色々不備があっても、それが等身大だったと思います。

圧倒的にマンパワーが不足する母島。
この構図は実行委員でもそうでした。

でもこのコロナ禍において、オンラインという手法で
待ったなしのオガヒワ絶滅回避に向けて、
450人の島の事について、
母島の島民が50人近く、
父島、内地の専門家も50人近く集まり、
丸一日議論を重ねて、行動目標を捻出すること出来たのは、
とても大きな意味があったと思います。

今回のワークショップで話し合われた議論や練り上げられた行動目標などは年明けて、
1/11 島内向けオンライン報告会「オガサワラカワラヒワワークショップ報告会」
1/28 内地など一般向けに、オガサワラカワラヒワの現状とワークショップの結果に関する講演会
   「オガサワラカワラヒワぜんぶわかっちゃう」をYouTubeで配信する予定です。

詳しくはHPをご覧ください。
そちらもお楽しみに!



■12/20、
オガヒワワークショップの翌日。

なんとオガヒワ子供ワークショップが開催されました♪
まずは子ども達にも知ってもらいたい!

実行委員長の川口さんもアツく語りかけます。

新型コロナ拡大防止のために、
屋外の学校中庭を使って実施しました。


あの有名なバード川上さんも子供達にカワラヒワのことを伝えに参加してくれています。

子供達は本当に積極的に発言をしてくれました(#^.^#)

子供達が考え、選ばれた名前が逸材過ぎます♪

みんな<が考える愛称、オトナでは思いつかないようなネーミングセンスがありますヽ(^o^)丿
どうすればみんなが知ってくれるか!?
頭が柔軟な子供達は「地名をカワラヒワにすればいいじゃん!」
と柔軟な答えを連発してくれます♪


学校の先生もワークショップに参加し、色んな場面で子ども達にオガヒワのことを報せてくれています。

大人じゃ探り合いで終わってしまう時間を、
子供達はいとも簡単に飛び越えてきます。
そして柔軟な答えをバンバン出してくれる。

これぞまさにワークショップ。

オトナのワークショップの翌日の私達には、
この子供たちのアクティブさには驚きました(#^.^#)

最後はみんなで記念撮影。

こんな積極的な子供たちがいることは本当に宝だと思いました♪
今後がすごく楽しみです!!


■先ほど触れた沖港先客待合所でのパネル展示。
あまりにマイナーなオガヒワちゃん。

これで少しでも身近になってくれればと思います。


沢山の子どもと少しの大人が塗り絵もしてくれました(#^.^#)

こうして少しずつ関わりを増やしていく事で、知っている人が増えて、
保全活動に協力してもらえる流れになってくれればと思います。

■11月の下旬、沖縄のヤンバルクイナの保全の取り組みを学ぶ座談会がありました。
そこで最前線で活躍しているNPO法人どうぶつたちの病院 沖縄で活動されている長嶺隆先生が語っていた言葉が忘れられません。

「これからの未来、カワラヒワの糞などから今までになかった特効薬が生まれる可能性はある。
 でも、絶滅させてしまったら、その薬は生まれる可能性すらなくなってしまう。
 オガサワラカワラヒワが絶滅することは、そもそも知っている人も少ないし、
 実際には島民の生活にはほぼ何の影響もないと思います。
 でも、実はそれが未来の可能性を奪っているという事実を知ってほしい。
 あなたは子ども達の未来の可能性を奪う世代になってもいい覚悟はありますか?」と。

この長嶺先生の言葉はとても大きかったです。
なんていう大きな視野なのだろうと思います。

この問題は、
「誰かがきっとやってくれている」
という人任せが蔓延する現代の、島のリアルな現状な気がしています。

このオガヒワの絶滅に関して、今ひとつ考えるきっかけとなりました。
今の世代への責任、
そして未来への可能性の模索、
これをこのオガサワラカワラヒワの保全をきっかけに
見つめ直していこうと思いました。

そして、今考え、動くことに意味があると思うのです。
他人の評価は気にする必要はありません。

自分には何ができるか?
僕は動画やこうしたブログでの発信、
農地でのエサや水場となる場所づくりなどを作っていこうと思っています。

それぞれが自分のベストを尽くしましょう!



コロナ禍でのクリスマス

2020年12月15日 | 島のイベント
■先日、母島のクリスマスイベントがありました。
このコロナ禍で春から数々のイベントが中止となり、とても静かな1年でした。

そんな最中、ようやくささやかなイベントが実施されました。

島の子供向けのクリスマスイベント「クリスマス子供大会」。
母島の社会福祉協議会が主催し、地域の各団体が協力する素敵なイベントです♪
これは例年だと、みんなが村民会館に集まり、みんなで歌や劇、手話や南洋踊りをやりながら、
最後に婦人会が作った手作りケーキを食べ、母島の全ての子どもがサンタさんに手渡しでプレゼントをもらうという、
母島ならではのイベントです。

今回はコロナ禍、様々なイベントの中止が相次いだ中、
大人達が何とか島の子供達の為にクリスマスを祝ってやれないか?ということで、
子供達が島を巡るスタンプラリーをする事になりました(*^_^*)

青年会、手話サークル、婦人会、壮年会、保育園などが各ブースを運営し、
子供達に様々なレクを実施しました。

もちろん、マスク着用で3密を避けての実施です。
子供達は5人以下のグループになってもらっての実施でした。



■しかし、今年の小笠原の秋~冬は本当によく雨が降ります。
ここ1ヶ月はずっと雨でした(#^.^#)

渇水の2018年の降水量は1年で761.0mm。
今年の10月~12月までの降水量は839.5mm。
軽く超えるほどの雨、雨、雨。
※気象庁のデータ調べ

なんと台風がひとつも来なかった2020年。
大被害をもたらした去年の台風がありましたが、
何も来ない年もあるんですね。
極端すぎる!!

そんな最中、奇跡の晴れ間をぬって、見事にクリスマス子供スタンプラリーは実施できたのです♪


学校のグラウンドにみんなが距離をおいて集合し、
それぞれがバラバラに各ブースを周る事で密を避ける工夫をしました。

可愛いサンタの格好をしてあるくファミリー。
とっても微笑ましい、良い光景でした(#^.^#)


婦人会さんは役場外で手作りカップケーキをプレゼント♪


■今、会長を務めさせてもらっている母島青年会は船客待合所の横デッキで、子ども達を待ち受けます。
子供達が乗り越えるミッションは3つ。

①ジャンケン+あっち向いてホイ!!
ブース到着で最初のレクがこれです。
誰もが知っているこの遊び、島の外国人講師のメンバーはなんと初めて!!
母国フィリピンでは知らないというあっち向いてホイ(#^.^#)

アメリカ留学経験のあるメンバーも米国ではやった記憶がないと言っていたので、
実はあっち向いてホイは日本の文化なのかも知れません☆


②ギョサン飛ばし
このコロナ禍で新春海開きが人が集まる形では中止となり、ギョサン飛ばし大会が出来ないので、
ここでも工夫をしての実施。

子供に合せて動く的にぎょさんを入れるスタイルです。

中学生になると一気に距離が遠くなり、
幼児になると目の前に的が移動する優しいギョサン飛ばしでした(笑)。


③スペシャル・クイズ
ここが実はこのブース一番の難関。
前日の夜までお題を必死で考えてくれたメンバーが、その子に合わせた問題を出します。

幼児には紙で示して分かりやすい問題ですが、
子供が大きくなると難しい問題になっていきます。

クレヨンしんちゃんのパパの弟の名前は?や、
目の前の私、どんな見た目ですか?
1.とてもカッコいい
2.とてもステキ
3.そうでもない
という問題(笑)。もちろん③は×です(#^.^#)
これは人に気を遣えるかという問題なのだそうです(笑)。

中学生にはこんな難問が!

正解は分かりますか?
なんと島の中学生でこれに正解した子供がいたそうです!!

④最後にスタンプとプレゼント贈呈

写真を撮れなかったのですが、
とても素敵な消しゴムハンコなんです!

当日は色んな事情があり、参加できない壮年会からの長靴プレゼントを渡しました。

そんなこんなで、子ども達も「とても楽しかった~!」と言ってくれて、
やっている方もとても楽しめたイベントとなりました(#^.^#)

青年会のみんなもありがとう~~!!


■このクリスマスイベントの前日は入港日でした。
週に一度の入港日は僕は郵便と宅急便の配達の仕事をしているのですが、
この日の配達はヤバかったです。

・荷物が普段の倍(クリスマスとお歳暮の時期)
・横殴りの暴風雨(前線の通過)
・配達終了が21時半(通常は20時位)

記憶の限りではワースト1の配達日でした。
事前に予報で知っていたので、最善の備えはしていましたが、
半屋外での仕分けにはやはり限界がありました。
幾つかの荷物が濡れてしまい、配達先には本当に迷惑をおかけしました。

その日の昼前に青年会で前浜のガジュマルに灯りを取り付けました!
これもまさに奇跡の様な晴れ間でした。


父島のガジュマルに比べると、見事に質素な明かりですが、
母島らしくて僕は大好きです♪


来年の1月中旬まで設置予定ですので、お楽しみに!(消灯は21時ですw)


■島の12月と言えば父島・母島のスポーツ交流、
クリスマス子供大会、
ロードレース、
墓地清掃
といった感じの師走なのですが、今年は荒天とコロナ禍で中止が相次ぎました。

学校のロードレースはそんな最中、これもまた奇跡の晴れ間で実施していました。

現在、
内地では過去最高の感染者を日々更新していて、
父島での数人の感染のニュースが飛び込んできたりします。

医療は逼迫し、
ついには頑固に続けてきたGo Toトラベルも休止となりました。(遅すぎるけど!)

冬場に感染が広がる予想はできていたものの、
これがいつまで続くか分からない中、
自分たちが今、何をできるのか?を模索するのが大事と思っています。

長女もカナダの小さな田舎で感染者が出つつも、
なんとか高校留学を継続できています。

過去にはない色んなあり方で、
それぞれが自分たちの暮らしを見つめなおし、
行動して行くのが求められているのだと思います。

昨晩、家族で旧ヘリに行き、二子座流星群を見ながら、そんなことを考えていました。

今週末はずっと準備をしてきた絶滅に瀕しているオガサワラカワラヒワのワークショップです。
どうなっていくのか、本当に楽しみです♪
頑張るぞ~!



異国の地で自分たちの伝統文化に気付く(ハワイ旅行記⑥)

2020年12月03日 | ハワイ研修(SHIP)
■「小笠原が羨ましい。だって体一つで文化を表現できるものを持っているから」
「中学生になって恥ずかしくなった南洋踊りだけど、ここハワイで心底【南洋踊り】をやっててやってて良かったと思えた!」
2019年春、私達はSHIPというプログラムに参加して、ハワイ島に2週間滞在しました。

それは八丈島や小笠原の高校生がハワイに行き、
失った文化を取り戻してきたハワイアンと触れ合い、学び、動いていくというもの。

冒頭の言葉はハワイ島のネイティヴの血が通っていないと通えない、
英語ではなく完全にハワイ語で授業を行うナーバヒ校を訪れ、
100人を超える生徒の前で小笠原の郷土芸能、南洋踊りを披露したあとに言われた言葉でした。

八丈島の高校生は太鼓や黄八丈はあれど、
身体ひとつで文化を表現できるものを知らないと言うのです。

なるほど~
これは今まで自分たちが知らなかった目線です。
客観視って本当に大事だと思います。

小笠原は八丈と違い、戦前の文化を一時ほとんど失ってしまっています。
八丈には小笠原にはないものがいっぱいあります(#^.^#)

そして長女は、ハワイにまで来て、
初めて南洋踊りをやってて良かったと感じたそうです。

思えば赤ちゃんの頃から、踊る僕の足元にいた長女。
年頃になって、人前で踊るのが恥ずかしくなるのは当たり前でした。
何故なら、なぜ自分が南洋踊りをしているか分からなかったからです。

八丈やハワイアンのリアクションを通じて、客観視する事が出来て、
初めてその意味に気付いた瞬間。

このくだりには感動を覚えたほどです。
ハワイにあのタイミングで行けて、本当に良かったと思います。


■次女も踊り手なのでナーバヒ校では数百人の観衆の前で踊りました。
妻はカカの代わりにバケツでリズムを刻みました。

僕たちは腰みのなどの何の飾りもなく、
頂いたレイだけで、上半身を裸で(女子は南洋踊りTシャツ)踊ったのですが、
見ていたハワイアン達の反応が島のいつもの風景と全然違いました。

次女が帰ってから言いました。
「島の祭で踊るの雰囲気と違って、ものすごく真剣に見てくれてたね。びっくりした!」
嬉しそうに語っていました(#^.^#)

踊っている時の真剣な雰囲気がヒシヒシと伝わって来ていたのです。
踊り終わった後の拍手もそうでしたが、他文化に対するリスペクトをすごく感じました。


ナーバヒ校(私立)に行った後の日程で、
ハワイ島東側にあるヒロ高校(公立)でも小笠原や八丈の説明、南洋踊りのレクチャーと披露をしましたが、
こちらではもっと普通に近い反応でした。

こちらは自分たちもヤシやティーリーフ、竹でカカを作って臨んだのですが、
どちらかというと島に近い雰囲気でした。

普通の公立高校と先住民のアイデンティティで運営された私立高校。
どちらがいい、という問題ではなく、
ナーバヒ校の意識の深さを伺えた瞬間でした。


■小笠原で南洋踊りのリズムに使われているカカ。

これはアフリカ由来の打楽器で、
確か人に聞いた話では返還20周年事業とかで作り始めたのが始まりだったとか。

アフリカ系の欧米系がいる父島で生まれたのはとても意味がある事だと思います。

ハワイではゴールデンバンブーをチェインソーで切って手作りしました。
これが予想以上にいい音がして、すっかり気に入ってしまいました(#^.^#)

滞在先のニックさん曰く、
「これはタヒチアンの楽器だよ!!」と言って喜んでくれました。

小笠原は江戸時代、ハワイ王朝時代にハワイから小笠原に最初に入植したのですが、
その中にはタヒチからやって来たメンバーもいたそうです。

南洋のカヌーやタロイモ、漁法など、ポリネシアンの智慧はとてもよく生活の役に立ったと言われています。

そんなタヒチとも知らない間に繋がっていたという話です♪


■ナーバヒ校では最初に歓迎のチャントー(祈りの儀式)、南洋踊りの後は大勢でフラを披露してくれました。

この学校にも通っていて、八丈にも小笠原にも来たことがあるカラー・マナマナは、
もの凄く光るオーラを放ってフラをしていました♪

フラ、南洋踊りの後はなんと「BON-DANCE」と呼ばれる盆踊りでした(笑)!!!

これは日系移民の人達がハワイに伝えた文化で、
私達が良く知っている1+2音頭や、炭坑節、なんとAKBとかの盆踊りまでありました(#^.^#)

まさかハワイで大好きな日本の盆踊りをするとは夢にも思っていませんでした♪

これは猛烈に盛り上がって、みんなでワイワイしながら、
八丈、小笠原、ハワイで入り混じって交流する最高の機会となりました。

ナーバヒは小中高一貫校なので、小さい子達とも仲良くなれました(#^.^#)



■島に帰って来て、父島と母島でSHIP報告会を行いました。
そこで父島の高校生が言いました。
「ハワイと小笠原、よく似ている。
 気候も人の温かさも。でも高校生の意識は違う。
 僕は南洋踊りもフラも、カヌーも好きでやっているけど、同じ高校生にそんな人はいない。
 でもハワイのナーバヒの高校生達は自分たちの伝統文化に、とても誇りを持っていたし、
 実際に実践している。
 同じ島の高校生で、どうしてこんなにも違うのかが分からない」

この言葉を聞いた時に、すぐにピンと来ました。

違うのは「教育」なのだと思いました。

母島の5月に行う運動会。
ここでは小学生全員が南洋踊りをやります。

低学年はともかく、高学年以上はやらされ感たっぷりで、真剣でもなければ、あまり楽しそうでもありません。

前までは仕方ないのかな~と思っていましたが、
今は違います。

明確に子供たちに南洋踊りを教える、教員が、なぜ南洋踊りをやるのか意味を見いだせていないからだと思いました。

現在は母島の南洋踊り保存会も人数が減って来て、
高齢化も進み、
学校教員も保存会に習う機会がなくなり、DVDを見て学ぶようになって来ました。

PTAでも学芸会で南洋踊りを踊らなくなってきました。
郷土芸能よりも、現代のダンスの方がウケるのです。

これも地域の大人が、島の南洋踊りの意味を見出していないからだと思うのです。
これは色々課題が見えてきました!

栄えて行くハワイ文化のフラと、
衰えて行く小笠原の文化の南洋踊り。

このまま文化のひとつを失わせる世代になっていいのか?
そう問いかけられたハワイ訪問でした。

今年度はコロナという前代未聞の問題が世界を覆い、
SHIPも様々な事情も重なって、実施出来ていません。

しかし、このハワイ研修で学ばされたことは、繋がりを知って、考え、動くことです。

僕にとってのクレアナ(役割、使命)はもうひとつ見えて来ています。

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2019年返還祭での南洋踊り