共産党が、更なるオールドコミュニストを除名したことを知った。
除名されたのは、古参党員の鈴木元氏(78)で、除名理由は「志位和夫委員長の辞任と党首公選制による党改革」を求める著書を出版したこととされている。
78歳という年齢を考えると、鈴木氏は松川・下山事件等のテロ闘争を小学生時代に見聞きし、「マルキストに非ずんば知識人に非ず」と栄華の巷を低く見つつも世間からは疎外され続けたバブル期にも日和ことなく堅固に節を守った、筋金入りの闘士であろう。
半世紀以上も堪えてきた老闘士が、自分の意見を述べるのに出版という外部の力を借りなければならないという「民主集中制」の締め付けは、組織内部にあってより良い改革を模索する人にとっては鉄格子に近いものなのだろうか。
共産党は2月にも松竹伸幸氏を民主集中制違反として除名しているので、機関紙「赤旗」を含む指導体制は鉄壁と思いたいが、理論が破綻した場合には「尻尾切り」で本丸を守るという姑息さは、他の組織と同じようである。
松竹氏の除名後に長崎新聞が掲載した松竹氏のインタビュー記事に対して、共産党長崎県委員会(山下満昭委員長)が長崎新聞に押し掛けて抗議したと赤旗が報じた。赤旗の記事は読んでいないが、民主集中制の原則とこれまでから考えると、機関誌の報道は党の公式見解で、おそらく「長崎県委員会の行動は英雄・模範的行為」と称賛するものであったのだろう。しかしながら、党内外から「異論封じ・言論弾圧」との批判の声が高まり、小池書記局長・田村智子政策委員長は、「常任幹部会で議論して決定したという経過が全くない。志位委員長も相談を受けていない」として、赤旗を含む関係者を注意処分して幕引きを図っている。
共産党が自賛・堅持する民主集中制にあっては、下部組織の行動であっても上部機関の承認があり、機関誌赤旗についてもゲラ刷りの段階で党の広報部門の校閲を得ていると観るのが一般的で、それらについて執行部が関与していないとするのはあまりにも牽強に過ぎると思える。
小池書記局長は、「共産党はこれまでも異論に対して反論はするが抗議したことは無い」ともされているが、市民団体の名を借りて異論に対する尖鋭な抗議行動を行ってきたことを観れば、千枚張りの鉄面皮でも中々できない言えないことと思える。
党員・赤旗購読者の減少、コアな老闘士の相次ぐ離脱、国政選挙での凋落傾向など共産党の将来は決して明るくないようにも思えるが、昨今は「背骨・主体性の無い立憲民主党」という抱き付くに格好な宿主を見つけたので、共産党としては唯我独尊姿勢を捨てて「抱き着きお化け」となることに活路を見出したようにも思えるが、先の選挙協力で明らかとなったように共倒れの公算の方が大きいのではないだろうか。
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