もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

松川訪仏団に思う

2023年08月11日 | 世相・世論

 自民党女性局長の松川るい参院議員を団長とするフランス視察団の行動が非難されている。

 視察行は、団長のほか今井絵理子、広瀬めぐみ両参院議員や地方議員ら38人が少子化・子育て支援などの視察を行ったものであるが、視察・研修時間の少なさ、家族の同行、エッフェル塔前での決めポーズ写真の投稿などで「観光旅行」と非難されている。
 これらの行為は当然の非難に値するが、報じられた反対意見のうち「この程度の研修であれば、ネットを読めばこと足りる」という意見には頷けない。
 人は何故観光地に出かけるのだろうか。それこそ「ネット上の写真や記事で十分」なはずであるが、時間と費用を工面してでも現地に赴くのは好奇心を満足させる行為に他ならないと思っている。
 この好奇心に突き動かされ・それを満足させる行動こそが人類発展の原点で、ホモサピエンスがグレートジャーニーで世界中に拡散した原因ともされている。
 そこまで大上段に構えなくても、「皮膚感」と表現されるように体験した者しか知ることができないことは多い。ネット上の写真は「切り取られた一部」でしかなく、記事も筆者の主観で脚色されたものであるため、観光旅行先で「実際はこんなもの」・「名物に旨い物なし」とがっかりした経験を持っている人は多い反面、震災支援のボランティアの多くが現場に立って「こんなにもひどいのか」と語ることも多い。
 国会議員の海外視察に関しても、公式発表や報道写真には載らない現実を「皮膚感」として得ることは大きな意味を持っていると考えるし、皮膚感を「国際感覚」にまで昇華させる議員が1名でも生まれれば、更には視察先の要人の一人とでも心を通わせることができれば、金銭に変えられないものと思っているので、全てを否定するのは誤りと思う。
 それよりも、国会議員としては海外を視察することも無く筆者やカメラマンの目を通した海外事情にのみ依存することの方が弊害が大きいのではないだろうか。
 今回の松川訪仏団の研修は「愚行」の範疇を出ないが、議員の海外視察は必要であり、視察行の全てを否定することは「角を矯めて牛を殺す」ものに思える。

 陛下を始めとする皇族方の海外ご訪問の全ても、公式行事終了後には直ちに帰国されるという弾丸日程であることが多い。相手国の警備や諸経費に配慮しなければならない面も多いと思うが、せめて公式行事終了後に1週間ほどは滞在されて、現地での皮膚感を実感・体得されることは滞在費の多寡では捉えられない成果を生むものとも思っている。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿