衆院憲法審査会の野党筆頭幹事である中川正春議員のインタビュー記事を読んだ。
立民は憲法審査会の議論で維新や国民の後塵を拝し、強固に護憲を主張していた東大法学士の奥野總一郎議員(憲法審査会幹事)も現憲法には改正すべき点があると認めるなど、護憲姿勢堅持にも暗雲ただならぬように思える。
この状況にあって野党筆頭幹事の中川議員が、何と主張するのかと興味を持って読んだが従来の主張の繰り返しで残念に思った。
特に残念に思えたのは、緊急条項としての議員の任期延長問題である。中川議員は《大事なことは、どのような状況下にあっても選挙を実施できる態勢を整えることだ》と述べているが、何やら聞きなれたフレーズである。そう《自衛力の拡充整備よりも重要なのは、そのような事態を起こさせなようにすることだ》と同じ論旨である。起きる可能性は極めて低いものの、それが起きた場合でも国家機能を維持するために六法は整備されると思っているが、中川議員にあっては如何なる状況下でも選挙を実施できる秘策をお持ちなのだろうか。
東日本大震災では何とか総選挙ができたものの、それ以上の広範囲の大規模災害で更に多くの人が死傷し、更に多くの人が住民登録地を離れて疎開した場合、政府・自治体は避難民の安全確保に全力を傾けるだろうが、そんな中にあっても有権者の所在を突き止めて入場券を配布する等の投票手続き・選挙事務ができる態勢とは何だろうか・あるのだろうかと疑問に思える。
多分、中川氏の脳裏には、立民の公式見解である「そうなった場合には国会法を改正し・・・」という答えが準備されているのだろうが、上位の憲法規定を下位の法律で否定するという法治国家とは呼べない荒療治、その場凌ぎが許されるものだろうか。それが許されるならば、憲法の否定した『国の交戦権』『武力保持』すら自衛隊法の改正で可能になり、護憲派の1丁目1番地である9条堅持など霧散霧消してしまう。
充分に予測可能な事態、国政に参画する者は当然に考察・準備しなければならない事象にも、『そうならない様にする』と理想・空論を以て議論を打ち切り、対処方策の議論にまで進ませない・応じない姿勢を世情では「お花畑」と評するが、中川議員もお花畑の有力者に相応しく思える。
立民の退潮は、泉代表の求心力や選挙戦術によるものではなく、空論を掲げて重要な議論を回避する「お花畑姿勢」であると思うが、如何だろうか?
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