もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

丑の刻参り今昔

2022年06月07日 | 歴史

 今朝の「めざまし8」で、プーチンに呪いをかける「丑の刻参り」が報じられた。

 プーチンに呪いを掛けたい気持ちは分かるが、流石にテレビでは神社汚損の迷惑行為の範疇として伝えていた。
 傘寿直前かつ田舎者の自分でも、「丑の刻参り」は昔話の世界で実際に見聞したことはないが、未だに呪いの儀式として伝承されているものかと、いたく感心したものの「丑の刻参り」自体を良く知らないので興味本位にネットで調べてみた。以下は、ウイキペディアと自称40代魔女の記事を参考にした「正しい?丑の刻参り」の手順である。
〇準備物件
・白装束(スペックは不明)
・藁人形(相手の氏名・生年月日を記載。相手の写真を張り付けたり爪や髪の毛を容れると、より効果的)
・五寸釘
・頭に被る五徳(昔ながらの3本足、ガスコンロ用は不可)と蝋燭
・口にくわえる和櫛
・胸にかける鏡
〇実施
・準備物件を用意して、身体を念入りに洗い清める
・白装束に着替えて、五徳を逆様に被り、櫛・鏡を身に着ける。
・丑三ツ刻(0200-0230)に1人で神社に参詣
・逆様に被った五徳の足に蝋燭を立て点火
・呪う相手の名前を大声で叫びながら、境内の御神木もしくは鬼門(北東)にある杉の木に五寸釘で藁人形を打ち付ける。
・これを7夜続ける。
〇呪いの仕上げ作業(7日目の呪い終了後)
・藁人形を杉の木から外す。
・棘のある木の枝で火を熾して藁人形を燃やす(灰が飛ばされないように注意する)
・藁人形の灰を容器に入れ、十字路の道路で灰を撒く(1回ずつ手で掴んで丁寧に撒く)
〇注意事項
・藁人形を打ち付けている時に目撃されたら、第1夜から遣り直す。また、地域によっては目撃者は殺さなければならない掟がある。
とされており、準備物件、行動の秘匿、7夜も実施、等を考えると、余程の怨念と執念が無ければ達成できないように思えるので、昔の人も「常人には達成できない程の障壁・困難」を義務付けて、丑の刻参りの多発を防止する狙い・知恵が働いていたのだろう。

 今すぐに呪いを掛けたい相手はいないものの、地方都市に住む自分が「丑の刻参り」を決断したとしても、藁・五徳・和櫛・五寸釘はホームセンターでも入手困難であろうし、神社までの道のり・7夜の丑三ツ刻の起床・深夜族の目と監視カメラによって行動を秘匿することは不可能であろうことから、実施は不可能に思える。
 今回報じられた現代版「丑の刻参り」は手順・所作のいくつかを簡略化したものであろうが、その分「効き目」も薄い(笑)のではないだろうかと思えば、神社施設の棄損は別にしても止めることをお勧めして、口説終了。


極度の貧困を学ぶ

2022年06月06日 | 社会・政治問題

 世界の食料価格が1%上昇するごとに、1千万人が「極度の貧困」に陥るとされていることを知った。

 極度の貧困とは1日1.9㌦(約250円)未満で暮らす場合を指しているらしく、報道された世界銀行の試算では極度の貧困層は7億人弱とされている。現在の世界人口は約80億人であることから、ほぼ1%が極度の貧困層に当ることになる。250円を日本で考えれば、コンビニのおにぎり2個に相当するので生命を維持するのも困難なように思えるが、貨幣価値の異なる国にあっては少し状況が違うのかもしれない。
 賃金と食費の関係を端的に示す場合、世界展開するマクドナルド価格を指標として利用する場合があるのでネットで調べてみると、1位スイス(804円)、33位日本(390円)、57位ロシア(201円)となっていた。このことから見ると、全世界一律に1.9㌦をボーダーとするのは無理があると思うので、もう少し調べてみた。
 前述の世界銀行の統計は、1990年に非政府研究グループと世界銀行が、世界各国の物価データを基に割り出した「購買力平価(PPP)」により設定するもので、1990年の設定時には1日1ドとされていたが、2005年に1日1.25㌦に、2015年からは1日1.90㌦にそれぞれ変更されている。
 また、国連開発計画(UNDP)も貧困を示す指標を持っており、こちらは「保健、教育、所得(生活水準)」という人間開発指数(HDI)の3つの要素を加味したもので「多次元貧困指数(MPI)」と呼ばれており、世界銀行の指数よりも、世帯レベルで複数の形態の貧困がどの程度重なり合っているかをより鮮明に表すとものされている。この多次元貧困指数で貧困とされているのは「MPI貧困層」と呼ばれ、現在では13億人で、ほぼ半数(6億6,300万人)は子供で、さらに4億2,800万人が10歳未満となっていた。
 日本でよく使用されるのは、国連開発計画の多次元貧困指数に近い「相対的貧困率で、総務省「全国消費実態調査」と厚生労働省「国民生活基礎調査」で示されているが、算出方法は難解でとても理解できるものでは無いと匙を投げた。大まかには、所得150万円未満の世帯割合は、国民生活基礎調査では12.8%、全国消費実態調査では7.2%という数字を見つけて納得することとした。

 日本政府は年収150万円未満を貧困のボーダーーとしているように思えるので、自分は何とか貧困層にはカウントされていないのかと安堵したが、よくよく考えてみると、税や各種保険の減免等を考えると、実質的には自分も貧困層と同程度の遣り繰り家計位置に立っていることに気付いた。
 「こりゃぁ、スロットやお絵描きなどにうつつを抜かしている場合ではないぞ」と愕然!。


小川淳也議員の主張を学ぶ

2022年06月05日 | 野党

 産経新聞に掲載された小川淳也立民政調会長の主張を読んだ。

 大要は「理想主義的と云われるかもしれないが、経済的・文化的に相互依存を深めることに勝る安全保障は無い」との一行に込められていると理解した。本人も認めているように、理想的には全ての国家・人種が相互に依存しあって共生することで平和は達成できるだろうが、ウクライナ事変前の世界情勢を眺めても、経済的には大国間での相互依存の形は形成されつつあったものの、文化的には途上国を中心に宗教・人種的価値観が中世に先祖返りしたかの細分化・多様性を生み出して、局地戦や内戦が多発していたと思っている。
 そして今回のウクライナ事変は、経済的な相互依存も極めて危ういものであることを示したのではないだろうか。かってロシア産原油は衛星国の需要を満たす程度で、西側諸国への戦略物資とはみなされなかったが、脱炭素・脱化石燃料・温暖化ガス排出規制、そして何よりも「経済のグローバル化(経済的相互依存)」が世界融和を生み出すとの幻影に後押しされて、今やロシアの天然ガスはEUの死命を制する戦略物資に変貌していたことを思い知らされた。
 また、東欧の穀倉であるウクライナでの戦闘は、世界的な小麦不足を招いて日本でも食品の値上げラッシュを招いており、ウクライナの戦況と被害を考えれば、今春の播種と今年の収穫は激減するだろうことは明白であり、小麦の高騰は数年は続くものと覚悟する必要がある。
 日本の高名な人道活動家は「エネルギーと食料を戦略的に使用するな」と主張されているが、それらが相手国にダメージを与えることができるからこそ対外的・外交的価値を持つと同時に、相手国がそれらの供給を断つ経済制裁も有効に作用すると思っている。第一、人道尊重の理由でそれらを駆け引きに利用しない理性的で人類愛に満ちた指導者は武力侵攻などしないだろう。

 小川議員の主張に戻ると、人道活動家であれば素晴らしいものであり、政治家の信念としても尊重されるべきであると思うが、経済的な相互依存を安全保障の根幹に据えることは理想ではあっても、現実の政治家としては、リアリストとしてそれが破綻する可能性には備える必要があるのではないだろうか。
 また、文化的な相互依存とは何を意味しているのだろうかとの疑問もある。一般的に、文化または文明とは「社会の中で共有される考え方や価値基準の体系のことで、知識・信仰・芸術・道徳・法律・慣習など、社会の構成員が獲得したあらゆる能力や習慣の複合的総体という古典的定義」とされており、相互依存すべきものではなく、相互依存できるものではない。
 隣国である対中国・韓国だけを見ても、経済的相互依存を現在以上に深化させることが相応しいとは思えないし、文化的には絶望である以上に相互依存したくないと思うのだが。


コロナ給付金不正受給に思う

2022年06月03日 | コロナ

 コロナ関連給付金の不正受給での摘発が相次いでいる。

 不正受給の背景若しくは原因は、「審査の甘さ」とする意見がメディアを中心に大勢を占めているが、自分としては不正受給は起きるべくして起きたものと思う。
 政府が各種給付を決定した前後の世相は、「一日も早い給付を」若しくは「どこどこの国では〇日で給付」の大合唱で、政府・自治体でも世論に抗しきれない形で給付のための制度設計・手続き不備のままに見切り発車に踏み切らざるを得ない状態であった。
 不正受給多発の原因は、住民基本台帳と税務資料が連接していないことが全てであり、連接していない原因は「一部の国民や政党が過度の個人情報保護」を主張したことに依っている。もし政府・自治体が個人の税務実態を把握していたとしても不正受給の全てを防ぐことはできなかったであろうが、局限はできたであろうと思う。
 コロナ給付金の実績と不正受給件数は如何ほどであるかわからないが、新聞報道によると、中小企業庁が把握しているだけでも給付424万件(5.5兆円)に)に対して、不正受給1218件(12億円)とされ、摘発の厳格化に伴って15,427件(166億円)の返金があったとされているので、地方自治体の独自給付等を合算すれば天文学的とは言えないまでも相当な金額が闇に消え・悪徳間の懐に落ちたものと思える。

 折に触れた書いていることであるが、日本のこれまでは性善説によって成り立っていたと思っている。大震災等における社会的混乱に対しても我意を殺して秩序に耐え忍ぶ姿は、麗しの国として世界中から称賛されてきたが、ここまで不正受給が明らかにされると、性善説統治も限界に近いように思われる。不正受給者で「指南役の口車に乗った」と自主的返金を申し出る人には、未だ救われる思いがするものの、これらの「あわよくば」層を加えると少なからぬ国民が国の安寧よりも自分の懐勘定を優先する拝金ウィルスに感染しているかのようである。この拝金ウィルスは既に政治家、行政の番人たる官僚、税の番人の国税職員にまで蔓延し、徐々に一般市民にまで広がっているように思えるが、厄介なことには拝金ウィルスに対する即効ワクチンが無い。
 「高楊枝」を誇示して空腹を押し隠した武士、甘い誘惑を跳ねのけて家を全うした「踏ん張り」後家の気概は、既に昔話となったのであろうが、遅効性ではあっても日本人としての「大和心の美風」を取り戻す施策・教育が必要に思えるが。如何に。


玉城知事発言とウクライナ支援

2022年06月02日 | 野党

 玉城 デニー知事の「ゼレンスキー発言」が有った。

 発言は、5月25日に県庁で開かれた基地問題に関する有識者会合の挨拶冒頭に行われたもので、発言直後に「冗談です」と打ち消したが、駐日ウクライナ特命全権大使から不快感を表明される等、大方の眉を顰めさせる結果となってしまった。更に、沖縄県が会議終了後に冒頭の雑談部分について報道を控えるよう各社に通知していた事が発覚したこともあって、県議会与党幹部からも「基地問題を話す会議の場で出る言葉か。今回はかばいようがない」と批判されている。
 TV番組冒頭の「つかみ」として話題の人物に扮して登場することはビートたけし氏の十八番であるが、「彼のキャラクターを以って初めて成立するお約束」と認知・受け入れられているもので、政治家が、それも極めて重要なテーマで開かれる会合に相応しいものではない。
 玉城デニー(本名:玉城康裕)氏のプロフィールには「元タレント」と記載されていることから、自分をコメディアン出身であるゼレンスキー大統領になぞらえるという底意があっての発言かとも思えるが、そもそもタレントとしての認知度が「月とスッポン」で、さらに、一部県民の意思を県民の総意と強弁する玉城氏と、真の総意に裏付けられた国民の自発を鼓舞して祖国防衛に挺身するゼレンスキー氏の存在を比べれば、「提灯と釣り鐘」以上に「0と∞」と表現することが適切に思える。

 残念なことではあるが、日本と日本人にとってウクライナ事変は液晶画面の向こうで起きている出来事で、戦闘の長期化に伴って紙面に占める割合や活字の大きさは徐々に小さくなっている。
 かってのベトナム戦争においても、局外者というよりもベトナム特需で潤っている日本で共産主義者を中核とした「べ平連」の活動が活発で、その主張は「ベトナムの地はベトナム人の手に」であったように思っているが、ベトナム戦争が終結して勝者北ベトナムからの報復・弾圧に晒された親米分子がボートピープルとなって難民化する人道問題に発展すると、「べ平連」は「我がこと成れり」と沈黙してしまった。

 デニー知事の軽口、天然ガスと小麦の高騰に議論が集中している国会、貝殻島周辺でのコンブ漁解禁注視、等々を見ると、既に日本では、ウクライナ国民受難に対する紐帯よりも、台湾・尖閣のウクライナ化を論じるよりも、我が身の贅沢な糊口を守ることが唯一の目標になったように思える。
 自由主義の本質を維持する真のウクライナ支援は、着なくなった衣類を大使館に送ることではなく、防護マスクを送ることでもなく、法律を改正して一発の銃弾を送ることであるように思う。
 ウクライナの希求する先端兵器は持っていないのは残念であるが。