「明日から来なくていい」 「うちの会社もぎりぎり」
わずかに改善したものの、依然厳しい水準で推移する完全失業率や有効求人倍率。中でも障害者雇用は厳しい波に翻弄(ほんろう)されている。2008年度に解雇された障害者は07年度の約1・8倍の2774人。今年度も8月までの5か月で1173人と、02年度以来のハイペースに。慣れ親しんだ職を失えば、再就職が難しいのが実情だ。
98人面接 採用4人
名古屋市障害者雇用支援センター(名古屋市熱田区)には昨秋以降、失職した障害者からの相談が相次ぐ。
今年8月、ビル清掃をしていた50歳代の知的障害者の男性が解雇されたと相談に来た。経費削減を理由に契約解除されたといい、センターの担当者が会社と交渉したが、「うちもぎりぎりの状態」と言われ、復職はかなわなかった。
スーパーに勤めていた18歳の男女は、今年1月、新年会の席で上司から「明日から出てこなくていい」と解雇通告された。2人とも昨春、養護学校を卒業したばかり。驚いた親が会社に問い合わせたが、「経営上の問題」という説明を受けただけ。
同センターの宮崎潔所長は「知的障害者の場合、事情がすぐ理解できず、その場で反論できないことが多い。だから簡単に解雇通告される面もある」と憤る。
以前は、全体の8割近くを占めた自動車関連など製造業の求人が今はほとんどない。他の職種に活路を見いださざるを得ないが、「障害者の場合、職種替えは簡単ではなく、それだけに職業訓練が重要」と宮崎所長。現在、センターでは限度いっぱいの36人が職業訓練を受け、希望者15人ほどが待機している状態だ。
東京都江戸川区の「区障害者就労支援センター」は3月、障害者を対象に企業面接会を開催。都内外から8社が参加し、障害者98人が面接に臨んだが、4月までに採用されたのはわずか4人だった。同センターは12月にも面接会を開く予定だが、福岡徹所長は「不景気で求人を抑えている企業が多い」と話す。
一方、離職しても雇用保険の失業給付をすぐに受けられないケースも多いという。同センターで職業訓練を受けていた17人が今年度上半期に就職に成功したが、7人が離職。その多くは、離職から3か月間は雇用保険の失業給付を受けられない「自己都合」での離職とされた。しかし、センターが離職者に理由を聞くと、「不景気で会社の雰囲気が悪くなり、人間関係に疲れた」「勤務時間が大幅に短縮され、働く意欲を失った」との回答が多かったという。
わずかに改善したものの、依然厳しい水準で推移する完全失業率や有効求人倍率。中でも障害者雇用は厳しい波に翻弄(ほんろう)されている。2008年度に解雇された障害者は07年度の約1・8倍の2774人。今年度も8月までの5か月で1173人と、02年度以来のハイペースに。慣れ親しんだ職を失えば、再就職が難しいのが実情だ。
98人面接 採用4人
名古屋市障害者雇用支援センター(名古屋市熱田区)には昨秋以降、失職した障害者からの相談が相次ぐ。
今年8月、ビル清掃をしていた50歳代の知的障害者の男性が解雇されたと相談に来た。経費削減を理由に契約解除されたといい、センターの担当者が会社と交渉したが、「うちもぎりぎりの状態」と言われ、復職はかなわなかった。
スーパーに勤めていた18歳の男女は、今年1月、新年会の席で上司から「明日から出てこなくていい」と解雇通告された。2人とも昨春、養護学校を卒業したばかり。驚いた親が会社に問い合わせたが、「経営上の問題」という説明を受けただけ。
同センターの宮崎潔所長は「知的障害者の場合、事情がすぐ理解できず、その場で反論できないことが多い。だから簡単に解雇通告される面もある」と憤る。
以前は、全体の8割近くを占めた自動車関連など製造業の求人が今はほとんどない。他の職種に活路を見いださざるを得ないが、「障害者の場合、職種替えは簡単ではなく、それだけに職業訓練が重要」と宮崎所長。現在、センターでは限度いっぱいの36人が職業訓練を受け、希望者15人ほどが待機している状態だ。
東京都江戸川区の「区障害者就労支援センター」は3月、障害者を対象に企業面接会を開催。都内外から8社が参加し、障害者98人が面接に臨んだが、4月までに採用されたのはわずか4人だった。同センターは12月にも面接会を開く予定だが、福岡徹所長は「不景気で求人を抑えている企業が多い」と話す。
一方、離職しても雇用保険の失業給付をすぐに受けられないケースも多いという。同センターで職業訓練を受けていた17人が今年度上半期に就職に成功したが、7人が離職。その多くは、離職から3か月間は雇用保険の失業給付を受けられない「自己都合」での離職とされた。しかし、センターが離職者に理由を聞くと、「不景気で会社の雰囲気が悪くなり、人間関係に疲れた」「勤務時間が大幅に短縮され、働く意欲を失った」との回答が多かったという。