政権交代で障害者福祉施策が抜本的に見直されることになりそうだ。先月、就任直後の長妻昭厚生労働相が「障害者自立支援法」廃止を明言した。多岐にわたる厚生労働行政のなかで、障害者福祉の取り組みをいちはやく表明したことは意義深い。
きのうは自立支援法廃止を求める大集会があり、厚労相が「4年間で新しい制度を創設する」と表明した。
2006年度施行の自立支援法は、身体・知的・精神の3障害一元化や就労支援の強化など、障害者の「自立」を支える仕組みとして制定された。「地域で安心して暮らせる社会の実現」という方向性はうなずけるものだった。
だが同時にサービス利用負担を、所得に応じた「応能」負担から原則1割の「応益」負担に変更、障害者の生活を直撃した。
「安心して暮らせる」どころか利用制限をせざるを得ない。障害が重い人ほど負担が増える。工賃を稼ぐために施設利用料を払うのはおかしい。そうした批判が強まり、前の自民・公明政権でさえ応益負担廃止を表明していた。見直しは当然だろう。
支援法は施設の経営悪化も招いた。月単位の施設報酬が日額方式となり、小規模の事業所ほど存続が困難な状況にある。
政府は利用者の負担軽減策や施設への補助などの対策を講じてきた。が、つぎはぎの修繕でなく根本的な改善が必要だろう。
何よりサービス利用を「利益」と見なして負担を強いた法律の理念に問題がある。食事やトイレ、移動などの支援は生きるために必要な「保障」であるはずだ。
こうした自己負担を違憲とする集団訴訟が提訴1年を迎えた。厚労相の廃止表明を受け、国が従来の争う姿勢を転換した。弁護団は訴訟を継続しながら、新制度策定に向けた協議に応じる方針だ。
障害者や家族など当事者の声を、新たな「障がい者総合福祉法」(仮称)に反映させなければならない。方向性を早めに提示しつつ、納得のいく制度設計をめざしたい。
自立支援法により、障害者と雇用契約を結ぶ事業所が増えるなど、働く場が開拓された一面もある。現状を総括して持続すべき点、見直す点を見極めなければならない。
障害には個性があり、家族の状況や環境も違う。どこでどのような生活をしたいか、求める支援は千差万別だ。対象となる障害の範囲や定義も広げ、個々のニーズがすくわれるサービス体系や支給のあり方を検討してほしい。
さらには、健常者と平等な権利保障を義務づけた国連の「障害者権利条約」批准に向け、障害者施策を総合的に見直していく必要がある。
きのうは自立支援法廃止を求める大集会があり、厚労相が「4年間で新しい制度を創設する」と表明した。
2006年度施行の自立支援法は、身体・知的・精神の3障害一元化や就労支援の強化など、障害者の「自立」を支える仕組みとして制定された。「地域で安心して暮らせる社会の実現」という方向性はうなずけるものだった。
だが同時にサービス利用負担を、所得に応じた「応能」負担から原則1割の「応益」負担に変更、障害者の生活を直撃した。
「安心して暮らせる」どころか利用制限をせざるを得ない。障害が重い人ほど負担が増える。工賃を稼ぐために施設利用料を払うのはおかしい。そうした批判が強まり、前の自民・公明政権でさえ応益負担廃止を表明していた。見直しは当然だろう。
支援法は施設の経営悪化も招いた。月単位の施設報酬が日額方式となり、小規模の事業所ほど存続が困難な状況にある。
政府は利用者の負担軽減策や施設への補助などの対策を講じてきた。が、つぎはぎの修繕でなく根本的な改善が必要だろう。
何よりサービス利用を「利益」と見なして負担を強いた法律の理念に問題がある。食事やトイレ、移動などの支援は生きるために必要な「保障」であるはずだ。
こうした自己負担を違憲とする集団訴訟が提訴1年を迎えた。厚労相の廃止表明を受け、国が従来の争う姿勢を転換した。弁護団は訴訟を継続しながら、新制度策定に向けた協議に応じる方針だ。
障害者や家族など当事者の声を、新たな「障がい者総合福祉法」(仮称)に反映させなければならない。方向性を早めに提示しつつ、納得のいく制度設計をめざしたい。
自立支援法により、障害者と雇用契約を結ぶ事業所が増えるなど、働く場が開拓された一面もある。現状を総括して持続すべき点、見直す点を見極めなければならない。
障害には個性があり、家族の状況や環境も違う。どこでどのような生活をしたいか、求める支援は千差万別だ。対象となる障害の範囲や定義も広げ、個々のニーズがすくわれるサービス体系や支給のあり方を検討してほしい。
さらには、健常者と平等な権利保障を義務づけた国連の「障害者権利条約」批准に向け、障害者施策を総合的に見直していく必要がある。