交通事故の後遺症で手話を使っている手が動かしづらくなったのは、健常者の言語障害にあたるとして、聴覚障害がある60代の主婦が、事故の相手に2622万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が25日、名古屋地裁であった。徳永幸蔵裁判官は「手話は健常者の口話に相当し、後遺障害で手話に影響がおよんだ場合、後遺障害と扱うのが相当」として、1221万円の支払いを命じた。
原告側の弁護士は「手話を言語として認め、損害賠償を命じた判決は初めてでは」と話す。自賠責保険や労災の後遺障害の等級認定では、言語障害は明確な区分があるが、手話障害は評価の対象になっていない。
訴えていたのは、名古屋市中川区の大矢貴美江さん。事故前から聴覚障害があり、手話で意思疎通を図ってきた。04年7月、自宅近くの横断歩道で男性の乗用車にはねられ、左手首などを骨折。事故後は、左手と右肩が動きにくくなり、左手首をプレートで補強している。
判決で徳永裁判官は、手話と後遺障害の程度の関係について、「意思疎通が可能かどうか、手話能力がどの程度失われているかを個別的に判断するべきだ」と指摘。大矢さんは左手小指が曲げにくく、他の単語表現と紛らわしいなどの影響があったと認定。手話言語能力の14%程度が失われたと結論づけた。
大矢さんは自賠責保険の後遺障害等級の認定では「著しい言語障害」(6級)ではなく、「右肩関節の機能障害」(12級)などとされた。判決も「手話で意思疎通ができており、著しい障害とまで認めることはできない」とし、6級とする大矢さん側の主張を退け、後遺障害慰謝料を420万円と算定。治療費117万円、休業補償375万円などを認めた。
原告らは「これまで泣き寝入りさせられた聴覚障害者も少なくない。手話障害の救済に対する制度化に向け動き出してほしい」と期待する。
被告側は「手話の機能障害は言語と比べて、等級を明確に区別できず、慎重に判断すべきだ」と主張していた。
今回の事故で手話障害が保険対象外だったように、手話は口話に比べて言語と認められていない傾向がある。一方、日本が批准していない国連の障害者権利条約では、障害者の表現と意見の自由を確保するため、手話などの非音声言語を音声言語と同格に「言語」と定義している。
原告側の弁護士は「手話を言語として認め、損害賠償を命じた判決は初めてでは」と話す。自賠責保険や労災の後遺障害の等級認定では、言語障害は明確な区分があるが、手話障害は評価の対象になっていない。
訴えていたのは、名古屋市中川区の大矢貴美江さん。事故前から聴覚障害があり、手話で意思疎通を図ってきた。04年7月、自宅近くの横断歩道で男性の乗用車にはねられ、左手首などを骨折。事故後は、左手と右肩が動きにくくなり、左手首をプレートで補強している。
判決で徳永裁判官は、手話と後遺障害の程度の関係について、「意思疎通が可能かどうか、手話能力がどの程度失われているかを個別的に判断するべきだ」と指摘。大矢さんは左手小指が曲げにくく、他の単語表現と紛らわしいなどの影響があったと認定。手話言語能力の14%程度が失われたと結論づけた。
大矢さんは自賠責保険の後遺障害等級の認定では「著しい言語障害」(6級)ではなく、「右肩関節の機能障害」(12級)などとされた。判決も「手話で意思疎通ができており、著しい障害とまで認めることはできない」とし、6級とする大矢さん側の主張を退け、後遺障害慰謝料を420万円と算定。治療費117万円、休業補償375万円などを認めた。
原告らは「これまで泣き寝入りさせられた聴覚障害者も少なくない。手話障害の救済に対する制度化に向け動き出してほしい」と期待する。
被告側は「手話の機能障害は言語と比べて、等級を明確に区別できず、慎重に判断すべきだ」と主張していた。
今回の事故で手話障害が保険対象外だったように、手話は口話に比べて言語と認められていない傾向がある。一方、日本が批准していない国連の障害者権利条約では、障害者の表現と意見の自由を確保するため、手話などの非音声言語を音声言語と同格に「言語」と定義している。