全国の精神障害者施設などでつくる社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」(全精社協、東京)による国の補助金不正受給事件で、厚生労働省の複数の職員が大阪地検特捜部の任意聴取に対し、精神障害者支援施設「ハートピアきつれ川」(栃木県さくら市)が破綻(はたん)すれば厚労省が社会的に批判されると思い、運営する全精社協への補助金交付を不正と知りながら続けた、との趣旨の証言をしていたことがわかった。
しかし、特捜部は、補助金の交付決定には多数の職員がかかわっていたことから、全精社協幹部らとともに補助金適正化法違反容疑で個人の刑事責任を問うのは困難と判断し、省側の立件を見送った。
一方、特捜部は10日、07、08年度に障害者の自立支援のための調査研究の補助金計5110万円を不正に受け取ったとして、全精社協会長の高野修次容疑者(55)と元副会長の上野一郎容疑者(50)を同法違反の罪で起訴した。ハートピアの人件費などへの流用を認めているという。
ともに逮捕した元常務理事(41)と元事務局次長の五月女(そうとめ)定雄容疑者(58)は「関与が従属的」として不起訴処分(起訴猶予)にした。五月女元次長については協会の金835万円の業務上横領罪で起訴しているが、別に413万円を着服したとする同罪でも追起訴した。
ハートピアきつれ川は96年、国が約9億円を投入し、精神障害者が働くホテルと授産施設を併設した全国唯一の施設として開設された。全精社協は07年、厚労省の仲介で財団法人「全国精神障害者家族会連合会」(破綻)から経営を引き継いだ。
補助金交付に関与した厚労省職員の一人は任意聴取に「協会の資金繰りは火の車で、いつか破綻する状況だった。ハートピアが破綻すれば『公費の無駄づかい』と批判を浴びるため、良くないと思いながら目的外の補助金支給を認めた」と証言。別の職員も「ハートピア延命のために補助金を出した」と説明したという。
これまでの特捜部の調べでは、厚労省職員らが08年度の補助金交付の際に全精社協を支援する趣旨の会議を開き、申請書類を添削指導していたことや、協会が複数の職員を飲食接待したことも判明していた。しかし特捜部の捜査で接待の金額や趣旨の裏付けがとれなかったとみられる。
しかし、特捜部は、補助金の交付決定には多数の職員がかかわっていたことから、全精社協幹部らとともに補助金適正化法違反容疑で個人の刑事責任を問うのは困難と判断し、省側の立件を見送った。
一方、特捜部は10日、07、08年度に障害者の自立支援のための調査研究の補助金計5110万円を不正に受け取ったとして、全精社協会長の高野修次容疑者(55)と元副会長の上野一郎容疑者(50)を同法違反の罪で起訴した。ハートピアの人件費などへの流用を認めているという。
ともに逮捕した元常務理事(41)と元事務局次長の五月女(そうとめ)定雄容疑者(58)は「関与が従属的」として不起訴処分(起訴猶予)にした。五月女元次長については協会の金835万円の業務上横領罪で起訴しているが、別に413万円を着服したとする同罪でも追起訴した。
ハートピアきつれ川は96年、国が約9億円を投入し、精神障害者が働くホテルと授産施設を併設した全国唯一の施設として開設された。全精社協は07年、厚労省の仲介で財団法人「全国精神障害者家族会連合会」(破綻)から経営を引き継いだ。
補助金交付に関与した厚労省職員の一人は任意聴取に「協会の資金繰りは火の車で、いつか破綻する状況だった。ハートピアが破綻すれば『公費の無駄づかい』と批判を浴びるため、良くないと思いながら目的外の補助金支給を認めた」と証言。別の職員も「ハートピア延命のために補助金を出した」と説明したという。
これまでの特捜部の調べでは、厚労省職員らが08年度の補助金交付の際に全精社協を支援する趣旨の会議を開き、申請書類を添削指導していたことや、協会が複数の職員を飲食接待したことも判明していた。しかし特捜部の捜査で接待の金額や趣旨の裏付けがとれなかったとみられる。