ゴエモンのつぶやき

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障害者スポーツ:車いす選手頑張れ 燃えるエンジニア集団

2013年10月13日 00時54分16秒 | 障害者の自立
 12日に始まった第13回全国障害者スポーツ大会を、熱いまなざしで見守るエンジニア集団がいる。車いす選手をサポートする専門メーカー「オーエックスエンジニアリング」(本社・千葉市)だ。世界で活躍する多くのアスリートが今大会にも出場する中、昨年亡くなった創業者の思いを胸に「2020年東京パラリンピックで選手に勝利を」と一層の技術革新を誓う。

 同社は1993年から陸上競技やバスケット、テニスの競技用車いすを製造・販売している。オーダーメードが多く、値段は1台約50万〜100万円。年間約200〜300台の注文があり、過去のパラリンピックで計104個のメダルに貢献した。昨年のロンドン大会の車いすテニス男子シングルスで金メダルを獲得した国枝慎吾選手も同社製の車いすを使っているが、メダリストの半分以上は海外勢だ。

 「1グラムをどう削るかが勝負」。陸上競技担当の小沢徹さん(43)は語る。選手に最適な一台を作るため、採寸から設計、製造、セッティングまで全て一人でやる。通常の車いす(アルミ製)は重さ10〜13キロだが、陸上競技用はパイプの形状を変えるなどして8〜9キロに軽量化している。担当になって今年で14年。失敗の連続で「軽いマグネシウムを使ったときは『地面からの反発が違う』と選手に言われてあきらめた」。

 バスケットボール担当の結城智之さん(33)は「通常は1台約12キロ。でも、選手同士の当たりが多いセンター用は約15キロにして当たり負けしないようにしている」という。

 同社は石井勝之社長(33)の父重行さんが76年にバイク販売店として創業した。84年にオートバイ事故で下半身不随になった重行さんは、市販の車いすに満足できず自ら設計・製造を開始。95年に専門メーカーに業種転換した。

 同社を世界に評価されるメーカーに育て上げた重行さんは昨年12月、胃がんのため64歳で亡くなった。年商約9億円のうち競技用は1〜2割程度にすぎないが、石井社長は断言する。「父が発想した車いすが優れていることを証明するためにも、競技用を作り続ける」。社員たちも「いまの技術を徹底的に見直し、より使いやすいものを作りたい」と、エンジニア魂を燃やしている。

毎日新聞 2013年10月12日 11時46分(最終更新 10月12日 12時31分)