アジア各地で障害のある人たちが描いた絵画などを集めた「2013アジア・パラアートTOKYO」が、東京・池袋で開かれています。将来的にはパラリンピックのアート版を目指している国際色豊かな美術展。
ことしは日本をはじめ16の国や地域から作品が寄せられ、約220点が紹介されています。
国柄も伝わる国際的な障害者アート展
「アジア・パラアート」は4年前、知的や精神、身体に障害がある人たちのアートを多くの人に知ってもらおうと、公益財団法人「日本チャリティ協会」が、アジア各地に呼びかけて初めて開かれました。
2回目となる今回は、国内から約400点、海外からは16の国と地域から約600点の作品が寄せられ、この中から選ばれた約220点が展示されています。
展示作品からは、それぞれの国柄や障害者アートへの取り組み方も伝わってきます。
民主化や海外との経済交流が進むミャンマーからは初めて14点の作品が寄せられました。
ミャンマーの民主化に取り組むアウン・サー・スー・チー氏を描いたものや生活の様子などを描いた5点が紹介されています。
また、経済成長が続くマレーシアは、知的障害者の母親どうしの結び付きが強いといい、知的障害のある人たちの作品を中心に、都市の景観や動物などを描いた作品、14点が展示されています。
イランからは身体障害者の作品を中心に海外では最も多い300点が寄せられ、障害者のアートに取り組む熱意がうかがえます。
主催の日本チャリティ協会の瀬川乙女さんは「各国の障害者の作品にある、生きる力や命の輝きといったアートの原点を、訪れた人に感じてほしいと思います」と話しています。
知的障害の男性の遺作なども紹介
今回の美術展は、作品の優劣を競うものではありませんが、今後の創作の励みにしてもらおうと、パラアート賞として25点が選ばれました。
その中の1つ、「ムカシクジラの家族」は、5年前に37歳で亡くなった横浜市の七海進治さんの作品です。
知的障害のあった七海さんは、子どものときからアニメのロボットなどを描くのが好きで、カルチャースクールに通いながら絵を学び、40点もの力作を残しました。
今回の作品は、古代の生き物に強い関心を持っていた七海さんが図鑑を見ながら描いた作品です。
色使いに独特の感性を生かし、ムカシクジラの体をオレンジやピンク系のマジックや蛍光ペンなどを使って丁寧に仕上げました。
集中しているときには徹夜をして半年がかりで取り組んだといいます。
母親の美喜子さんは「自分が描いた作品を見てもらうことを楽しみにしていたので出品しました。多くの方に見ていただければと思います」と話していました。
「2013アジア・パラアートTOKYO」は、今月13日まで、東京・池袋の東京芸術劇場の展示ギャラリー1で開かれています。
主催団体は「2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開かれることも決まり、障害者アートを盛り上げようという機運も高まっていますので、全体のレベルアップを図りながら参加国を増やして今後も続けていきたいと思います」と話しています。
入場は無料です。
NHK--2013年(平成25年)10月11日[金曜日]
ことしは日本をはじめ16の国や地域から作品が寄せられ、約220点が紹介されています。
国柄も伝わる国際的な障害者アート展
「アジア・パラアート」は4年前、知的や精神、身体に障害がある人たちのアートを多くの人に知ってもらおうと、公益財団法人「日本チャリティ協会」が、アジア各地に呼びかけて初めて開かれました。
2回目となる今回は、国内から約400点、海外からは16の国と地域から約600点の作品が寄せられ、この中から選ばれた約220点が展示されています。
展示作品からは、それぞれの国柄や障害者アートへの取り組み方も伝わってきます。
民主化や海外との経済交流が進むミャンマーからは初めて14点の作品が寄せられました。
ミャンマーの民主化に取り組むアウン・サー・スー・チー氏を描いたものや生活の様子などを描いた5点が紹介されています。
また、経済成長が続くマレーシアは、知的障害者の母親どうしの結び付きが強いといい、知的障害のある人たちの作品を中心に、都市の景観や動物などを描いた作品、14点が展示されています。
イランからは身体障害者の作品を中心に海外では最も多い300点が寄せられ、障害者のアートに取り組む熱意がうかがえます。
主催の日本チャリティ協会の瀬川乙女さんは「各国の障害者の作品にある、生きる力や命の輝きといったアートの原点を、訪れた人に感じてほしいと思います」と話しています。
知的障害の男性の遺作なども紹介
今回の美術展は、作品の優劣を競うものではありませんが、今後の創作の励みにしてもらおうと、パラアート賞として25点が選ばれました。
その中の1つ、「ムカシクジラの家族」は、5年前に37歳で亡くなった横浜市の七海進治さんの作品です。
知的障害のあった七海さんは、子どものときからアニメのロボットなどを描くのが好きで、カルチャースクールに通いながら絵を学び、40点もの力作を残しました。
今回の作品は、古代の生き物に強い関心を持っていた七海さんが図鑑を見ながら描いた作品です。
色使いに独特の感性を生かし、ムカシクジラの体をオレンジやピンク系のマジックや蛍光ペンなどを使って丁寧に仕上げました。
集中しているときには徹夜をして半年がかりで取り組んだといいます。
母親の美喜子さんは「自分が描いた作品を見てもらうことを楽しみにしていたので出品しました。多くの方に見ていただければと思います」と話していました。
「2013アジア・パラアートTOKYO」は、今月13日まで、東京・池袋の東京芸術劇場の展示ギャラリー1で開かれています。
主催団体は「2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開かれることも決まり、障害者アートを盛り上げようという機運も高まっていますので、全体のレベルアップを図りながら参加国を増やして今後も続けていきたいと思います」と話しています。
入場は無料です。
NHK--2013年(平成25年)10月11日[金曜日]