3年後のブラジル・リオデジャネイロパラリンピックを目指す福岡市の立石アルファ裕一さん(29)からメールが来ました。西部本社(福岡市)に勤務していたとき知り合った障害者卓球選手です。
<大阪で行われる障害者の日本代表チームの強化合宿に参加します。約10年前から手伝ってくれる地元の高校があって、選手全員がとても感謝しています>
これはぜひ、現場を見なければ――。ということで、大阪市此花区の舞洲障がい者スポーツセンター「アミティ舞洲」の体育館へ。10面ある卓球台で、男子高校生と、車いすの障害者選手が、打ち合っています。スマッシュを決めて大声で喜ぶ高校生。取れずにくやしがる障害者選手。本気同士の緊張感に圧倒され、つい見入ってしまいました。
「高校生のおかげで、いい練習ができています」
車いすで近づいてきた、代表チーム監督の佐藤幸広さん(54)が話してくださいました。20~60歳代の男女障害者選手9人の試合相手や、審判、球拾い役をしていたのは、金光大阪高校(大阪府高槻市)の男子卓球部員約20人でした。
10年ほど前から毎年2回、この体育館で合宿をしていますが、障害の程度や種類がまちまちなので、選手同士でできる練習は限られています。地元の学校に協力を呼びかけたところ、同校が毎回来てくれるようになったそうです。
高校生が1人、走ってきました。「先生、トイレに行ってきます」と、佐藤さんに断って退出しました。
「高校生は、障害者チームの一員という思いで参加してくれているようです。彼らの懸命な姿勢が、大人の選手たちに刺激になっています」
真剣勝負を邪魔しないように、体育館の端っこを歩きながら卓球台を見て回ると、障害者選手をうまく攻め切れず高校生が苦戦していました。府大会ではいつも上位に入るチームなのですが……。
「集中力の差ですよ。代表のみなさんは決して最後まで気持ちが切れません」
今度は同校顧問の安川敦さん(53)がおっしゃいました。高校生も学ぶことが多そうです。練習後、パラリンピック出場経験のある選手に手ほどきを受け、目を輝かせる高校生の姿が印象的でした。
同校のほかにも、大阪経済法科大卓球部や、社会人チームなど、代表チームの援軍はたくさんいるようです。
パラリンピックの卓球では、最近、日本チームはメダルから遠ざかっているそうですが、大人と高校生が互いに感謝しあって精進なさる様子を見ると、先月決まった2020年の東京大会は、盛り上がるだろうな、とわくわくしました。
でも、その前にリオ大会ですね。日曜便も、健闘を祈っています。(本部洋介)
(2013年10月6日 読売新聞)
<大阪で行われる障害者の日本代表チームの強化合宿に参加します。約10年前から手伝ってくれる地元の高校があって、選手全員がとても感謝しています>
これはぜひ、現場を見なければ――。ということで、大阪市此花区の舞洲障がい者スポーツセンター「アミティ舞洲」の体育館へ。10面ある卓球台で、男子高校生と、車いすの障害者選手が、打ち合っています。スマッシュを決めて大声で喜ぶ高校生。取れずにくやしがる障害者選手。本気同士の緊張感に圧倒され、つい見入ってしまいました。
「高校生のおかげで、いい練習ができています」
車いすで近づいてきた、代表チーム監督の佐藤幸広さん(54)が話してくださいました。20~60歳代の男女障害者選手9人の試合相手や、審判、球拾い役をしていたのは、金光大阪高校(大阪府高槻市)の男子卓球部員約20人でした。
10年ほど前から毎年2回、この体育館で合宿をしていますが、障害の程度や種類がまちまちなので、選手同士でできる練習は限られています。地元の学校に協力を呼びかけたところ、同校が毎回来てくれるようになったそうです。
高校生が1人、走ってきました。「先生、トイレに行ってきます」と、佐藤さんに断って退出しました。
「高校生は、障害者チームの一員という思いで参加してくれているようです。彼らの懸命な姿勢が、大人の選手たちに刺激になっています」
真剣勝負を邪魔しないように、体育館の端っこを歩きながら卓球台を見て回ると、障害者選手をうまく攻め切れず高校生が苦戦していました。府大会ではいつも上位に入るチームなのですが……。
「集中力の差ですよ。代表のみなさんは決して最後まで気持ちが切れません」
今度は同校顧問の安川敦さん(53)がおっしゃいました。高校生も学ぶことが多そうです。練習後、パラリンピック出場経験のある選手に手ほどきを受け、目を輝かせる高校生の姿が印象的でした。
同校のほかにも、大阪経済法科大卓球部や、社会人チームなど、代表チームの援軍はたくさんいるようです。
パラリンピックの卓球では、最近、日本チームはメダルから遠ざかっているそうですが、大人と高校生が互いに感謝しあって精進なさる様子を見ると、先月決まった2020年の東京大会は、盛り上がるだろうな、とわくわくしました。
でも、その前にリオ大会ですね。日曜便も、健闘を祈っています。(本部洋介)
(2013年10月6日 読売新聞)