神奈川県議会の自民党、公明党、県政会の3会派は14日、手話に対する県民の理解を深め、広く普及させる「県手話言語条例(仮称)」を議員提案し、年内の制定を目指す方針を固めた。条文には県や事業者、県民の役割を明記し、手話普及に向けた総合的な計画の策定と実施を県に義務付ける内容となる予定。聴覚障害者団体から条例化を求める声が上がっていた。
手話言語条例は鳥取県が昨年10月、全国で初めて制定。手話はコミュニケーションに欠かせない言語であるとの認識に立ち、聴覚障害者が手話を使って生きやすい環境づくりを目指す目的で、県民が手話に親しむ機会の確保や手話通訳の養成などに県予算を充てて取り組んでいる。
神奈川県聴覚障害者連盟も今年5月に5万4655人の署名を添え、県議会に同様の条例制定を求める陳情を提出。十分な意思疎通ができずに受ける誤解や地域や職場での孤立に関し、「社会全体の手話に対する理解不足が大きな要因となっている」と訴えていた。
これを受け、自民党県議団が7月に検討を開始。9月に公明党と県政会に協力を呼び掛け、3会派による条例検討会議(座長・古沢時衛県議)を設置した。
同検討会議は、改正障害者基本法では「言語には手話が含まれる」と明記されたものの、県内で手話に対する理解が浸透しているとはいえないとの認識で、条例制定が必要と判断。聴覚障害者に対する県施策も保健福祉部門にとどまっているとし、職場や教育現場なども視野に入れた全庁的な手話普及の取り組みを求める予定。
【神奈川新聞】 2014.10.15 03:00:00