障害者の働く力を生かすため、就労に向けた準備の相談から企業による面接まで一体的に行う催しが、大阪市港区南市岡1丁目のハローワーク大阪西が管内(大阪市西部地域)で連携の輪を広げている。3年目を迎え、共催する区役所は行政区の枠を超えて4区に拡大。企業が障害者の力を身近に感じられる仕掛けも充実させ、関係者は「皆が元気になるイベントにしたい」と意気込みを見せている。
催しは「障がい者ディーセントワーク(働きがいのある仕事)面接会×就労支援施設による相談会」と名付けて実施。ハローワーク大阪西などが2012年度に始めた。
面接会では、企業側が面接したい求職者を逆指名できる仕組みを導入してより円滑な「出会い」を創出。面接にまで至らない状況の障害者には、就労支援施設による相談会も開いてきた。働くための「入り口」から「出口」まで整えた形だ。
■障害者の実演
趣旨に賛同する関係者の輪は広がり、広報の役割などを担う区役所は、当初は港区の1区だったのが、西、大正、浪速の4区になった。今回加わった浪速区役所担当者は「イベントについて障害のある方に声掛けしながら伝え、役に立てれば」と話していた。
今回は企業がより障害者の力を感じられるよう、就労支援施設利用者らの実演を実施。自転車整備や焼き芋の販売を予定するNPO法人「街かど福祉」(大阪市浪速区)の豊田みどり代表理事は「障害者施設でもこんなことができるのを見てほしい」と意欲を示す。
ハローワーク大阪西・統括職業指導官の玉野裕子さんは「働くことに最も近い障害者と企業が出会う場になれば」と思いを込めている。
■貴重な場に
催しを開くまでの過程で関係機関がお互いの業務について理解を深め合えるのも特徴だ。
21日に開かれた実行委員会会議では、各機関の関係者らが集まって段取りを確認。ハローワークや区役所、支援機関がそれぞれの専門分野の説明をし、疑問点をぶつけ合いながらお互いの業務内容について理解を深め合っていた。
港区役所担当者は「普段やりとりしない方と情報交換できる貴重な場」と位置付ける。
催しでは港区のマスコットキャラクターも登場させて“お祭り”要素も盛り込む。玉野さんは「障害者が生き生きと暮らせる地域づくりをやりきっていけば地元も元気になる点を伝えていきたい」と力を込める。
【催し】大阪市港区の港区民センターで11月10日午前10時~午後4時。面接会は午後1時から。問い合わせは電話06(6582)5271、ハローワーク大阪西・専門援助部門。
2014年10月26日 大阪日日新聞