中枢神経系の運動障害のため両手の指のうち7本しか動かない米ニューヨーク在住のピアニスト西川悟平さん(40)がこのほど、苦難を乗り越えた経験をまとめた自伝「7本指のピアニスト」(朝日新聞出版)を出版、15日にニューヨークで記念コンサートを開いた。
クラシック演奏家としての西川さんの経歴は異色だ。ピアノを始めたのは15歳と遅かったが、大阪での演奏会に来ていた米国の著名音楽家に見いだされ、1999年に渡米。カーネギーホールで演奏するなどプロとしての階段を駆け上がった。
しかしそのころからジストニアという運動障害に襲われ、徐々に両手の指が動かなくなった。医師からピアノは一生弾けないと宣告され、自殺を考え、手首を切りかけたこともあった。
西川さんは「死ぬことができなかった。死ぬ気で頑張ればいいと思った」と振り返る。リハビリを続けた結果、7本の指で演奏ができるようになり、2009年にはカナダの障害者ピアノコンクールで4位に入賞した。
「自分の経験、失敗から得たことで次世代に貢献したい」と語り、指導者としての活動にもっと力を入れたいという。国連創設70年の10月24日には米東部フィラデルフィアでの記念コンサートに出演する予定だ。(共同)
2015年9月19日 日刊スポーツ